mixiユーザー(id:17119814)

2016年05月01日13:48

195 view

大砲(48)

反射炉とは燃料であるコークスと、製錬対象である銑鉄が別の部屋にあって、直接的には
触れ合わない構造になっている。燃焼熱は炉の壁や天井で反射して、銑鉄のある部屋に集
中するような構造になっている。これで燃料であり、炭素の塊であるコークスと銑鉄は触
れ合うことがないので、炭素と隔離できる。

この状態で熱された銑鉄に、送風機を使って空気をガンガン送り込む。すると、空気中の
酸素と銑鉄中の炭素が反応、つまり燃えて二酸化炭素となって排出される。結果として銑
鉄の中の炭素が減る。熔けた銑鉄を棒でかき混ぜていくと、炭素が抜けて融点が高くなっ
た鉄が固体となって棒の周りに付着する。こうやって脱炭した鉄を得るのである。

この際に銑鉄中の硫黄やリンといった不純物も、燃えてしまうので不純物の除去にもなる
というわけだ。しかしこの方法は生産性としてはあまり高い方法では無かった。そのため
しばらくの間、鋳鉄は安価だが錬鉄や鋼鉄は高価という時代が続いた。

この問題に終止符を打ち、錬鉄・鋼鉄を安価に入手できるようにしたのが、1856年に
イギリスで発明されたベッセマー法である。ベッセマー法の仕組みは実に簡単で、熔解し
た銑鉄に空気を過剰に吹き込むと、酸素と炭素が反応して脱炭される、というただそれだ
けのことである。しかしこれが誰も気づかなかった方法だったのだ。

ベッセマー法の登場によって、錬鉄や鋼鉄の生産コストは劇的に低下した。これによって
大砲でも軍艦でも、もちろん民間用の建築材であるとかでも、鋼鉄は使い放題という状態
になった。そんなわけで、大砲の素材もベッセマー法登場の18世紀後半以降は、鋼鉄製
が徐々に多くなっていく。

0 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年05月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

最近の日記

もっと見る