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2015年04月26日22:18

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『燕子花と紅白梅・光琳デザインの秘密』に行って来た。

連休2日目。
きのう遠出したので、きょうは近場で軽めにm(__)m

根津美術館「尾形光琳300年忌記念特別展―燕子花と紅白梅・光琳デザインの秘密」
【展覧会HP】http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
フォト
そっかー、光琳さん亡くなって、今年で300年なんだね。で、若冲と蕪村は生誕300年なわけかぁ(こっちは、サントリー美術館でやってますネ)。300年前って、日本美術にとって、相当エポックな年だったんだね。
つうわけで(?)、300年後のいま観ても、カッケぇな! て唸らずにいられないような、クールなデザインを炸裂させる天才・光琳さんの、没後300年を記念した回顧展にお邪魔して来ました。

混んでるかなあ? て、出かける前から一抹の不安があったんですが、案の定。。。
久々に、こんな人がウジャウジャ居る根津美に来た気がします。あっ、ひょっとすると、休日にお邪魔したの自体が久々なのかも??
とにかく、西洋画なら印象派。日本美術なら琳派。コレ、テッパンで来客を見込めるコンテンツ。

しかも今回は300年忌っつうことで、光琳筆の2点の国宝絵画『燕子花図屏風』(当館蔵)と『紅白梅図屏風』(静岡・MOA美術館蔵)を、54年ぶり(、、、あれっ? 56年ぶりだっけ?)に並べて展示するという大盤振る舞い! まあ混雑するのも無理ないかも知れません。
けど、54(あるいは56)年ぶりと言っても、当館で本展が始まる数ヶ月前、MOA美術館の方で先に、並置展示は実現しちゃってるんで。。。まあ、わしはそちらにはお邪魔してないんで、一緒に並んでる姿、楽しみにして来たのは確かですが。。。


もう会場冒頭のトコから人がウジャウジャ居て、先が詰まってたんで、出端の展示はとりあえず無視して、真っ先にメインディッシュの燕子花と紅白梅の前へ!
展示室1(いつも特別展をやってる、いちばん広い部屋ですね)の奥の展示ケースに、二つ並べて陳列されてました♪
さすがに、「何かスゲエ贅沢」と、舌なめずり(?)。ただ、それほど感動したかといえば、正直そうでもなかったです。。。(;´∀`)
なぜか?
おそらく、何度も何度も繰り返し観たことある図像だからじゃないでしょうか? いえ、実物には、紅白梅図は今度で2度目、燕子花図も多分3度目のコンタクトなんですが、画像や映像で、もうホント飽きるくらい観てるんで。。。しかも、人が多くて、とても鑑賞に集中できるような環境じゃないし。。。
展示の仕方としても、いろんな美術系のテレビ番組で取り上げられてた先のMOAの展示のように、向かい合わせに展示してくれた方がよかったな〜、なんて。横一列に並べるんじゃなしに。
まあしかし、根津美さんの展示スペースじゃ、それはちょっとムリな注文か?


で、きょうの展覧会で自分なりに設けてた課題は、昨日の訪問先で買って来た山口晃の『ヘンな日本美術史』て本にあった次のような記述。。。

「日本で開かれる展覧会などに行きましても、照明の方向まで考えられているものは多くありません。
 例えば金箔の貼られた屏風なども、上からの照明で見ると背景が黒く沈んでしまいます。けれども、屏風と云うものが置かれた環境を考えた時、上から照明が当たる事は本来考えられません。昔は天井に照明はありませんから、基本的には昼は窓から、夜は燭台からの横に入ってくる光の下で見たはずです。横から光を当ててみると、金箔と云うのは透けて見えるのです。
 これを美術館で体験するには、しゃがんで見るのが一番です。少し見上げるようにして見てみると、光の入射角が変わって、途端に金がふわっと明るくなります。奥行きが出て、一種のイリュージョンのように感じられるはずです。」
※『ヘンな日本美術史』P77〜P78より。

この、「金箔屏風をしゃがんで見ると、光の入射角が変わって、途端に金がふわっと明るく見える」を試してみることでした。


混雑を掻き分け、金箔屏風である『燕子花図』の前でしゃがんでみましたよ。
「何さらしとんねん、ワレ」「邪魔じゃ、どきゃあ!」て、(何故か大阪弁や名古屋弁での)周囲の人からのプレッシャーを感じつつ。。。
結果、、、確かに山口さんの著述通り、金が明るく見えました!!
なるほど、絵画も上下に視点を変えて見ると印象が変わるんだ! て、目から鱗の発見でした。これまで、左右(角度)や遠近(距離)で視点を変えて見ることはあったんですが、あるいは、仏像(彫刻)や工芸品では、上下(高低)で視点を変えて見ることはよくやってたんですが、絵画のような2D作品でも、視線の上下(高低)移動でこんなに印象が変わるんだ! て。

これがわかってからは、ほかの金箔屏風の作品を見かける度に、その前で屈み込み、ほかの客に白眼視されながらも(?)、「わっ、これも全然印象が変わりましたヨ!」て、ひとりでニタニタしてました。たぶん周囲の人には、アタマのおかしいヤツだと思われてるかも知れません(;´∀`)


混雑してた割りに、展示は見やすかったです。
展示1室なんかは、メインの国宝2点を含む、7点の屏風だけで構成されてて、かなりサラッと観れました。
国宝以外では、伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛の『蔦の細道図屏風』(重文・相国寺蔵)が超カッコよかったです!! この作品が個人的には、本日いちばんの発見でしたね♪

それから面白かったのが、『小西家文書』(重文・京都国立博物館蔵)て資料系の展示です。
これ、光琳の息子・寿市郎が養子に入った小西家に伝わった文書記録でして、光琳の生家・雁金屋の帳簿記録のようなモノから、衣装図案の下絵帳、そして光琳本人の絵画作品・工芸作品の下絵・図案まで、いろんなモノが揃ってまして。
おそらくこの図案がベースになって描かれたんじゃないか? て下絵の載ってる『小西家文書』が、展示作品の横に所々展示してあったりしてですね。見比べて拝見してみる楽しさがありました。


本展に先駆けてMOAで開催された燕子花+紅白梅展は、展示スペースのデカさを活かし、琳派の系譜を受け継ぐと思われる現代作家まで守備範囲を広げて、その連なりを考察してみる。みたいな構成だったようですが、当館の展示は、スペースが狭い分、コンパクトにまとめつつも見せ方を工夫して、なかなか興味をそそる構成になってたと思います。

それにしても、紅白梅図の前からは全然人がハケなかったので、これだけは遠目からしか見てません(;´∀`)
ま、本で知った「山口理論」が実践でき、効果を確かめれただけでも、きょうは「大いに収穫有」てことで♪
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