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2015年05月30日17:24

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5月27日 神田連雀亭ワンコイン寄席〜お江戸日本橋亭芸協定席

 今日は一日休み。夜に日本橋亭へ遊雀を見に行く予定だったので、少し早めに出て連雀亭のワンコイン寄席も見ることに。12時10分頃に連雀亭が入るビルの階段を上がると、ドアが閉まっている。そういえば今日は角っこに客寄せの演者もいなかった。休演だっけ?と不安になったがドアに手をかけると施錠はされていない。
 券売にいた女性が「今日は満員なので急拵えのお席で狭くなりますが・・・」とパイプ椅子を広げてくれたが、客席はかなり空いている。その後も来た客が入場を断られている内に、中高年グループの団体客がどやどやと入場してきて、あっという間に本当に満席になった。本日の演者が一蔵、松之丞、小辰の人気者三人組なので満席だったわけではない。でもこれ事前に「本日団体有り」とHPやツイッターで案内した方が良かったのじゃないか。500円の入場料で50人ちょっとしか入れない場所で団体では、いつものつもりで来た客ははじかれてしまう。

●一蔵「夏泥」
 満席の客に気をよくしてか、汗かき顔を赤くしての熱演。後から出た松之丞が「一蔵兄さんは押しの芸で、私も押しの芸」と云っていた通り、本当に押しまくり。師匠の影響を感じさせない芸風だが、この勢いの良さは好ましい。蚊遣りの煙から始まる導入を聞くと、ああ夏の噺だなと感じる。

●松之丞「寛政力士伝 雷電為右衛門」
 何度聞いたか忘れたが、連雀亭でも二度聞いているはず。そのせいか部屋の前に机が・・・のところでは、客の方に先に「下駄替わり」と云われてしまった。今日は真夏日の予報が出るほど暑かったのだが、絽の着物にもポタポタ汗が落ちる。自認の通り押しまくりの一席で「ヒザとしては最低になってしまった」と最後に漏らしていた。座布団にも汗を落として高座を降りる。

●小辰「ねずみ」
 松之丞の濡らした後を気にしながら高座へ。松之丞は「小辰さんが引きの芸でちょうどいい」と云っていたが、小辰本人は「私は別に引きの芸では無いのですが・・・あの二人に比較するとどうしても引いているように見えてしまう」。
 今日の小辰の高座はとにかく丁寧。ひと言もおろそかにはせずに細やかに演じる。もちろん師匠の扇辰も丁寧に落語を演じる人ではあるが、ちょっと一癖ある外見で、子供の出てくるような噺だと違和感を禁じ得ないところがある。その点小辰は高校球児のような素朴な風貌で宿屋の客引きの子供も、左甚五郎の懐の深さもきっちりと演じ分ける。見る人の心をその落語の世界に引き込んでしまう、その意味では確かに「引き」の芸である。二つ目にしてそんな力量を備えているとは・・・小辰、恐るべし。

 神田から上野へ出て鈴本で6月下席夜の部の前売りを購入。いつも思うが鈴本の券売の態度ってどうなのか。あれも都内最古の寄席の味だと云えばそうなのかもしれないが、接客業としてはとても認められない。
その後秋葉原で買い物をしてもう一度神田へ出て日本橋亭へ向かう。客入りは満席とまではいかなかったが60人強くらい、まずまずの入り。シブラクで若い客がついたかなと思ったが、それはなかったみたい。ほとんど日暮里の勉強会と同じ客構成なんじゃないか。

●前座 馬ん長「寄り合酒」 今いち「新聞記事」
 馬ん長は円馬の弟子で、見習いを終えたばかりの様子。声が大きい今いちは、なんと今輔の弟子。ということは新作がやりたくて落語家になったんだろうか。

●昇也「ちりとてちん」
 現在芸協は新真打披露中。来月から池袋が始まるそうだが、マクラではその口上における90才の笑三の計算か天然かわからないボケっぷりについて語る(お客様からご祝儀の三本締めを・・・というところで「三三九度を」と云ったそうな)。最近「酢豆腐」を聞く機会が多かったので、久しぶりの「ちりとてちん」。これも夏の噺だ。一月の二つ目勉強会で「親子酒」をかけた時より、格段に噺を自分のものにしている。ところどころで師匠・昇太を彷彿とさせるところも有り、しかし師匠より滑舌は良い。「親子酒」の時には冗漫だった繰り返しが、今回は大げさな繰り返しならではの可笑しさで笑いを取る。

●遊雀「電話の遊び」
 昇也の健闘を称えつつ「ここからが真打です」と言い放つ。ただ真打だからと云って芸が違うという訳じゃあない「着物が違うんです。私の着物に火をつければ燃えるけど、昇也さんの着物は溶ける」(笑)。噺はいつもの音曲入り落語。電話が混線する場面では昇也の笑三ボケネタを早速入れ込む。

●小南治「そば清」
 のっけから「あたしの着物は溶けないけど、遊雀は芸協に溶け込んでる」「あいつが来る前の芸協はこんな芸じゃなかった」と、ぼやきながらも遊雀との仲の良さが感じられる。「どぉ〜も」でおなじみのそばっ食いの噺だが、ラストの一歩手前で突然自分が生まれ育った春日部での少年時代の話に飛び、憧れの東京から転校してきた女生徒のお弁当にほおずきと見紛うプチトマトを発見した驚き、それに引き替え自分の赤茶けたおかずと日の丸弁当の梅干しは・・・と話をつないで「つまり梅干しはアルマイトの弁当箱のフタを溶かす」というところで噺のオチへ。なんちゅうサービス精神に溢れた「そば清」だ!

<仲入り>

●枝太郎「純情日記横浜編」
 遊雀の会で何をやろうかと悩んで「『オレ遊雀の親友だよ』という師匠から稽古をつけてもらった噺をやります」。この人の落語をそんなに面白いとおもったことはないのだが、この人が長年歌丸の付き人をしてきて得た幅広い人脈や、コミュニケーション能力はすごいと思う。これもまた才能である。

●奇術 マジックジェミー
 いつも気持ちが良いお姐さん。

●遊雀「井戸の茶碗」
 遊雀では初めて聞く噺かも知れない。

 小南治の「遊雀は芸協に溶け込んでる」という言葉を嬉しく思う。また枝太郎が云ったように喬太郎が「オレ遊雀の親友だよ」と云ったならそれも嬉しい。以前白鳥との二人会で白鳥が遊雀に「(協会辞めてから)仲が良かった喬太郎を頼れば良かったのになんで(自分と二人会を・・・)」というようなことを云った記憶がある。柳家同志だから仕方ないのだが…なんとなく、本当にただなんとなく見る側として思い込んでいるだけだが、喬太郎と遊雀には馴れ合わない一線があると思っている。でもいつかはこの二人の落語会が見たいと思っているのは、自分だけじゃ無いはずなのだ。
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