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2016年09月17日21:11

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9月12日 上野広小路亭芸協定席

 12日は久しぶりの芸協定席で上野広小路亭。去年は芸協ばかり聞いていたのにな。天候不順、平日の昼席で、余裕で座れるだろうと思っていたら、二階の下足箱が軒並みふさがっている。三階の客席も8割強埋まるというほぼほぼ満席状態。年配者ばかりなのはいつものことだが、若めのカップルなどもちらほら。全員バラバラな感じで特に団体客でもなさそうだったし、南なん主任なのに(だから来たんだけど)何かあったんでしょうか。
 前座は終わって鯉白「万病円」の途中で入場。後に出た柳若が弟弟子だと云っていたので鯉昇門下なのだろうが、これからが期待できそう。

●柳若「壷算」
 落語は良かったが、インターネットCMに出た話は長すぎた。

●漫談 新山真理
 毎年アロハマンダラーズの司会をしている。女性芸人=楽屋の老人介護というのはお約束。

●里光「紀州」
 周囲にも驚かれるそうだが、確かに師匠の鶴光に語り口がよく似ている。

●可龍「干物箱」
 巧いのだが、軽く、若く見られるのが惜しいところなのかな。

●小唄 松乃家扇鶴

●小文治「佐野山」
 講談の「寛政力士伝 谷風情け相撲」。人格者で知られる稀代の名横綱・谷風梶之助が生涯一度八百長相撲をした・・・という噺。どうも子供時代の怪力や大食のエピソードが雷電、阿武松とごっちゃになってしまう。

<中入り>

●紅「真田幸村 大坂出陣」
 前日の大河ドラマ「真田丸」で関ヶ原の戦い東軍勝利の件が、戦いを見せずに霧隠才蔵(といっていたが猿飛佐助?)の報告だけで終わってしまったという話から。ドラマはあと三か月ほどあるが、この先は蟄居させられて真田紐作ったり、大阪冬の陣・真田丸作るまであまり見せ場ないのかな。

●漫才 Wモアモア

●とん馬「犬の目」
 築地のシャボン先生の師匠のヘボン先生は、ホントに眼科医でもあった明治学院創立者でヘボン式ローマ字のドクトルヘボン。荒唐無稽な噺の中に少しの史実を入れ込むと深くなる。
 
●金遊「旅行日記」
いかにも先代今輔らしい新作落語だが、協会のろべえが演じているのをよく聞く。オチは下で婆さんが死にかけている・・・で、ブラックさ半端ない。淡々とした語り口が猶更怖いというか、そんなものを食べさせられて「何もなかったからいいけどね」とは物にこだわらないにもほどがある。

●太神楽 翁家喜楽・喜乃

●南なん「鰻の幇間」
 鰻屋へ向かう道すがら「お前、ずいぶん良い履物を履いているね」と正体不明の旦那から云われて「そうなんですよ・・・」と、万一通りで馴染みの旦那と会っていずれかの店へお供することになっても、下足番に馬鹿にされないように他はケチっても履物には金をかける・・・と自分なりの見得(プライドとも矜持とも)を語る野幇間。ここを丁寧に演じるか否かで後の哀切さの度合いが違ってくる。こんな道端で行き会っただけの人間に手もなく騙されるような食い詰めた男にさえ譲れない自尊心があるものを、それを完膚なきまでに打ちのめすラスト。南なんの落語、痛いほど非情である。

 14日は喬太郎主任の池袋昼席へ。昨日は関東午前中大雨だったが、それでも満席だったらしい。平日昼間だが開場早々満席で、中入り後には立ち見も。今席は夜主任が天どんで、一日通して顔付けが良い。昼席聞いた感想は、真打が演じる巧い前座話を堪能したという感じ。

●前座 門朗「元犬」
 文蔵の弟子。かな文もだが、ここの門下は二人とも熱心。なんとか前座横一線から抜きん出ようという意欲が感じられる。シロを雇うご隠居がやたらと楽天的で「面白い」「へぇ、顔も白いんです」の改変サゲ。

●小んぶ「幇間腹」
 ここでもまたサゲが変わった。今日は何か古典実験の日なのか?

●菊志ん「あくび指南」
 「独演会と違い、寄席はチームプレイ」と云っていた通り、前の小んぶのネタなどを拾いながら、よい感じで客席を温めていた。あくびを習う男のパワフルなまぜっかえし(本人にそのつもりはないが)が可笑しい。真打昇進して却って伸び悩んでいると評されるのを目にするが、個人的には文菊(の代演だった)よりこの人の方が自分に何が不足なのか、考えている人のように思うのだが。文菊は自分に何か足りないなんて思ってもいなさそう(に見えるのも自信の表れだろう)。

●奇術 マギー隆司

●小せん「千早ふる」
 歌まで入った楽しい「千早ふる」。今日はどの人もいつもの古典に自分の色を付けて語りあげる。そういうカラーのリレーなのだな。

●馬石「金明竹」
 これ前座話をさらにばっさりとカットして、主から事の次第を問われて困惑しながらなんとか思い出そうとするおかみさんの物語になっていた。松公もほとんど登場せず、おかみさんの「・・・ねぇ?」という問いかけにウンウン頷く程度。いや、面白いけど。

●百栄「鼻ほしい」
 この流れを読んで、ちゃんと古典を演じる百栄。しかし演じるのがこれだもんなぁ。禁演落語だったのでは?

●馬桜「替り目」
 酔って遅くに帰宅した夫が妻に酒をねだり、おでんを買いに行かせてノロケ・・・までの件の短縮版。「○○があったろう」「いただきました」の繰り返しの奥さんがホントにうんざりした感じが出ていた。演者の家でもそんなやり取りがありそうな。

●漫才 ロケット団
 三浦の足、治ったのか? 良かった。

●歌武蔵「鹿政談」
 レパートリーが多いというわけではないが、自分に合った噺、ニンの噺をちゃんと分かって選んで演じているのが良いと思う。おそらくこの人にそういう意識を強く持たせたのは、喜多八、喬太郎との共演だろうと思うのだが。

<中入り>

●喬之助「初天神」
 ウルトラ寄席、ケガで出られなかったとは残念。ある意味喬太郎以上に特撮や懐かしネタに濃そうな人なだけに。

●はん治「ぼやき酒屋」
 待ってましたの声がかかる。文枝の新作落語だが、もうすっかりこの人の十八番になっていますね。

●三味線漫談 小円歌
 歌武蔵の弟子・歌むいが出てきて太鼓をたたく。

●喬太郎「寝床」
 もう六、七年前になるか、池袋の主任で「寝床」がかかったが、あの時は客席が揺れるようにその場にいた全員が心から笑っていたように思えた。思い出しても自分にとって喬太郎のベストパフォーマンス。「心眼」とか「宮戸川」の通しよりもあれを推したい。今回も大笑いで、喬太郎も座布団を盾代わりにして義太夫から身を守るなど大熱演だったが、どうしたってあの時ほどの笑いにはならない。いろんな要素が合わさって生まれたものだったのだな。

 夜席に引き続き残る客も多かったようだが、何しろ天気が不安定で、気圧が低いと頭が重くなるので、ここで帰ることにする。今席もう一度来れるとすると20日かな。末廣亭夜席の一之輔主任にも心惹かれるのだが。
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