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2015年07月03日22:37

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『二つ枕/杉浦日向子全集第一巻』を読んでみた。

二つ枕
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=18627182&id=380572

<以下、レビューページより転載>

行きがかり上(図書館の貸し出し状況上)、先に読んでしまった全集第二巻の『合葬』が「お武家さま(武士階級)のお話」を集めたモノだったのに対して、本書・全集第一巻『二つ枕』は、そのタイトル通り(二つ枕(を並べる)つうことは、つまり同衾するってことでしょ?)、男女関係を――特に吉原の遊女たちと、そこへ馳せ参じる通人(つうじん。「擬き」も含む)たちとの関係を、扱った短篇たちが集められ、収めてあった。

惚れた腫れたや、恋の鞘当て、男女間の駆け引きなど、わしゃ元来苦手なので、ラブストーリーのようなモノを好んで読んだり見たりすることはほぼないし、偶に読んだり見たりすることがあったとしても、どうにもコソバユくて、話に入って行けないことがほとんどなのだが、いやー、江戸時代の吉原遊郭に於ける男と女のやり取りは、つうか、杉浦作品の男と女のやり取りは、「粋だねぇ」「鯔背だねぇ」「よっ、花魁!」てな感じで、かなり食い入るようにして読んでまった(;´∀`)

現今の性風俗産業は、ただに「性欲の捌け口」にのみ成り下がってる気がして、女の子の方も「金銭欲」だけで動いてる感じで、つまり、お互いに「目先の欲望だけが突出するばかり」て印象で、まるで情緒というものがなく、どうにもイケ好かないのだが、それに比べて吉原の「お遊び」はやっぱ格段に上等である。こういう粋な「お遊び」をして、相手の心の機微を忖度し、あれこれ駆け引きを仕掛けるってことは、確かに芸の肥やしにもなろう♪ と。いや、もちろんブラックな面も多分にあったのは確かだろうから、諸手を挙げて称賛するつもりはないのだが。。。みたいなことも、思ったり。

しかし杉浦女史の文才、江戸時代に関する知識には、ひたすら「凄い」と感心する。
今回特に面白く感じたのは、独特な「花魁言葉」や「江戸っ子(町人)言葉」などの、当世風の言葉遣い。この「言葉」がまた、男女のやり取りを粋で鯔背に感じさせるファクターとして大いに機能してるような気もする。ついつい、真似して使いたくなってくる言葉遣いだった(;´∀`)
あと、表題作『二つ枕』なんかは、絵が浮世絵(国貞?)っぽかったりして、作画的には決して「うまい絵」だとは思わないが、味があってイイとも思った。

つうことで、以下は収録作品と初出一覧

●三寒四温(初出=SFマンガ傑作大全集84年1月号)
●二つ枕/初音・麻衣・萩里・雪野(ガロ81年8月号〜11月号)
●袖もぎ様(不明)
●もず(不明)
●ヤ・ク・ソ・ク(不明)
●ぼうずのざんげ(不明)
●崖(不明)
●駆け抜ける(不明)
●花景色狐巷談(不明)
●日々悠々(不明)
●花に嵐(JUNE83年11月号)
●昨夜の首尾(週刊ポスト85年5月10日号)
●聖夜(漫画ラブトピア83年1月15日号)
●通言室乃梅(ガロ80年11月号)
●廓中通言(未発表作)
●青楼夜話(未発表作)
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