mixiユーザー(id:9223835)

2015年05月13日23:23

41 view

5月9日 末廣亭五月上席夜の部

この春の芸協の新真打は3人。落協の10人が悪いというわけでは無いが、まんべんなく全員の噺が聞けるこのくらいの人数がちょうど良い。それについに夢吉(夢丸になる)が昇進するのだ。本当は3日に来たかったけれど、仕事でへとへとに疲れてしまい、やっと休みが取れた今日末廣亭に。これが今年の寄席通い初めということになるのだな。昨年末に仕事を休んだ分、今年前半は休みが取れなかった。

 昼の部仲入り前から一階椅子・桟敷とも九割ほどの入り。混み合う寄席はあまり好きではないが、披露目は別。客入りが寂しい披露目なんて願い下げである。途中から入ると中トリの遊三が「青菜」を演じていた。もうそんな季節なのだ。年齢を感じさせない語りで、要所要所笑いも取っていた。植木屋が自分の女房を「アレはオンナじゃ無くてカンナ。命を削るね」と極めて第三者的に評するのが可笑しい。

●竹丸 漫談
 以前も聞いた昇太一門の昇吾や自分の弟子・竹のこの話。前は竹のこのことを「来年にはいなくなっているかも」と云っていたが、ちゃんと続いているようで良かった。

●南玉 曲独楽

●助六「顔寸」
 短い噺。以前も助六で聞いた記憶があるが、今回ネットで調べて初めて題名を知った。後に踊りが入るから、寄席のこのくらいの出番ではちょうど良い噺なのだろう。それにしても助六の踊り、柔軟なからだはたいしたもの。これは誰かが継がないと。

●歌春「鍋草履」
 髪の毛が異様にフサフサしているが、地毛だと強く主張。師匠が亡くなれば惣領弟子が名前を継ぐことが多いので、待っているが歌丸も米丸も・・・という話。しかし米丸は長い。もう昭和天皇みたいなもの。

●扇鶴 音曲

●笑三「異母兄妹」
 やはりかなり縮んだ感じ。でも老齢の師匠にありがちな噺ぐるぐるもないし、現役感はまだまだある。最初に結婚しようとした女性の名前が「ヨシ子さん」なのはお約束なのね。オチはもうすべての客がわかっていただろうが、皆が明るく笑っていたから良かった。

<夜席>
●前座 楽ちん「手紙無筆」
 後から出た小痴楽によると楽輔の弟子、つまり小痴楽の弟弟子で、慶大卒で小痴楽より5才年上だそう。ということはきょうび珍しくはないが社会人を経て入門なのか。

●小痴楽「浮世床」
 将棋のところまで。今席は桃之助、可女次と交替。

●漫才 Wモアモア

●笑好「ぜんざい公社」
 そういう落語なんだからしょうがないのだが、若い噺家が「電電公社とか郵政公社とか」と云うのが嘘くさく感じられてしょうがない。JRの省線とか、江戸より近現代の方が死語感ありすぎて落ち着かない。でもこれ、もう20年くらいやりつづけたら、逆に受け入れやすくなるような気もする。死語を突き抜けて古語になるのか。可龍、鹿の子と交替。

●柳之助「荒茶」
 一度やり出すと同じ噺ばかりの鯉斗のせいで、やたらと近頃この噺を聞く気がする。新茶の季節ではあるが。鯉朝、昇之進と交替

●奇術 北見マキ

●柳橋「黄金の大黒」
 小柳の叔父弟子とのこと。昨年も預かり弟子の柏枝昇進で口上に出ていた。ベテランは進行を慮ってかかなり飛ばす。柳好と交替。
 
●夢太朗「湯屋番」
 こちらも真打には叔父弟子。若旦那が最初からあまり湯屋の勤めに熱心でない(最も一旦番台にあがれば大喜びなのだが)ところが新味。楽輔と交替。

●歌謡漫談 東京ボーイズ

●茶楽「紙入れ」
 まあいつもの、と云えばいつものだが、それだけに間違いが無い。可楽と交替。

●小遊三「替わり目」
 勢いが良い。旦那の登場も、酔っ払ったところはなく、もう元っから少しへそ曲がりで人をからかうのが好きなところがありあり。おかみさんはそういう旦那の性格を受け止めて懐が深い。

<仲入り>
 7時を過ぎて二階も開く。昇也が新真打・小柳の風呂敷を出張販売。手拭いなら売れたかも知れないが、風呂敷はなかなか売れない。二枚ほどははけたようだった。

●新真打口上
 舞台上に下手から司会の夢花、柳橋、夢太朗、真打3人、小柳枝、茶楽、小遊三が並ぶ。小柳は日大落研、小夢は立教の湘南OB会、夢丸は出身地・新潟新発田の後援者による幕が張られる。小夢・夢丸の師匠・先代夢丸は3月に亡くなったが、そのことについては特に誰も触れなかった。それでよかったのではないか。小柳は手裏剣の名手だとか。師匠方からどうかトリ・夢丸の途中でお帰りにならないように・・・と再三再四。「お帰りになる方には楽屋から小柳が手裏剣を飛ばしますので」。

●新真打・小夢「壺算」
 朝夢は日本橋や広小路で聞いていると記憶。若干ふて腐れたというか、斜に構えたような印象が残っている。今日もその雰囲気は残しつつ、披露目らしくおとなしめに。自分が主任の時はもっと色が出るのだろうが。夢丸の江戸噺がきっかけで入門したという人だったろうか? だとすると新作指向もありということか。

●新真打・小柳「新聞記事」
 笑松で前座のころ日本橋亭などで聞いたが、印象に残っているのは横浜の無料寄席で聞いた「星野屋」。小柳枝の最後の弟子だそう。

●夢花「人間アドバルーン」
 文枝の新作落語らしい。アドバルーンって廃れた気がするが、天気予報の地方都市の映像などでは上がっているのを目にすることもある。

●小柳枝「たがや」
 今日は土曜で深夜寄席も後に控えている。時間が押していたのか、ただでさえ走り気味の落語がかなり高速に。最後はトントントントンッという噺なので良かったけれど。

●太神楽 ボンボンブラザーズ
 帽子投げを頼まれた男性客が桟敷から降りる際に花台を倒してしまい、小痴楽らが片付けに走るハプニング。

●夢丸「くっしゃみ講釈」
 満場の拍手で登場。夢吉時代から贔屓にしてきた客が多かったのだろう。「待ってました」のかけ声も響き、みな新真打の誕生を心から待ち望んでいたという感じ。何が変わったというわけではなく、今までもそしてこれからも夢丸落語に取り組む真摯な姿勢は変わるまいと思う。だが亡き師匠の名前を継ぐことで、新たに背負う物もまたついてくることだろう。それでも夢丸は、受け継いだ名前を必ずや大きくしてくれるに違いない。二代目の誕生は、きっとこれからの大看板の誕生でもあると思いたい。おなじみ犬糞や人の恋路を邪魔する・・・の件がない「くしゃみ講釈」だったが、今日の披露目を人情話ではなく、ただただ笑える噺でしめてくれたのも嬉しかった。夢吉、いや夢丸はこうじゃないと!

 夢丸が釈台の説明をする際、「今日の深夜寄席に講談の松之丞さんが出るので・・・」と云ったので、深夜寄席に居残ってみるかと外に出て長蛇の列の最後尾に。深夜寄席何年ぶりだろうか。東京の実家を出てから二〇余年、終演が11時では終電が危うい田舎に居を構えてからは足を運べずじまいだった。新宿大通りまで列ができるとか考えられない。また客層が若い。シブラクどころじゃないのでは。カップルも多いし、これも関係者やおじさんグループが目立ち、酔っ払いもいた昔からすると隔世の感あり。 

 開場早々椅子席も桟敷も満席。立ち見も続々という先ほどの披露目以上の客入り。まあ客単価は低いけれど。雷太、松之丞が私服で出てきて携帯と、遊里がめちゃくちゃ緊張していることに関しての要らない(W 注意を客に喚起。

●遊里「饅頭こわい」
 あまり緊張している様子にも見えなかったが、駄洒落尽くしの前半が長すぎたか、5分オーバーで昇々にバトンタッチ。
●昇々「お見立て」
 もう何度も見ているが見る度にこなれて身についた噺に。とはいえ5分オーバーなのでお墓のお見立てを大胆にショートカット・
●雷太「春雨温泉」
 芸協の寄席で他の演者で聞いたことがあるような・・・そのときは非常につまらなかったのだが、こういう演じ方によりけりな噺を、若い客を前に演じるという気概に感じるものがある。4人でも流れは寄席のそれである。

トリの松之丞が出てきたところでマジ終電が危うくなり退出。「ボロ忠売り出し」読んだのだろうか? この深夜寄席の前のシブラクで軽くスベった・・・というようなことを云っていた。客の多くは松之丞を聞きに来たのだろう。盛り上がりが凄かったが。
思い返せば以前自分が深夜寄席に足を運んだときも、目当ては講談の北陽(山陽)だったと思う。当時の自分には年寄りが多い芸協の落語が面白く感じられず、またまだ若くて忙しくて寄席で長々座っていられるほど時間もなかった。聞きたいものだけ聞ければいいと思っていたのだ。松之丞人気を見ているとその頃を思い出す。もちろん松之丞は比べられたくもないだろうが・・・。
 



2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年05月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31