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2016年09月18日21:32

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「怒り」

吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田修一の小説を映画化した群像ミステリードラマです。
原作は上下巻なのですが、久しぶりに一気読みするほど面白かったです。原作者の意向に添ったそうで、キャストが豪華なのも魅力で、迷わず初日に見に行きました。
映画は2時間 22分、長い原作の味わいを損なわず、よくまとまっていたし、全く集中力が途切れることなく見ることができました。
前篇、後編の映画にならなくて、本当によかったです。

物語の始まりは1年前に発生し、いまだ未解決状態の八王子夫妻惨殺事件。
犯人は「山神一也」という人物だと判明していますが、彼は顔を整形して逃亡中です。
東京、千葉、沖縄という3つの場所に、それぞれ男が現れたことがきっかけで巻き起こるヒューマンミステリーで、3つの話が並行して進み、最後まで交差することは
ありません。場面の転換はとても速いですが、混乱することはありません。

犯人は果たして誰なのか?
殺人犯を追う警察は、新たな手配写真を公開しますが、その顔は・・・。
信じているのに、疑ってしまう、愛してるのに、信じる事ができない心。

渡辺謙の名前がトップに出ていますが、若い7人が全員主役です。
7キロ体重を増やして、今までにない役にチャレンジした宮崎あおい、基地問題に苦しむ沖縄の現実を描く辛いシーンに果敢に挑んだ広瀬すず。
綾野剛と妻夫木聡のゲイのカップル役も好演。
森山未來、松山ケンイチ、そしてオーディションで選ばれた唯一の新人、佐久本宝。

結末は、最後にほっとする話、せつない話、重くて残酷な話と、それぞれです。
セリフが聞き取りづらいところが何ヵ所かあったところ、沖縄篇のラストは原作通り、もう一歩描いてほしかったのが残念な点ですが、とても満足した映画でした。


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