ﾎﾞｽﾄﾝ美術館所蔵“俺たちの国芳　わたしの国貞展”＠Bunkamura ザ・ミュージアム

6/1(水)
会期も残り少なくなり､かなり混んでいるとの情報を得て､
10：00開場の40分前､
9：20、会場到着
あらら…　開場待ちの列の先頭だった！

アノ、若冲の狂乱はナンだったんだろう？(笑)

それでも10：00には､そこそこ列も長くなり、
スタッフの先導で、みなさんお行儀よく入場｡

入口を入ると同時に、壁いっぱいに､
国芳の「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」に描かれている猫と

国貞の「当世三十弐相 よくうれ相」に描かれている手紙が、

崩れた壁から飛び出す映像！

散々、スタッフが順路に関係なく､空いている所から観賞を！と
アナウンスするのに､
皆さん､順路に沿って…
当然私は､観たい作品に向かって走りました｡
今回､まず観たいのが､
｢さぬき院眷属をして為朝をすくふ図｣ｂｙ国芳(一幕目の三)


そこから､まだガランとしている会場奥の方にサッサと進んで､
｢安部保名　葛葉狐｣ｂｙ国芳(一幕目の四)

葛葉狐､好き！　この透明な感じ､素敵！！

「水瓶砕名誉顕図」ｂｙ国芳(一幕目の五)

勇壮な柴田勝家。
敵兵を吹っ飛ばして…

国貞｢見立邯鄲｣

団扇を透かして見える美人｡
この団扇！　細かさがハンパでない！！



ピンポイントを観終えて､
スタート地点に戻ると､やはりかなり混み始めていた｡
それでもしょうがない､人の波に乗って改めて､順路に乗って観賞｡

3枚組､2枚組で１点として170点。
延べ350枚ほどの浮世絵を展示する本展は､
まず､その量に圧倒される｡

8つのテーマで構成される場内は、
同一テーマで2人の作品を比較展示し、
歌舞伎の演目をまねて付けた各テーマのタイトルには
「現代的でポップな」ルビを付けている。

一幕目の一　髑髏彫物伊達男　ｽｶﾙ&ﾀﾄｩｰ･ｸｰﾙｶﾞｲ

一幕目の二　物怪退治英雄譚　ﾓﾝｽﾀｰﾊﾝﾀｰ&ﾋｰﾛｰ
「滝夜叉妖術を以て味方を集むる〜｣


一幕目の三　畏怖大海原　ﾎﾗｰ・ｵﾌﾞ･ｳｫｰﾀｰ

一幕目の四　異世界魑魅魍魎　ｺﾞｰｽﾄ＆ﾌｧﾝﾄﾑ

一幕目の五　天下無双武者絵　ｻﾑﾗｲｳｫﾘｱｰ

二幕目の一　三角関係世話物　ﾄﾗｲｱﾝｸﾞﾙ･ｵﾌﾞ･ﾗﾌﾞ
｢松竹梅雪曙｣八百屋お七　by 国貞


二幕目の二　千両役者揃続絵　ｶﾌﾞｷｽﾀｰ･ｺﾚｸｼｮﾝ

二幕目の三　楽屋裏素顔夢想　ｵﾌｽﾃｰｼﾞ
「踊形容楽屋之図 踊形容新開入之図」 by 国貞



二幕目の四　痛快機知娯楽絵　ｻﾞｯﾂ･ｴﾝﾀｰﾃｲﾝﾒﾝﾄ
｢荷宝蔵壁のむだ書｣ by 国芳


｢開運出世合体七福神｣　国芳・国貞合作

当代の人気絵師合作で､めでたいと大人気を博した事だろう｡

二幕目の五　滑稽面白相　ﾌｧﾆｰ・ﾋﾟｰﾌﾟﾙ

二幕目の六　今様江戸女子姿　ｴﾄﾞｶﾞｰﾙｽﾞ･ｺﾚｸｼｮﾝ

二幕目の七　四季行楽案内図　ﾌｫｰｼｰｽﾞﾝｽﾞ･ﾚｼﾞｬｰｶﾞｲﾄﾞ
｢初雪の戯遊｣ by 国芳


二幕目の八　当世艶姿考　ｱﾃﾞﾓｰﾄﾞ・ｽﾀｲﾙ
藍摺り絵美人五枚組　ｂｙ 国貞


国貞作品に記される｢三代豊国｣の記名を見ると､
｢ヨイ豊｣／梶よう子　作品中登場した三代目！
ただ小説ではなく､本当に居た人なんだと改めて実感！



先日川越美術館で受けた｢浮世絵入門｣のレクチャーが､
鮮やかによみがえる｡

お江戸の浮世絵は､
当時の人々にとって､
暦であり､贔屓の役者のブロマイドであり､
ゴシップ雑誌､ファッション雑誌､情報誌であり､
旅行ガイド､グルメガイドでもあり…
人々が見たい､知りたいと思う情報を察知し､絵にしていった､
という作品達が目の当たりに拡がる｡

この時代､摺りの技術も､もう爛熟期に達していたのだろう｡
空刷り､ぼかし摺り､あてなしぼかし、まききら…
その極致で飾られる一枚一枚…
スッゴイなぁ〜〜！

数枚組やシリーズ物が並んでいるのは､
“売る”ためのテクニックね？！
納得！


それにしても…
観れば観るほど､知れば知るほど､浮世絵､
絵師に比べ､彫師、摺師があまりにもないがしろにされている…
絶対総合芸術なのに！！
お江戸の報われない市井のクリエイターに想いを馳せる。



そんな人々の物語が無性に読みたくて､
帰宅してすぐ！
Amazonにて｢国芳一門浮世絵草紙｣1〜5／河治和香　購入｡
チラッと覗いたら､応為さんも出ているようだった｡



ランチは､ず〜〜っと行ってみたかった､会場のビル東急本店通り向かいの､
｢ひもの屋｣さん。

ランチタイムは本当に｢ひもの｣を焼いた定食が数種のみ｡
私は｢トロ鯵のひもの｣を｡
　本当においしゅうございました｡