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2015年05月03日16:43

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「NEXT GENERATIONパトレイバー首都決戦」映画

『NEXT GENERATION パトレイバー首都決戦』
<ストーリー>
 最新の熱光学迷彩を備えた戦闘ヘリグレイゴーストが自衛隊から強奪される。かつてクーデターを企てた柘植の教え子たちはこれを使ってレインボーブリッジ破壊などのテロ活動を始める。一方特車二課パトレイバー中隊には解体の時期が迫っていた・・・
<コメント>
 まず、いかにも押井監督による典型的なパトレイバーであり、御馴染みはそれを覚悟して見に行くけれども、あまり押井レイバーを知らずに派手なロボットアクションを期待して見に行った人はあまりの地味さに驚くと思う。実際にイングラムが起き上がって動くシンなんて5分もないんだから。
 ビデオによる実写シリーズから続く最終章でもある今回はアニメの『パトレイバー2』の完全な続編であり、むしろセルフリメイクな感じもある本作であるが、決定的に異なるのは物語のテーマがあるかないか。
『パトレイバー2』では冒頭で兵士として派遣されながら敵の攻撃に対して反撃許可が下りなかったために部下を全滅させてしまった元自衛隊員の柘植が“歪んだ政治的道具としての自衛隊”を巡ってクーデターを企むという実に納得の出来る理由があった。ところが今回は“柘植の教え子”と称されているだけで、テロリストと言いながらその目的が全く表明されないのだ。“正義を行えば世界の半分を怒らせる”というのは押井監督の『紅い眼鏡』のコピーだけれども、『首都決戦』においてテロリスト達は正義を語るけれどもその正義が何なのかが判らないので物語の着地点が見えにくいのだ。
またアニメ『パトレイバー2』同様に特車二課の隊員たちも映画版では単なる後藤田の手足に過ぎないのだ。DVDのシリーズがあるからこそ、キャラクターを生かした大仰な芝居も楽しめることが出来るが初見の人には区別がつきにくい可能性もある。何よりも後藤田とともに物語を進めるのが公安外事課の高畑(高島礼子)とかつての第一小隊の隊長だった南雲しのぶ(榊原良子が声だけ出演)だけなのだから、これは必然的に地味な画面が続くことになる。
 とはいえ、後半はアクションに次ぐアクションというまるで普通の映画のような盛り上がりを見せてくれて特にクライマックスではきちんと戦闘ヘリ対レイバーの戦いを見せてくれるのだから映画としてのカタルシスはきちんと用意されている。
しかし、見ていてつくづく思ったのだが、多分これは押井監督の中の狼対犬の対決なのだろうけれども、その戦いの中で逃げ惑い倒れる羊達の描写があって始めて“正義”のありかが問われるのではないだろうか。
 キャストはもうどれもしっかり馴染んでいて納得できるけれども、森カンナの灰原零が素晴らしい存在感を見せてくれる。
 しかし、この作品をゴールデンウィークの全国公開で上映するとは世の中も変わったなあ。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦
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