カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した台湾・中国・香港・フランス合作映画で、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の8年ぶりの新作で、初の武侠時代劇です。
舞台は8世紀、唐の時代の中国。
モノクロの冒頭から一変、タイトルが現れると、真っ赤な夕日に染まった雄大な大地の映像の美しいこと。
13年前に女道士に預けられた娘、隱娘が両親のもとに戻ってきましたが、道士によって完全な暗殺者に育て上げられていました。
隱娘の標的は、いとこであり、かつて彼女の許嫁でもあった暴君の田委安の暗殺でした。
暗殺の任務中に窮地に追い込まれた隱娘でしたが、難破した遣唐使船の日本青年に助けられます。
セリフが少なく、説明もなく、よくわかるというストーリーではありませんが、ひたすら静かで美しい映画で、血が1滴も出ない殺陣もかっこよく、衣装も素晴らしいです。
台湾、中国、日本で5年の歳月をかけて撮影したそうで、中国の山水画や水墨画のような風景に心惹かれましたし、姫路の圓教寺や、奈良、京都の幾つかの寺社もロケ地に使われています。
ストーリー重視の人には全く不向きで、映像美と雰囲気を味わう映画でした。こういう映画もたまにはいいものです。もう一回見たい気がします。
主演はスー・チー、田委安にチャン・チェン、遣唐使の日本青年に妻夫木聡。
日本ではディレクターズカット版での公開となり、インターナショナル版ではカットされた日本での撮影シーンが含まれ、忽那汐里が日本人青年の回想シーンで出演しています。5年前に奈良で撮影したそうですが、本当に美しくて印象に残るシーンです。インターナショナル版ではカットとは惜しいです。
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