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2016年08月16日09:52

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8月13日 2016 新作落語お盆寄席 

 何年振りかの南新宿プーク。都会にあるのに、三匹のくまの家みたいな、すべてが子供サイズの人形劇のホール。隣はカタログハウス。人形劇と通販生活には旧社会党系の匂いがする。盆と正月恒例の新作落語の会、二日目は白鳥と彦いち、三日目は天どんと白酒が出るけれど、一日目のこの顔付けは、(古典落語への)退路を断った人たちばかりでいいなぁ。というわけで今日演じられるのは新作ばかり。

●前座 百んが「黒歴史百人一首」
 落語は初めて聞いたが滑舌が悪い。寄席で前座噺を演じているときはもう少し気を付けているのかもしれないが。若いころに作ったポエムとか、後になって読み返すと恥ずかしい・・・というまくらから、久しぶりに会った男女の会話へ。「俺、お前が書いた歌、好きだったぜ」「やめてよもう〜!恥ずかしい」という、文芸部のOB・OGみたいなノリからすぐにはわかりかねるのだが、この二人が在原業平と小野小町。ところがこの若気の至りで書いた歌を集めて勝手に使おうとしている輩がいる。「それって著作権侵害じゃない?」と、怒った二人がその当人・藤原定家のところに抗議に行く・・・という噺。自作なのだろうが、馬鹿馬鹿しくって笑ってしまった。百栄を師匠に選んだだけに創作に意欲がある。

●彩大「選挙ホスト」
 元ぬう生。「落語界のメッシです」と挨拶。そういえば似てる。真打昇進してから初めてで久しぶりに聞くが、本人も羽織を脱ぎながら「久しぶりに落語やるんで」と云っていた。でも相変わらずのホストネタなのね。円丈一門の総領弟子で町田市議となったらん丈の選挙を手伝った経験から着想を得たもので、歌舞伎町の流行らないホストクラブの店長が参議院議員に立候補。風俗営業者のための選挙戦を展開するわけだが、この前の都知事選を思い返すと、すでに落語より現実の方が狂気の沙汰ですね。

●鯉朝「コンビニ地球家族」
 足立区の綾瀬に帰るつもりが、酔って神奈川の綾瀬でタクシーから降ろされた男。始発を待つ時間をつぶそうと、見慣れぬ独立系コンビニエンスストアに入る。そこは若いころは学生運動をやっていた(という割には武闘派ではなく鯉朝的に可愛いキャラな)オーナーが営むエコなコンビニ。缶ビールの替りに口噛み酒(口内で噛んだものを発酵させて作る)を出すというのが可笑しかった。

●百栄「リアクションの家元」
 ダチョウ倶楽部や出川哲郎のようなリアクション芸人がもてはやされる日本。そのうち伝統芸能のように継承されるものになるんじゃないか・・・という仮想現実設定な噺。仮想現実なんだが、家元は怪しい京ことばを操り、稽古に来ているのは伊勢屋の若旦那。若旦那に「湯玉ができるほど」の熱湯をかけてはマジ熱がる姿に「あかんなぁ〜」を繰り返す家元。また「暮らしの手帖」ネタじゃないが、百栄が演じればよかったのに<花森安治。

●清麿「優しさだけが怖かった」
 百栄も云っていたが、この人が今日の不安要素。川柳と違って寄席で見慣れていないせいなのか、何を言い出すのかわからない怖さがある。放課後の教室の片隅で男子中学生と、彼にホモ関係を強要する教師との怪しい会話。

<中入り>

●今輔「粋の研究」
 今日は上野広小路亭主任で、主任ネタで演じたが受けなかった噺を口惜しいからもう一度演じるとのこと。好きな女性を誘って「イキな会話」を楽しみたい(という発想がわからん)野暮な男が、友人の妙な入れ知恵で覚えた江戸っ子慣用句を連発するが、相手になかなか通じない。実は相思相愛、似た者同士の二人が、中世ヨーロッパでは若い女性がわきの下で自分の汗をしみこませたリンゴを愛する男性に手渡す・・・というトリビアで結ばれるまでのお話。クイズ好きな今輔らしい小ネタ連発。今輔と百栄は創作の傾向が似てるけど、今輔の方が優しい。

●小ゑん「幸せの石」
 主人公は35歳、職場の煩わしい人間関係が苦手で、現在はガス検針員をやっている女性・カスガイさん。これをリアル喪女にしたら洒落にならないが、カスガイさんはガス検針が好きで、狭い場所にあるメーター確認用に伸縮ミラーを持ち歩くほど仕事熱心。結婚願望が強くて、美容にも気を遣っているあたり(伸縮ミラーでふと自分の肘のシワを見てしまいショックを受けたりする)が女性として可愛い。そのカスガイさんが仕事中に見つけた不思議な石。持ち帰って天文オタの係長に調べてもらったら、隕鉄の可能性が高いという。流れ星を見たことがないカスガイさんは、係長から高尾山からなら近くペルセウス座流星群が見えると教わり、星が流れる間に3回の願いことをしようと心に決める。短時間で3回願い事を唱えるために、早口言葉で必死に滑舌鍛錬をするカスガイさん。運命の夜にケーブルカーで高尾山に上ると、そこで待っていたのは・・・。なんとなくカスガイさんが望んだパートナーではなくても、幸せを掴めそうな予感がする終わり方で、中入り後はハッピーエンド?な噺が続いた。

「シンゴジラ」を見た。面白いが、もの凄いコレジャナイ感がある。

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