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2015年04月28日22:31

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『生誕110年・片岡球子展』に行って来た。

連休4日目。
けふも飽きずにミュージアム行脚。

東京国立近代美術館「生誕110年・片岡球子展」
【展覧会HP】http://tamako2015.exhn.jp/
フォト
これまた開催を知った当初からモノゴッツ楽しみにしてた展覧会!
なるべくベストな環境(なるたけ混雑してない状態)で拝観したかったので、旗日じゃない日に狙いを定め、お邪魔して来ました。

むかしはそんな興味ある画家ってわけでもなかったんすよね、片岡球子(1905〜2008)。
それがガラリと変わったのが、何年前だったか、鎌倉を訪れた時、何の気なしにブラリと立ち寄った神奈川県立近代美術館・鎌倉館で回顧展を拝見してから。
いまにして思えば、『面構え』シリーズの足利将軍3人や葛飾北斎、富士山シリーズの代表的なモノなど、神奈川県立近代美術館の片岡球子コレクションは、代表作と呼べるような優品が揃ってるんですよね(これらの作品は本展にも来てました!)。
で、「何コレ! スゴくね?!」て、ジャイアント馬場に脳天唐竹割を食らったかのような(?!)衝撃を受け、以来、とっても気になる画家のひとり、いやさ、近代の画家の中では屈指の「好きな画家」になりましてm(__)m

今回はそんな片岡球子を、近代美術の展示をやらせたらもう国内随一のクオリティで開催してくれる(と思う)近美さんがやってくれるってんで、そりゃあもう楽しみにしてました♪
そうして本日実際訪れてみて、「やーさすが片岡球子! さすがは近美!!」てな内容の展示に、連休に入って以後では間違いなく最高点の採点をつけたいな! と。
集客を見込めるこの連休には、どの美術館も力の入った企画をぶつけてきてます。なので、この連休中、これまでお邪魔してきた展覧会は、どれもみんなかなり面白かったですし、刺激的でした。しかしそんな中にあっても本展は、つうか、片岡球子は、ちょっと図抜けた素晴らしさ! て感じで♪



代表作って呼べるようなものは、全部揃ってたんじゃないでしょうか?
大画面の大作を中心に、本画が約60点、そして初公開のモノを含むスケッチや資料類の展示が約40点で、構成されてました。
冒頭は、若い頃の作品が多めに展示してありました。
のちの作風を知ってる者から見たら、かなり「おとなしめ」の作品が並んでました。
これは、当時の画壇の風潮を意識して、あるいは、そういう風潮の中で画を学んだから、こういう作風になったのだ。と、解説にはありました。
しかし、おとなしめの作風の中にも、人物の表情の「強さ」などに、パワフルさの片鱗が伺えました。
前田青邨や小林古径など、諸先輩がたが、イマイチ画壇で評価されない球子を激励した言葉が、キャプションに付してありましたが、その言葉がまた感動的で。
「本物はやはり本物を知る」てことでしょうか? 青邨や古径は、球子がブレイクするずっと以前から、彼女の絵に「ホンモノ」を見てたようです。

48歳の時、『カンナ』で遂にブレイクします。
この作品がまた素晴らしいんですよぉ!
以降は、水を得た魚のように、パワフルな筆致、鮮烈な色彩感覚を炸裂させ、大胆なデフォルメを施した作品で一気にスパーク!!
彼女の絵の何がこんなにわしを惹きつけるのか!?
作品の前で、その圧倒的な迫力に気圧されながらも自分なりに考えてみました。
やっぱ先ず、ズドン! とくるのは、「色彩」ですね。
とにかくヴィヴィッドな色が、もう物凄い勢いで視界を領す感じ?
オレンジ、赤、黄色、青、緑(黄緑)、ピンク。。。とにかく、鮮やかな色を多用して描かれてる絵が好きです(大体の作品は、こうした色を多用して描いてます。なので、大体は「好き」です(;´∀`))。
あと、歴史上の人物をモチーフに描いた『面構え』シリーズや、雅楽・伝統舞踊などをモチーフに描いた「人物画」の類では、それぞれの人物が着用してる「着物の柄」が、また素晴らしい! ここにも独特の色彩センスが見て取れますし、また、解説によると、「衣装の意匠(ダジャレ、スイマセン)」については、かなり研究されてたようです。
それから、人物画はインパクトのある「表情」がまた印象的なんですよねぇ。
富士山シリーズなどの風景画は、とにかくパワフルさ。大自然の荒々しさが、そのまま乗り移ったかのような。

そうそう、資料系の展示も、とても面白かったです!
今回の展覧会を準備してる過程で新たに発見されたという、球子が1962(昭和37)年、約40日間渡欧した折につけたって、メモやスケッチ。滞欧中に見て廻った展覧会の印象がメモってあったり、その時に観た作品の模写が描いてあったりしました。
ミロやフォートリエ、デュビュッフェ、シュルレアリズムやフォーヴィズムの画家の作品を見て廻ったみたいです。
それからスケッチ。
彼女の場合、風景画のスケッチは、既にスケッチの段階からしてスパークしてました(;´∀`) スケッチ(写生)っつうか、もうデフォルメバリバリだし、完成作品と変わらない感じ。。。ただ、『面構え』シリーズなどの人物画は、かなり入念な下準備(その人物に対する勉強であったり、衣装などの研究であったり)をしてから写生をし、その後、作品に昇華させたんだなぁ、て。また、花鳥画とかの写生は普通にウマイです。風景画のスケッチとのギャップは何なんだ?! て、不思議でしたが(;´∀`)

とまあ、とにかく圧倒的なインパクトの作品群が、休みなく連なってるって感じで、最初から最後まで「スゲエ」「好きだ」「参った」「面白れぇ」の連続で、一気に観終えたって感じでした。
繰り返しになりますが、ほんと素晴らしかったです♪



てな感じで特別展を観終わったあとは、当館を訪れた時の「いつものコース」。
上階にある常設展と、それから、徒歩5分ほど離れた場所にある工芸館を歴訪し、そちらでも展示を楽しみました。

常設も、相変わらずクオリティが高かったです♪
先ず、ハイライト・コーナーで真っ先に出迎えてくれる川合玉堂の『行く春』(重文)に大感激。久々に観ましたが、やっぱイイです!
で、特別展(片岡球子展)にリンクさせてるっぽい内容で、肖像画特集(『面構え』シリーズにリンクさせて?)→富士山の絵の特集→日本画コーナーは女流画家(上村松園や小倉遊亀など)特集。という感じで、構成されてました。
肖像画コーナーでは、伊藤深水の『清方先生寿像』が出色の出来でしたね!
深水の美人画はあまり好きではないんですが、この絵はホントよかったです。
そして、この絵の対象、深水の師匠にあたる鏑木清方の『三遊亭円朝像』(重文)も、さすがの出来栄えで♪
富士山コーナーでは、川瀬巴水の作品が5点、ステキなのが出てました。
女流作家特集では、上村松園がやっぱよかったです。片岡球子の作品も、コチラに1点出てました。
そのほかで圧倒されたのは、藤田嗣治の戦争画。
『アッツ島玉砕』『サイパン島同胞臣節を全うす』など、既見の作品にも、改めて惹きつけられましたが、はじめて拝見した『哈爾哈(ハルハ)河畔之戦闘』(ノモンハン事件を描いた作品だってことでした)て、横4mほどもある(縦は1.5mくらいかな?)大作が、また迫力あって凄かったです。
その一方で、猫が14匹、飛び跳ねながら相争う、てんやわんやの光景を描いた微笑ましい『猫』て作品があったりして、このギャップがまた。。。て(;´∀`)


さらに工芸館では、↓コチラの企画展が開催中。

東京国立近代美術館・工芸館「所蔵作品展・近代工芸と茶の湯」
【展覧会HP】http://www.momat.go.jp/CG/moderncraft_teaceremony/index.html
フォト
日本の工芸が大きく展開した背景には、茶の湯との深い関わりがあった! て視点から、重要無形文化財保持者(人間国宝)をはじめ、近現代の工芸作家たちの茶の湯にまつわる作品を取り揃えた所蔵品展。
当館所蔵品展の場合、本館で特別展チケットを購ってれば、コチラの共通券も付いてくるんで、入館は無料です! そう、ロハ同然でこんだけのクオリティーの作品が観れるんですから、行かなきゃ損。つうか、わしはとしては、大好物の近現代の工芸モノ。おカネ払っても、ついでに観ますけどね。。。
で、う〜ん、やっぱ工芸品のコレクションも、近現代のモノではコチラは図抜けてますね♪
ハイライトは、いきなり最初の部屋にあった、金重陶陽の備前焼の水指、荒川豊蔵の志野茶碗、黒田辰秋の螺鈿中次が並べて置いてあったコーナーですかね。
以後、目についた作品の作家名を挙げていくと、、、三浦小平二、川喜多半泥子、濱田庄司、辻清明、三輪壽雪、石黒宗麿、北大路魯山人、松田権六、鈴木蔵、藤原啓、岡部嶺男、川瀬忍、松井康成といった、いつものメンバー。
こうして、好きで見続けてると、自分の「好みの傾向」が明確になってきて、それもまた面白いです。
初めて知った作家の作品では、林恭助の曜変椀がキレイでした♪
あと、最後の「人間国宝・巨匠コーナー」は、さすがに相変わらずみんなイイです♪


とまあ、こんな感じで本日もまた、大満足の見学が出来ました。
連休に入ってから4日間、ハズレの展示は皆無。素晴らしい拝観が続いてます。
よきかなよきかな(*´▽`*)
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