mixiユーザー(id:9223835)

2016年04月06日10:09

187 view

4月1日 新宿紀伊國屋ホール 白鳥・三三 両極端の会

 春の入り口で天候がぐずぐずしていたせいか、意外に桜が保っている。家の近所は山桜が多く、例年ソメイヨシノより花の盛りが早いのだが、今年は若干時間差はあるものの、ほぼ一緒に咲いている感じ。これに雪柳だの花桃だの海棠だの菜の花まで咲き乱れて花だらけ状態。一足先に咲き終えたミモザがわさわさと風に枝を揺らし、去年植えた山椒がしっかり木の芽を出している。天神の雑木林が遠目にも芽吹きでぶわっと膨らんでいるように見える。春なんだな。

 春は異動の季節。毎週金曜日は定例打ち合わせの日で落語会NGなのだが、この四月一日だけは相手側も異動で打ち合わせ後日の案内が。そして会社員時代にお世話になった方もこのたび異動となり色々忙しいとのことで、行けなくなった落語会に急遽代理で行くことになった。周りがバタバタしている日は大抵自分はヒマ。これがフリーってことなのか。

 一日は映画の日。落語会は夜なので、その前に恵比寿でスペイン映画「マジカルガール」を見ることにする。これがもう見る側に超ハイテンションを強いる作品。見終わった後に疲れ切って、立ち上がろうとした座席からずり落ちそうになった。映画館を出て駅まで歩く間に猛烈に頭が痛くなってくる。慌てて頭痛薬を服用したが、この映画が結局今日の気分を決めてしまった。

 久しぶりの紀伊國屋ホール。学生時代にここでアルバイトしていたのだった。書店の雰囲気は若干変わっても、ホールはまったく変わらない。ここで落語を見るのは立川藤志楼こと高田文夫の会以来ではないか。もちろん「紀伊國屋落語会」など有名だが、自分にとってはここは落語を見るより演劇を見る場所だったような気がする。チケットは完売でいかにもホール落語っぽい30代〜50代男女な客席。

●トーク
 三三、白鳥から師匠・小三治の話を振られ、(自分から好きで話すわけでは無いよ)というポーズを保ちながらも、イヤがるでも無く一門スキー旅行の麻雀大会顛末などを淡々と報告。小三治はもはや環八を出る会場の落語会は前日のりなんだそうだ。会長を退いてからの方が元気そうに見えるけど。この会は毎回片方の演者からもう一方へ宿題を出すという趣向。今回で十回目なのであらかじめ三三から白鳥へ「10にちなんだ新作落語」というお題が出ていた。

●三三「百年目」
 季節らしい噺。でも、あまり屋形船行き交う大川の両岸を飾る満開の桜をイメージさせるようなものではなかった。三三の番頭はとにかく小心。暑さに耐えかねて岸辺に上がってからは酒の力を借りて少し羽目を外すが、概ねびくびくしっぱなしで、とても仕事途中で抜け出して芸者遊びをするような大胆な人には思えない。対比というならあくまでも奉公人たちをにねちねちと小言を云う前段との対比であって、あまり「さすが敢えての遊び人」という面白さはない。その分主人の怒りや、いじめた店の者たちの逆襲を妄想する内面の描写は微に入り細に入りで、三三らしい落語だなとも思えるのだが。

<仲入り>

●白鳥 10にちなんだ新作
 本寸法の古典落語にこだわる坊主頭で小太りの女流落語家の恋物語。どんな乙女の心の中にもあるという紫の箱からエロスがあふれて・・・という・・・う〜ん。途中でお題の「10」をちょこちょこ入れながら、最後は「目がテン(10)になりました」でサゲ。シメのトークで「今日の落語についてはどこかで言いふらさないように!」という箝口令がしかれたので、これ以上は。

 最後に二人で出てきて、次回からはお互いに宿題を出し合うことにすると宣言。白鳥から三三に「白鳥の新作から落語家が主人公の作品を演じる」。三三は白鳥に別の宿題を考えていたらしいのだが、今日の白鳥の落語の中で主人公が人気アイドルに「文七元結」を演技指導するというシーンがあり、その中で白鳥が吾妻橋から身を投げようとする男を引き留めるという部分を一部再現(落語で演じたというには抵抗があるので)したのを舞台ソデで見ている内に「今度の宿題はアニさんに『文七元結』をやってもらうということで」に変更。この公演は年1ペースだそうです。

 外に出ると当日の予報通りに雨。頭痛が治まらず、小田原行きのライナーで帰宅。車内で落語よりも映画の方を思い返していたら、「マジカルガール」のヒロイン二人(余命幾ばくも無い白血病の少女と情緒不安定の人妻)が、岡崎京子の漫画の登場人物みたいだと思い当たる。というか、この映画自体がそのまんま岡崎京子の漫画のようなのだ。監督はアニメ「セーラームーン」や「魔法少女まどか・マギカ」のファンだということはいろいろなインタビューで明言しているようだが、岡崎の作品は読んでいないのだろうか。プログラムを買い忘れてしまったので、詳しいところはよくわからないのだけれど。岡崎京子が元気で、この映画を見たならどんなコメントをするだろうか・・・などいろいろ頭をぐるぐるして、頭痛がもっと酷くなる。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年04月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930