mixiユーザー(id:22841595)

2016年06月23日00:16

336 view

ハドソン川で驚きました

 再びアメリカの小学校で学んだことの話になりますが、あちらの小学校では、小学4年生程度でも、歴史(日本での日本史にあたるもの)の授業がありました。
 といっても、アメリカには高々250年程度の歴史しかないわけですから、随分、呑気な授業が行われていました。
 ご存知のとおり、歴史を記す場合には、年号順に出来事を綴る編年体と人物を中心に描く紀伝体とがあり、日本の学校では専ら編年体で学ぶものですが、アメリカの小学校では、紀伝体の歴史を学ぶことができました。
 歴史も紀伝体で描かれると、それは一種の伝記みたいになって、教科書も読み物として格段に面白いものとなります。
 例えば、独立戦争直前のレキシントン-コンコード間の戦いでは、馬を長距離走らせて重要情報をもたらしたポール・リヴィヤという英雄が現れたのですが、彼がその時どんなに頑張って馬を走らせたかを表現するために(英語の表現は忘れましたが)「馬がひーひーと死にそうになるほど走らせた」などといった、日本の歴史の教科書に出てくることはおよそ考えられないような表現があちこちに出てきました。でも、それだけに子どもの頭には強い印象が残り、歴史を暗記するというより、面白い物語を読み漁るような楽しい思いを味わうことができました。
 そうやって学んだ歴史上の人物の一人にヘンリー・ハドソンという人がいました。アメリカの独立よりさらに170年ほど前に北米を探検したイギリス人です。この人はハドソン川の発見者ですが、ハドソン川というのは、ニューヨーク州を流れ大西洋に注ぐ川で(2009年の民間旅客機の不時着事故で記憶されてる人もいるかもしれません)、河口付近にはニューヨーク市のあるマンハッタン島があります。
 ニューヨーク市には何度か行ったことがあるので、このハドソン川も見たのかもしれないのですが、それは記憶にはなく、かえってこの川をハドソン川と認識して見たのは日本でテレビを通してのことでした。
 とくに80年代前半にテレビ朝日でやっていた「CNNデイウォッチ」という深夜番組で見たときの印象は強烈でした。
 私が見た時は、メインキャスターの久和ひとみさん(故人)とゲストの女優、島田陽子さんが出てました。その番組は、CNNで放送されたニュースの中から面白そうなものを適当に選んで、日本語訳を付けて紹介し、キャスターやゲストがコメントし合うというものだったのですが、その日はゲストの島田さんにニューヨーク在住歴があったためか、ハドソン川を上流から河口に向けて泳ぎきった人の話題が取り上げられました。ところが、当時のハドソン川は汚染がひどくて、とても泳げるような状態ではなく、泳ぎ切った本人自身も「もうダメかと思った」(←死にそうだったということです)と言うほどの酷い状態でした。
 ハドソン川って、こんなに汚れてるんだと驚きながら見ていたのですが、そのニュースを伝え終った久和さんが発した質問にはさらに驚きました。
 「島田さんも、ニューヨークにおられた時には、よくハドソン川で泳いでたんですか?」
 島田さんは、そんなことがあったら国際派女優の沽券に関わると言わんばかりに、「そんなことはしてません!」と即答されましたが、そのやり取りがおかしかったこともあって、ハドソン川は、強烈に私の記憶に刻まれることになりました。
 それはともかく、紀伝体の歴史は伝記に似ているものの、伝記そのものではないので、ヘンリー・ハドソンについても、アメリカとの関係でのみ、つまりハドソン川の発見者としてしか知らなかったのですが、先日ネットサーフィンをしてたら、偶々ヘンリー・ハドソンの名前が出てきたので、その後のこの人の生涯についても知ることができました。
 またまた、その数奇な運命に驚いてしまいました。
 カナダ北部にハドソン湾という非常に大きな湾がありますが、ここの発見者も、実はヘンリー・ハドソンだったのです。
 確かに、同じハドソンという名前が付いているのですから、言われてみれば、もっと早く気づいても良さそうなものだったのですが、ハドソンはありふれた名前であるうえ、ハドソン川とハドソン湾とは結構離れているので、両者が同じ人によって発見されたとは想像もできなかったのです。
 ただ、ハドソン湾を発見したこの航海はハドソンにとって最後の航海となりました。
 氷に行く手を阻まれて、予定外の越冬をせざるを得なくなったために食糧が不足し、乗組員から反乱を起こされてしまい、ハドソンは息子や病人を含む忠実な部下7人と共に本船を下ろされ、小舟に置き去りにされたのだそうです。当時の一般的な置き去りでさえ、一種の武士の情けで水または食料は与えられたそうですが、ハドソンらには一切与えられなかったということです。
 その後の消息は不明で、数年後、ハドソンの奥さんのキャサリンが資金を出して、捜索を行いましたが、なんら成果を上げることはできませんでした。
 実は、今日はヘンリー・ハドソンが1611年に小舟に置き去りにされた日ということです(置き去りにされた日は、6月22日とする説や、6月24日とする説もあるようですが)。
11 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年06月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930