蒸し暑い晩夏の夕まぐれ
涼を求めて「小諸そば」の暖簾を潜った
注文は、遅れ馳せながら「夏の定番・和風冷麺」である
太っちょの調理人が拵え、不愛想な婆あが運んできた
辛味の効いたゴマダレに、蒸し鶏で厚みを加え、刻みキュウリで涼を呼ぶ
美味い
美味いが、ラー油にて辛味を演出するのは頂けない
仮にも「和風」なのだから
小諸の蕎麦切りは、長い
まるで、食べ手の力量を試験しているようだ
「兄さん。随分と粋がっちゃいるが、オレを噛み切らずに食えるかい?」
「上等だよ、そば公。お前えなんざ、一口で啜ってやるぜ」
そばを平らげ、ゴマダレを冷水で割って、ズズッと飲み干した
梅壺から梅シバを二ツ、三ツ、未繕い、頬張った
「ほひほうはま」
再び、蒸し暑い雑踏に出た
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