mixiユーザー(id:4965891)

2016年05月19日17:17

447 view

読書「あまたの星、宝冠のごとく」「ダーウィンの覗き穴」

「あまたの星、宝冠のごとく」
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著。最後の作品集。神や天国ネタが多いがやはり性的。
「アングリ降臨」別の星の異形使徒の来訪。神々の目的とは。「いっしょに生きよう」テレパス宇宙生命体と邂逅と共生による蘇生。「もどれ、過去へもどれ」未来の自分と入れ替わるタイムトラベル。傲慢な娘は未来の伴侶に幻滅し次第に愛するが戻った時。作者個人の夫婦愛と世間と隔絶する孤独と若い頃の愚かさと死の予見が見える。「死のさなかにも生きてあり」拳銃自殺した男は死神から仕事を依頼される。「昨夜も今夜も、また明日の日も」その続きみたいなショートショート。以上死の匂い濃い作品。
「悪魔、天国へいく」神が死んだ本国の天国を外交事務次官っぽい悪魔が伺う感じ。「ヤンキー・ドゥードゥル」病院で戦闘狂薬物を解毒される帰還兵の己の残酷な所業など壮絶な内面描写。以上作者のCIA時代の仕事ならではの作品。
「肉」赤子を養子縁組するセンターと子豚を積んだ事故車両の真相。「すべてこの世も天国も」童話調。エコな国の姫と公害軍国の王子の若い恋と姫の老家来の作戦。若気の至りな視点。「地球は蛇のごとくあらたに」地球フェチの女性が長年暴走し判明する衝動の正体。以上皮肉なSF作品。
語り口が上手く。身の回りのミクロな状況や心理描写に謎を散りばめ謎解きをしていくとマクロな設定状況が見えてくる。逆に設定から入るものは冷酷で皮肉な結末だったり。

「ダーウィンの覗き穴 性的器官はいかに進化したか」
メノ・スヒルトハウゼン著。虫や動物の多様性の紹介。雄は自分だけの遺伝子を残したがり、雌は気に入った遺伝子だけ受精したい。利害は相容れない故に密かに身体は攻防している不思議。雌雄同体の動物でもその攻防はある。生物学の真面目な話。参考としてWOWOWオリジナルドキュメンタリー「イザベラ・ロッセリーニの「グリーン・ポルノ」が紹介されてたり。艶笑ミニパントマイムみたいな番組。本の中にあった動物のネタもあり。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年05月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031