心に残る言葉　そして目にしたもの

朝６時３０分　陸前高田で


朝焼けが終わって浮かび上がる

ただひたすらの平地

ガソリンスタンド後と思しき

無人のコンンクリートの敷地に

ぽつんと手書きの看板

『ようこそ来てくださいました

ご自由にお車を留めて

休んでいってください』

一本松と学校を見て

計り知れない怖さと哀しさがこみ上げた



朝８時　気仙沼で


少し高台の駅とその駅前商店街に残っていたのは

ホームと線路と建物の区画の境　そして　大きな船

人っ子一人いない真っ平らなその町の真ん中で　

合掌した



朝９時　仙台へ向かう海岸沿いの道で


海岸沿いのいち早く復活したコンビニ

店員のご婦人に

「興味本位で来たって思われてもしかたないですよね

でも　来なければって　と思いが募って来ました

ごめんなさいね」

と言いながら買った　おにぎりは

『そんな事　これっぽっちも思っていません

来ていただいて　見ていただいただけで　嬉しいです』

のご婦人の言葉に　喉をとおらなかった



朝１０時３０分　石巻で


壁と柱だけの店や平地の多い商店街の一角で

いち早く営業を再開した老舗の和菓子屋さん

『お客様はどちらから？』

「東京からです」

『ほんとうにありがとうございます』



励ましの言葉さえ言えなくて恥ずかしい僕に

笑みを浮かべながら　時に涙を流しながら

声をかけてくださった　被災地の皆さん


僕は一生忘れません