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2016年04月14日03:27

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お〜い! 応為〜  【その弐】/読了2冊

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応為さんの追っかけ、まだまだ続けてます。(笑)

まずは、
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「北斎と応為」上下/キャサリン・ゴヴィエ
作家さん、カナダの方である。フォト
よほど応為さんが好きなのだろう。
上下でほぼ600ページの、実在の人物の生涯を描くために、
資料を収集しそれを読みこなした力は、
凄い!と思う。

しかし、
もちろん原文を読めない私だから、
文章は訳者(モーゲンスタン陽子)の翻訳力に依るところが
大きいのかもしれないけれど、
お江戸の人々の暮らしや遊郭の女達の暮らしの描写から、
頭にお江戸の町の様子が浮んでこないのだ。
また、
登場人物の幾人かの名前がカタカナで、少々変だったり…
言葉使いや、ヤルことがおかしかったり…
弟子たち数人を置いて作品制作に明け暮れた狭苦しい長屋、
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外国人には、あまりに粗末で想像できなかったのだろう、
描写されているのは、ルネッサンス期のイタリアの工房のようだったり…

外国人が作った映画(「ラストサムライ」 etc…)や
「蝶々夫人」byプッチーニを観ている時の違和感がある。
その違和感の元は、
応為である「私」の“感性”が、
日本人では無い女性の、感性であるのだ。
資料から得た知識は、
土台にガッチリ敷き詰めては居るのだけれど…

本当のタイトルは 「The Ghost Brush」
絵のゴーストライターという意味である。
「北斎と応為」ではなく、
どこか異国の天才画家とその代作で絵を画く娘。
その娘の心の叫びの物語であれば、
それはそれでアリかもしれないのだけれど、
あくまで「北斎と応為」

で、応為に、
父親のような式亭三馬と恋愛させてみたり、
シーボルトに淡い想いを寄せさせてみたり、
それは、ちょっと違うんじゃない?と思ったのだが、
最も妙なのは、
物語の初めから最後まで、北斎、応為と深く関わった、
武家の妻女あがりの遊女「志乃」の存在。
これが特に、違和感を巻き起こす。
言葉の端々に、ナンだかキリスト教的なモノが見え隠れし、
ラスト、東慶寺の住職(まず、格式の高い寺で遊女上がりの志野が
尼僧として勤めるのは不可だろう。)となって、
北斎死後、落款を奪おうとする贋作者に追われた応為を、
寺に迎え入れ、庇い、
それでも殺されてしまった彼女の体を腐敗から守るため、
秘密の液に漬けこみ…(漆で処理?)なんて、
ナンだか秘儀のような話まで… これは頂けない。

ということで、資料から起こされたらしいエピソードはともかく、
応為の物語としては、あまり楽しめず、
文章も私には読みにくく、
本当に!読了するまで努力を要した。

ただ、
あとがき25ページ分の資料の解説は、
非常に興味深かった。
著者の想いを反映してか、
晩年の北斎の作品はほとんど応為の手になるものと力説し、
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                 雪中虎
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                 登り竜

北斎絶筆と言われる、富士越龍図も、
灯篭と松=富士と龍の構図の相似から
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応為の手になるのでは?と疑う。
ん〜 確かに!言われてみれば!!
応為ファンの私としては、北斎の晩年の作品を
改めて観たくなってきた。





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「眩 くらら」/朝井まかて
やはり、原語で読むのがイイ!(笑)
著者が書いた物をそのまま読んで、
直に文章に触れるに越したことはない! と、
読み下すのに悪戦苦闘した後だから、より強く思ったのか?
始めの数行で、もう心をガツンと掴まれ、
そこから340ページ イッキ!!
久々に、言葉を吞むように読み上げた。

幾冊も読んだ応為の物語。
中でも最初に読んだ「百日紅」の印象が強く、
映画になったキャラクターが
なんとなく、脳内で朝井さんの世界を駆け巡る。
そして、アッ!というまにお江戸の世界に耽溺した。

この作品の始まりは、
北斎の胡坐の中に居る5歳のお栄(=応為)。
北斎は円と線を描いてやっている。
それは遊んでやっているのではなく、
真剣に「画法」を説いていたのだ。
たった5歳のお栄は、
北斎が円に三角を2つ書き加えたところで、
そこに猫を見て取り、
その猫が命を得て動き出す様を見た。
正に、お栄が父の“才”を知り、
また、才を知る“才”を発現した瞬間である。

そして次のシーンはもう、お栄24歳。
夫、南沢等明の家を飛び出すところである。

この3月発行の最新刊だけあって、
火事好きなことも書かれるなど、
各所に「百日紅」の雰囲気が漂い、
お栄の日々の暮らしと心情が、ていねいに書き込まれていく。

応為 画 「煎茶手引之種」
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応為 画 「女重宝記」
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西洋画の中に自分の求めるモノを見出す応為。
父の名でも自身の作品が残ることを望むのか?
作品を自分の名で出したいのか?
煩悶する応為の心を知ってか知らずか、
周囲はかしましい。

絵という強い絆で結ばれた夫と娘。
そこに居場所のない北斎の妻「小兎(こと)」の寂しさや、
日頃は犬猿の仲ながら、病みついた北斎に渇を入れに来た
「馬琴」の優しさも、物語を彩る。

この作品では、応為は、
英泉に想いを寄せ、心をかき乱される。
また、「三曲合奏図」のモデルが、彼の妹3人である、という設定もいい!
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北斎と応為の最大の悩み、孫&甥「時太郎」も、
始めから絡ませ、ラストへの伏線をちゃんとはっている。
(コイツは結局、葛飾一門の癌に…)

ラスト、応為は、
窮屈だが安穏な暮らしを捨て、
まだ未熟な自分の画の行き先を求め、
1歩踏み出す。
そう! 応為さんにはそうあって欲しい!!

イッキに読んで、心地良く読み終えた佳作である。

ところで、やっぱり今は、浮世絵ブーム?
で?
応為にも照明は当たっているのか?
「眩」 山積み大売出し中!
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このブームに乗って、
展覧会、やってくれないかな?
「百日紅」、再映してくれないかなぁ〜〜?
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