夜中12時過ぎ、咳でどうしても寝付けないので薬を買いに外にでた。
薬を飲むために胃に何かを入れないといけないので、屋台でタイラーメン・バミーをすすっていると、横を救急車やら消防車がけたたましいサイレンを流しながら通り過ぎる。
「すぐこい」
秘書に命じるや食事を投げ出してトゥクトゥクを拾いすぐ現場に駆けつけた。
以前からタイの救急現場を見たかったのだ。
プラディパットsoi10、現場に着くとほぼ火災は鎮火していた。なんという早さだろう。
鎮火までの所要時間は出火からだいたい12−13分くらいじゃないか。
自分たちが現場にいたのは午前1230時くらい。
けが人もいないようで一安心だった。
傍らにいたポーテクトゥンの少女たちが天使に見えた。
バンコクの消防事情は進んでいる。
タイには日本やアメリカで言う救急車がない。
厳密に言うと警察や消防署に所属するオフィシャルな救急隊がないのだ。
その代わり財団や個人寄付で成り立つ救急隊がいてポーテクトゥンといわれる。
主要構成メンバーはほとんどがボランティアの集まりである。要するに無報酬。
無線が入ると基地局やら個人の家からすぐ駆けつける。
基本一番乗りしたものに現場を仕切る権利があるから彼らも必死だ。
救急車や原付で喧しいサイレンを流しながら現場に駆けつけるのだ。
彼らの多くは口にする
「徳を積むために来ている。」
でも自分は思うが、たぶん彼らは自分でもできる手助けだと思ってやっているのだろう。
そんなに難しい理由からではなくただ単に人助けがしたい、そんな理由じゃないか。
ポーテクトゥンの話で横道がそれたが、自分が知りたいことはもうひとつあった。
「・・もしスラムで出火した場合間に合うのか」
残念ながら怪しいというしかなかった。
第一消防車自体は写真5のように大きすぎて網の目のようになっているスラムの奥底にははいれないだろう。
バンコクいたるところに存在するスラムは普通の車でさえ入れるようになっていない。原付がせいぜいでそれさえも離合できない。
だとすると大量のホースをもった消防隊員が火元に一番近い消火栓まで決死の覚悟、消防士個人の覚悟を頼み飛び込ませるしかないが、これとて逃げ惑う人々でパニックになっている現場、人がやっとひとり通れる隘路で可能かどうか。
自分の地元で起きた今回の火事は事なきを得たが自分がいつも行くスラムのことを思うと一抹の不安を覚えた。
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