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2015年05月13日20:25

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「あの日の声を探して」

フランス・グルジア合作映画で、第84回アカデミー賞受賞作「アーティスト」のミシェル・アザナビシウス監督が、戦争で両親と声を失った少年が懸命に生きる姿を描いたヒューマンドラマです。

ナチスに収容所に送られ、恐怖のあまり失語症・人間不信になった少年がアメリカ兵の青年に助けられる内容のF・ジンネマンの「山河遥かなり」のインスパイアされた映画で、1999年、ロシアに侵攻されたチェチェンを舞台にしています。

1994年、ロシアからの独立を目指すチェチェン共和国独立派を制圧するためロシアが武力侵攻し、いったん終結後、1999年、ロシアが武力侵攻
し、その後10年も紛争が続きました。約20万人が犠牲になったのに、国際社会が無関心で忘れられた紛争だというのが、監督の制作意図だそうです。

両親を銃殺されたショックで声を失った9歳の少年ハジは、赤ん坊の弟を見知らぬ人の家の前に置き、一人で放浪します。
やがてハジはフランスから調査にきたEU職員のキャロルと出会い、保護されます。

声が出なくなったハジがキャロルに心を開いていく過程、好きな音楽で踊る場面が素晴らしいです。

一方、並行して描かれるのは19歳のロシア人青年コーリャ。
街中で突然警察に捉えられ、強制的に入隊させられ、ひどい暴力によって人間性を奪われ、戦争での殺人に麻痺して行くロシアの若者・・・。
もちろん、ロシアだけでなく、米軍、旧日本軍、ナチス、すべての軍隊に共通することで、戦争の狂気、軍隊の怖さを実感させられます。

冒頭と終わりのシーンがつながるのが見事です。
重くて辛いけれど、とても見応えがありました。

「アーティスト」でアカデミー賞候補にもなった女優ベレニス・ベジョが、キャロル役を演じています。
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