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2015年06月21日02:37

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気は優しくて力持ち

 昨日は突然の訃報に接しショックでした。
 つぶやきでも触れましたが、元大関貴ノ浪の音羽山親方が急性心不全により、43歳の若さで旅立ってしまったのです(元大関貴ノ浪の音羽山親方死去
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3477118
 この人は時々相撲放送の解説もされてましたが、優しさに溢れた素晴らしい解説を聞くことができたので、本当に旅立たれたことが惜しまれます。

 解説者も元力士なので、その人の現役時代を知っていると、しばしば「あんたにゃ言われたくないよ」と感じてしまう解説をする人もいるのですが、音羽山親方の場合はそれがありませんでした。
 かと言って、私は貴ノ浪だった頃のこの人の相撲を高く評価していたわけではなく、どちらかというと批判的でした。
 長身を利して相手を懐に引っ張り込んでねじ伏せるというその取り口には、確かに日本人離れしたスケールのでかさを感じましたが、それだけに、そうした取り口ばかりに頼ってしまうと、腰に多大な負担がかかり、まだまだ伸びる才能も伸び悩んでしまうと感じたからです。実際、素材としては貴ノ浪には及ばないが出足だけは鋭い力士にはよく負けました。
 でも、音羽山親方の解説には、そんな私の見方に反省を迫るものがありました。
 親方は、現役時代の自分の取り口について何か言い訳めいたことを話されたわけではありません。ただ、例えばある力士が伸び悩んでいて相撲の取り口を変えた方がいいのではないかといった話になったりすると、しばしば異を唱えました。しかも、それがよくその力士を見ていないと気づかないことを指摘する説得力ある意見で、伸び悩んでいる力士がどうして今の取り口を続けているのか(取り口を変えようにも変えられない事情があった)がよくわかる説明だったりしたものです。
 残念ながら、私もその説明を具体的な言葉として記憶しているわけではなく、仮に記憶していてそれをここに書いたとしても、その力士のことや専門的知識がなければ、とてもご理解いただけないだろうとは思います。
 ただ、人は困難に直面したときに、その人が培ってきたやり方によってしか、困難に対処することができないといったことが、時々言われますが、親方の解説にはそれに近いものがあったのだろうと感じます。しばしば、そうした解説に接しているうちに、この人はきっといい親方になると確信できるだけのものがありました。安易に取り口を変える指導をするのではなく、その力士が培ってきたこと、できないことを見極めたうえで、できることを伸ばしてやる、そんな親方として大成していただろうと思われるのです。

 親方の解説のなかで、今でも思い出すのは、力士の新婚情報に関するものでした。
 力士は概して若いので、現役時代に結婚する人も多く、しかも結婚はおめでたいことなので、そうした力士が土俵に上がると、アナウンサーは当り前のようにその力士が場所前に結婚したこととかの情報を伝えるものですが、音羽山親方は頼むから、そういった土俵外の情報は流さないでくれと言ったのです。
 そういう情報を流された力士がいい成績を挙げることができたときは結果オーライかもしれないが、いい成績が挙げられる保証はどこにもなく、頑張ってもいい成績が挙げられない場合には、新妻も傷つくし、それを見ることになる力士自身も必要以上に苦しむことになって、良いことは何もないのだから、無責任にそんな情報を公共の電波に載せないでほしいというのです。
 いいじゃないか、それくらいのこと、と思うのは自分が直接の当事者ではないから言えることであって、厳しい勝負の世界に生きている人たちにとっては確かに大問題なのかもしれないなと教えられると同時に、本当に力士の気持ちに寄り添うこの人の無類の優しさを垣間見た瞬間でもありました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZfWeX5yylsk
https://www.youtube.com/watch?v=E8Ud5JVR7MI
https://www.youtube.com/watch?v=FkZEqQ-q6qo
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