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2015年07月01日09:18

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6月25日 お江戸日本橋亭芸協定席

 芸協の披露目も先週の池袋が終わり、後は国立演芸場と永谷系の演芸ホール。今日は日本橋亭で夢丸の披露目。5時始まりのため開演時は40人程度の入りだったが、中入り後にはほぼ満席に。

●前座 昇羊「つる」 昇吾「道具屋」
 二人とも昇太のところの前座。いろいろ伝説が多い昇吾、上手いへたを超えてにじみ出る可笑しさ。これがフラっていうものなのか。

●小痴楽「湯屋番」
 今回の披露目には交替出演で何度も出ているはず。入門したときの筆頭前座が夢吉で、ずいぶんミスをかばってもらったとのこと。浅草の楽屋である師匠から「ビール買ってこい」と商品券を渡されたが買わずに帰ってきてしまい、結局自分の代わりに怒られたのは立て前座の夢吉だった。「なんで買えなかったかと云うと、そのとき16才で未成年だったからなんですけどね」(W。最初の居候先のやり取りなどを割愛したので、短縮版かと思ったらさにあらず。お湯屋に行って、首尾良く番台にあがってからの若旦那の妄想の嵐が凄すぎる。一之輔とかもそうなんだけど、ひとと同じ噺をやっても同じように演らない。自分がスポットを当てたい部分にウエイトを置いた話運びをする。これも技巧、そして自分の売りがわかっている。

●小助六「反魂香」
 夢丸が浅草にある三畳半のアパート(以前馬るこが云っていた元社員寮か)にすんでいた頃、鯉橋と訪ねたという思い出話。部屋は落語のテープで埋め尽くされ(夢丸世代だったらフツーにCDでしょ!)、暮らせるスペースが一畳しかなかったとか。話半分としても新真打ちの勉強熱心さが伝わる良い話。以前見た時が昇進目前の末廣亭くいつきだったか。そのときはまだ若干落ち着かない感じだったが、この後口上の司会も立派に務め、すっかり立派な若手真打。上品な佇まいに見えるのも良いではないか。

●可龍「桃太郎」
 ついこの間まで一週間沖縄で旅仕事、最後に出た夢丸が「今日は鹿児島から帰ってすぐこちらに出てくれた」と云っていた。旅疲れのせいなのか、つい「落語には若旦那という・・・」とやろうとして、小痴楽とネタがつくと気づき、「小児は白き糸の如し」と子供の話に変更。最後に踊り「せつほんかいな」を。

●楽輔「鰻の幇間」
 太鼓持ちというものは自分で買った着物を着るものではなかったそうな。たいていはお得意様の紋を入れた羽織を仕立ててもらい、その客のお座敷には必ずそれを着ると決まっていたらしい。そういえば幇間は落語でもやたらと旦那から着物をもらうことに執着する。紋付きを多く持っていることが、それだけ良いお得意様をつかんでいることだったからだろう。この噺に出てくるような野だいこは、仕事をしくじって見番にもいられなくなったような食い詰めた男で、それだけに前半の盛り上がりと後半の落胆の差が可笑しくも痛ましい。若い噺家では表しきれない哀感を堪能した。

<仲入り>

●口上
 司会は小助六、三笑亭の若手真打代表として可龍、夢丸を挟んで叔父貴分の楽輔が並ぶ。初代の夢丸は3月に亡くなったばかり。「夢丸の名(夢吉に)をゆずり、自分は夢八に戻るつもりだったが、それはかなわなかった。だけど後のことはすべてきちんとしていったので、たぶんあの世からこの披露目を見て喜んでいるでしょう」と楽輔。

●太神楽 初音

●夢丸「宿屋の仇討」
 出囃子は「元禄花見踊り」。古びた黒紋付きは羊羹色の埃っぽい出で立ちの侍が宿場町を通り・・・とここまで聞いて「抜け雀」?と思ったが、客引きの伊八相手に前夜に止まった小田原の宿で眠られなかった次第を語り初めて「宿屋〜」とわかる。爆笑系はやはり嬉しいでしょう! 相撲の件ではとなりの部屋まで足を突き抜けたりして、相変わらずの夢丸である。落語を聞いて楽しいって、当たり前だけど最高じゃないか! 日本橋は日頃から若手中心のプログラムだが、今日の出演者のバランスは非常に良かった。夢丸の披露もあって、気がつくと芸協ばかり見ていた今年前半であったなあと思い返す。
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