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2016年06月27日01:32

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漢字

新聞の書評欄を眺め、そのまま次の頁を開こうとして
ふと著作者の名前に目が止まった。

石川九楊

書道をたしなむ人で、知らない人はいないだろう。

人形のかしらを描くのに、筆が遣えないといけないだろうと、
この人の本を一冊購入したのだが、結局そのままになっている。

その人が〈花〉を切り口にして、日本語論を展開している。
題して「〈花〉の構造」(ミネルヴァ書房)

日本語は、単一の言語ではない。
漢字とひらがなとカタカナの三つが合わさって日本語をなしている、と。
漢字が入ってくるまで倭言葉に文字はなかった。
漢字が入って初めて、文字を持った。
最初の書物である万葉集は、万葉仮名と呼ばれる漢字で表記されている。
その後ひらがなが生まれ、古今和歌集が作られた。

面白いことに、その古今和歌集の歌を分析すると、
そのほとんどが恋愛の歌か、四季の歌なのだそうだ。
しかも四季の歌も、その内容はほとんどが恋愛の歌になるのだそうだ。
つまり恋愛を表現するのに、ひらがなは最適と言えるかもしれない。

では漢字はどうだろう。
漢字には音読みと訓読みがあるが、
実は音読みしかない漢字が、意外と多くある。
例えば、愛
愛でる(めでる)と訓読みさせる作家もいるが、
(事実このPCはちゃんと変換した)
正確には音読みしかない。
その他に、死、礼、信、地、字(文字という意味で)などなど
つまり漢字が入ってきた当時、そういった概念がこの地にはなかった。
漢字によってそういう概念を持つようになった。
だから、政治や宗教、哲学、思想などは、
漢字を使ってでしか表現できない、ともいえるのだ。
律令制は中国から漢字でもたらされたし、
仏教も経典は漢字で表されている、といったように。

翻って今はどうだろうか。
余りにもひらがな文化が溢れていやしないか。
私は動画の世界も経験したが、
反応の言葉はすべてひらがな、もしくはアルファベットの一文字の羅列。
ひらがなだけで育ってしまうと、思考が矮小になってしまう
現に、年はそれなりに取っていても、
あまりにも稚拙な考えによる犯罪があったりして
そんな人はひらがなだけで育ったのではないかと思える。

日本語を母国語にする人にとって、思考は日本語で行う。
英語教育も大切だが、しっかり漢字を教えないと、
思考の弱い人ばかりになってしまう、と著者は警鐘を鳴らしている。
同感だ。

そう言えば、「みぞゆう」と言った大臣がいた。
その人は最近「消費に貢献しない年寄りは、早く死んだほうが良い」と言ったとか。
この人なんか、ひらがなだけで育った人なんだろうな。
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