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2016年09月09日08:21

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『 家売るオンナ 』と『 ON 』

週欠かさずに観ていた2本のドラマが北川景子主演の『 家売るオンナ 』と、波瑠主演の『 ON 異常犯罪捜査官東堂比奈子 』なのだが、評価はまったく正反対になった。『 世界一難しい恋 』でヒロインを演じていた波瑠が主演するというので楽しみにしていた『 ON 』が全くの期待外れだったのに、まるで期待していなかった『 家売るオンナ 』は感心するほど面白かった。これだから、ドラマは楽しい。

 では、この2本のドラマはどこが違っていたのだろう。まず、間違いなくキャラクターの描き方だと思う。片や『 ON 』は、数々の猟奇殺人事件の捜査を追うことが必ずしも主人公・藤堂比奈子の生い立ちや人物像の描き込みに直結せず、毎回、藤堂比奈子(波瑠)の深刻な表情が印象に残るだけで、彼女の抱える闇の背景に納得できるほどの理由が見いだせなかった。いくつもの事件を取り上げるのではなく、シリーズを通して「 ひとりの犯人 」との対決に絞って、藤堂とその周辺の情報をもっと整理するべきだった。結局、藤堂のキャラクターが明快になってこないから、波瑠の演技が一本調子でダイコンに見えてくる。波瑠ファンの私でさえ、波瑠が演じる藤堂比奈子に魅力を感じないのだから、ドラマとしては明らかな失敗に違いない。事件(犯人)を描きたいのか藤堂の背景を描きたいのかわからない、なんとも中途半端で凡庸な刑事ドラマだった。

 『 家売るオンナ 』はこれと真逆で、主人公・三軒家万智が家を売るたびに、彼女の人生哲学や生い立ちがみるみる明らかになっていく。彼女にとって「 家を売る 」ことにどんな意味があり、彼女から家を買った人々がその後の人生まで変えられていく様は感動的ですらある。しかも、家を売ってしまったあとは、彼女はもはやかつての顧客を振り返ることさえない。ここまで来て、あぁ、三軒家万智は『 ブラックジャック 』の不動産屋版なのだなと気づいた。『 ブラックジャック 』は、天才的な外科医が「 誰にも治せない 」といわれる数々の難病やケガを治すことで患者とその家族に大きな影響を与えて去っていくという手塚治虫の傑作医療漫画である。その主人公を彷彿させるほどなのだから、『 家売るオンナ 』がつまらないわけがないのだ。面白いドラマに出会えて良かった。

『 家売るオンナ 』過去日記
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『 ON異常犯罪捜査官・藤堂比奈子 』過去日記
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