日本には潮干狩りという習慣がある。
子供の頃、瀬戸内の島に住んでいたときに、家の目の前がすぐ浜で、アサリはその気になったらいつでもたくさん捕れた。
祖母はアサリを捕るのが実に旨く、浜に出かけて2−3時間もたったかと思えば、鉄のバケツ一杯にアサリを抱えて帰るのが常だった。
自分も時折つきあうことはあるものの、実のところアサリ捕りは苦手だった。
中腰で炎天下ザクザクと掘り続けるのは本当につらかった。
特にアサリはきれいな土には棲んでおらず、真っ黒で粘土のような土が滞積している場所に棲んでいる。
この土がまた汚らしく、臭いのだ。
元来飽きっぽい自分がこんなこと続けられるわけがない。
「・・・もう、あきたんのあんたは!」
怒る祖母を後ろに自分はいつも他の場所で遊んだりしていた。
干潟にはもっとおもしろい海の生き物たちがいる。
カニ、イソギンチャク、エビ、ウミウシ、それらは見ているだけでもあきない。
しかも夕方五時ともなれば仮面ライダーの再放送がある。
あれから40年たち、自分は東京に住んでいるが、干潟を知らない友人など
「・・・潮干狩り・・・いいなあ」
というが、
「・・・あんなもんどこがおもろいねん」
と今でも自分は思うのである。
(写真は自分が当時遊んでいた干潟の現在)
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