海「前回までに挙げた駆逐艦が日露戦争までに完成し、間に合ったものになりますね」
三「日本海海戦では、砲撃戦でダメージを受けたロシア艦に、駆逐艦がスピードを活かし
て追撃し、魚雷でトドメを刺したのじゃ」
海「駆逐艦は主力である戦艦や巡洋艦に対し、砲撃戦では無力です。この当時の魚雷の射
程距離は最大でも3000mほどしかありません。相手の砲撃をかいくぐってそこま
で接近するのも不可能です。主力艦同士の砲撃戦で戦闘不能になった艦にトドメを刺
す、という使い方が最も妥当だったでしょう」
三「日露戦争が終わると、日本海軍は日露戦争での駆逐艦の有用性を高く評価した。それ
で日本海軍は駆逐艦をたくさん作ることを計画したんやな」
海「それと同時期に海の向こうイギリスでは、海戦のあり方そのものを変えてしまうほど
の革命的なフネが登場し、今までのフネ全てを時代遅れの遺物と化してしまいます」
金「オーそれはアレですネー。戦艦ドレッドノートの登場ネー」
海「はい戦艦ドレッドノートは、それまでの戦艦と異なり、大口径長射程の主砲をズラッ
と並べる代わりに、小口径の砲をすべて廃止してしまいました。イギリス海軍は、と
にかく相手の大型艦を撃破することを戦艦に求め、小型艦への対処は同じく小型艦で
ある駆逐艦に任せよう、という方針を打ち出したのです」
金「言ってみれば艦隊における役割分担、分業制を明確にしたのですネー」
海「そうです。ただ、これまでの駆逐艦は300トン前後で、大型艦とともに外洋で艦隊
行動をとるにはあまりにも航洋性が不足していました。そこでイギリスは駆逐艦を大
型化して航洋性を与えたのです。結果的に千トンを超える駆逐艦が登場したのです」
三「それがイギリス海軍、トライバル級駆逐艦やな。これが世界のお手本になった」
海「ハイ、それで日本海軍もイギリスに倣い、千トン超の駆逐艦を作ることにしました。
もちろん従来通りの駆逐艦も造ります。そこで駆逐艦の排水量ごとに等級をつけるこ
ととしたのです。千トン超を一等駆逐艦、600トン〜千トンを二等駆逐艦、600
トン未満は三等駆逐艦です」
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