ダサイぜ！ウマイぜ！秀吉うどん

ソニックシティで開催される某セミナーに参加すべく、大宮駅西口に降り立った。
西口にでるのは今回が初めてである。東口ならば、一昔前なら大宮競輪、最近はサッカー観戦後の反省会、とそれこそ数十回はうろついている。
勉強前の腹ごしらえ、とばかりに昼飯をとりたい。勝手知ったる東口に比べ不案内な西口であるが、開拓の面白みも手伝い、西口にて良さそうな店を探すこととした。出来れば、チェーン店でなく、大宮ならではの店に入りたい。

実は事前に多少は調べて「くらのと」という蕎麦屋を候補に上げていたのだか、残念ながらこの日は定休日。

「来来軒」という中華屋があった。価格がかなり安く派手な外装で、大陸系中華かと思いきや、よくよくメニューを眺めてみると何のことはない、「日高屋」の別形態店であった。

ソニックシティを少し西に過ぎてみると、ウナギ屋があったが、ゆっくり食事を楽しむ時間もないし、第一、手が出ない。
と、その裏手にポスターをベタベタ貼った、ケバケバしい外装のうどん屋があった。バッと見、立ち食い路面店の様であるが、メニューポップをみると、なかなかの値段である。なにか面白そうな雰囲気なのでここに入ることにした。

暖簾を潜ると、立ち食いではなかったが、店内はなんとも落ち着き無く、雑然とした様子。
ビール、ホッピー、日本酒のポスターが沢山貼られ、どうやら夜は居酒屋になるようだ。券売機にて、かけうどん￥６５０、ごぼう天￥１００のチケットを購入した。
かけうどん一杯￥６５０とはなかなか強気の価格だが、１１：００〜１３：００は大盛り・特盛り無料、１３：００〜１５：００ならば天ぷら１品無料と、フォローのつもりなのか、ランチサービスを実施している。

女将さんにうどん量を聞いてみた。
「特盛りにできますか？」
「６００ｇですが大丈夫？」
「大盛りだと？」
「５００ｇですけど」
「大盛りでお願いします」

受取口越しにマスターがうどんを茹でているのが見える。

時間をかけ、豪快に茹でている。どうやら茹で置きではなく、茹でたてを食べられる様だ。

かけうどん（大盛り）￥６５０、ごぼう天￥１００

これが５００ｇとは思えないが（５００ｇといえば二郎２玉である）、なかなかのボリュームにみえる。つゆは意に反して関西風か。薬味におろし生姜とゴマ、ネギが付く。ごぼう天はサキガケではなく、１／４切りの太いのが５本。私の好みだ。

うどんを２・３本、啜ってみる。
表面はツルツルだが、不揃いで縮れている。いや、縮れているというよりは、デコボコだ。
このデコボコが口中を刺激する。噛んでみると、ずっしり重い。弾力があるというよりは、噛むとググッと突き刺さる。そしてひろがる小麦風味。思わず、下品にモグモグと頬張ってしまう。
こいつはうまい。こいつは手打ちだ。手打ちらしい手打ちだ。
つゆは平均的な関西風イリコ出汁。このうどんなら、関東風醤油の方が合いそうだ。
ごぼう天は多少、揚げ置いてあり、アブラもしっかり落とされ、コロモもいい感じにサクサクだ。
ゴボウにはキンピラ風の甘辛い下味が付き、ガッシリとした歯ごたえだ。いやいやこいつも、うまい。
自然と顔がほころんでくる。

ズルズル、モグモグ、ガシガシ。ズルズル、モグモグ、ガシガシ。うまい、うまい。
あっさりと５分程で、大盛りうどんを食べ切ってしまった。

もしかすると、こいつは武蔵野うどんてヤツなのか？
洗練された讃岐とは違い、うどんも天ぷらもなんとも無骨で田舎臭いうまさ。うまい、というよりは、ダサうまいとでも言うべきか。
いやいや、下調べもせず飛び込みで入った店がこんなにうまいとは。ラッキーな土曜の昼飯であった。