将棋連盟の迷走は深刻で
プロがプロを統括するという管理体制そのものが間違っていたわけではない。
僕は谷川会長の後任について
外部からの招聘がベストであるという意見も否定しないが
将棋連盟は棋士によって統括されるという事については
特にそれが問題であるとは思わないのである。
但し、数多居る天才たちの集まりであるプロ棋士の中でも
突出したカリスマを持つ人物にそれは限られると思っていて
谷川浩司にはそれは「あった」と思っている。
三浦九段に限ったことではない、
ややもすれば「奇人」的な振る舞いが目立つプロ棋士の存在と
ここ数年で認めざるを得ない将棋ソフトの棋力の上昇により
いずれは紛糾する問題がここで破裂しただけなのだと
第三者委員会が出した調査結果からは
久保九段が指摘した「対局中の30分以上の離席」が
事実と異なっていた過ちと
疑わしい、というだけで残りのプロ棋士が総じて三浦九段の批判に走った過ちは
連盟、それも執行部(会長を中心とした理事会)によって
厳正に律されなくてはならなかったのであるが
そこは世間と同様に「言論の自由」などを認めてしまったことにより
一度吹き始めた「風」は抑え込められなかったのは失政だったと思う。
千田六段の指摘によるソフトとの指し手の一致率の話が出たときに
それはおかしいだろうという話にならないのがそもそも不思議な話であるが
かなり高次な心理戦を常に展開しているプロ棋士たちが
対局中に感じた三浦九段の指し手の「違和感」の正体は
全く認められなかったのだとしたら、いよいよそこは混迷を極めているのではないだろうか
将棋をある程度嗜んでいる人間なら、そのフィーリングは分かると思うが
「こいつがこの手を指すのはおかしい」
と感じる度合い、それも度合いの問題である
こんなものを調査して具体的に指摘することなど、到底できないだろうと
仮に出来たとしたら、それは三浦九段を超越したかなり上位の
言うならば「神懸かった」存在でなければ見抜けないと思うのだ。
知らない人にはわからないだろうが
在籍しているプロ棋士は230名、
プロを目指しているがなれていない奨励会員などを含めると
400人程度の「将棋指し」の中でトップ10に入るポジションに
件の三浦九段は位置づけられ、残りの390人程度は
少なくとも「ここ5年の実力」で測った場合は、「彼より下」なのである。
つまり、将棋のフィーリングでいえばその違和感を指摘できるのは
タイトルホルダーを含めてせいぜい15〜20人程度しか
議論できないはず、というのが僕の見解である。
「電王戦」という棋戦を設けた辺りから
長年課題であった「将棋ソフトとの向き合い」を始めた
将棋連盟ではあったが、「人間VS将棋ソフト」の勝敗が
彼らプロ棋士集団のプライドの問題ではあっても
地位を争うにおいては直接的には関与しない問題であることにも
今回の混乱の背景にはあるだろう。
構わないだろう。それでもいつかはソフトは人間を上回る。
少なくとも終盤の「詰み」を発見する能力は
人間より正確で冷徹である。
プロ棋士たる者、将棋ソフトを使用しようと思うはずもない
必要なのは、品格であり
人智を尽くして対局をすることであって
限られた時間内での心理戦であって
機械を使った上での総力戦ではないはずだからだ。
谷川が中学生棋士として、早くからプロの道を歩んだことが
世間知らずに育ってしまった、というような印象は先入観に過ぎない。
僕が知る谷川会長は高潔で知的で極めて常識的な立派な人物である。
同じく、羽生三冠にも感じるところである。
だから、谷川に代わって羽生が会長を務めれば良い、という意味ではない。
谷川にも羽生にもスター棋士として活躍してほしいのである。
彼らが将棋で対決することに対してではなくて
不正やレギュレーションの在り方にエネルギーを投下する「役職」から
早く解放してあげたい、一方でそこから解き放たれた者が役職に就くべきだと
考えるのである。
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