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2016年03月07日15:16

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「サウルの息子」

アウシュビッツ解放70周年を記念して製作されたハンガリー映画で、カンヌ映画祭グランプリ、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞、そしてアカデミー賞外国語映画賞を受賞、これら3冠は史上初だそうです。

映画の舞台は1944年10月、アウシュビッツ=ビルケナウ収容所。
ナチスにより、同胞であるユダヤ人をシャワー室(ガス室)に送り込んで殺し、遺体を引きずっていって焼却炉で灰にして、その灰を川に捨てる作業、シャワー室(ガス室)の清掃などをさせられ、数ヶ月で彼ら自身も殺されたという「ゾンダーコマンド」の存在を初めて知りました。

「本作では若い世代に戦争の歴史を語ることが大切と考え、彼らに届くように新しい撮り方を試みました」そう監督が語るように、主人公のサウルにのみピントを合わせています。
まるでドキュメンタリー映画のように、カメラはハンガリー系ユダヤ人のサウルという一人のゾンダーコマンドに密着し、大量殺戮が行われていた収容所の実態をリアルに描いています。

ある日、サウルはガス室で生き残った少年を発見したものの、少年はすぐにナチスによって処刑されてしまいます。その遺体を彼はユダヤ教の教義に基づき葬ろうとします。

監督はハンガリー出身のユダヤ人で38歳のネメシュ・ラースロー。
長編1作目で、本作は、ネメシュ監督の祖先のホロコーストでの実体験をもとに描かれているそうです。
ソンダーコマンド”の掟に「子どもだけは引きずらないで両手で抱きかかえて焼却炉に運ぶ」ということがあったそうです。子どもは未来だから・・・。

ハンガリーは1944年の春にドイツ軍に占領され、積極的にユダヤ人狩りに協力、映画の舞台になる10月までのわずか6ヶ月間に44万人のユダヤ人をアウシュビッツに送ったそうです。こういう映画がハンガリーで作られた意義は大きいです。

もちろん重くて辛い映画ですが、やはり目をそらさず見るべき映画、後世に伝えるべき映画です。収容所でも瓶に入れて土に埋めたものが後世に残されたように。
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