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2015年04月19日22:28

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『ダブル・インパクト―明治ニッポンの美』及び『保存修復彫刻研究室研究報告発表展』に行って来た。

本日も夜勤明けの半休を利用して、またぞろミュージアムへ行って参りましたm(__)m

東京藝術大学大学美術館「ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト―明治ニッポンの美」
【展覧会HP】http://double-impact.exhn.jp/
フォト
日本美術のコレクションでは西洋随一の質と量を誇るボストン美術館と、明治期わが国の芸術家の大半を輩出した東京藝術大学のコラボ企画。
幕末の開国以来、西洋文化に触れて大きな衝撃を受けてきた日本(ウェスタン・インパクト)。一方、西洋人たちも日本独特の文化・芸術に触れて、ある種のインパクトを受けたのでした(ジャパニーズ・インパクト)。
この「双方向の衝撃(ダブル・インパクト)」を、日米ふたつの美術館のコレクションを合わせ見ることから、改めて検証してみよう! みたいな企画。


先ずはじめに惹かれたのは、ボストン美術館のコレクションになる、幕末から明治初年にかけての古写真です!
わしはなぜかしら古写真が大好きなので、とても興味深く拝見しました。
往時の町の様子を写したモノは、比較的よく見かける気がするんですが、今回面白かったのは、岩倉具視・木戸孝允・森有礼・西郷従道ら当時の著名人を撮影した肖像写真。教科書などによく載ってる、あの有名な肖像写真でした♪
そして、大好きな金工作家・鈴木長吉による『水晶置物』に「おほほ〜っ!」てなり、絵画で最初に「イイネ!」て思ったのは、河鍋暁斎と柴田是真。
また、ボストン美術館所蔵の工芸品は、「作者不詳」となってるモノが多かったんですが、どの作品も、確かな腕の職人が手掛けてるのは明白という超絶技巧。当時、これをコレクションした人物の目も、職人の腕同様に確かだったようでm(__)m

冒頭と中盤にけっこうな数あった錦絵(浮世絵)の展示は、文明開化当時の様子や町の変化など、歴史の変遷を辿る「史料」として見れば面白いモノでしたが、絵画作品そのものとしては、ほとんどグッとくるモノはなかったです。
ただ、そんな中にあって小林清親の作品はちょっとレベルが違う輝きを放ってましたね。先般、小林清親展で拝見したのと同じ作品が過半でしたが。
つうか、まあ彼の作品は、そのほかの錦絵とはちょっとスタンスが違うので、単純に比べることは出来ないかも知れませんが(清親の作品は風景画としての要素が強い。ほかの作品からは、ジャーナリズム的な要素を強く感じた)。

そして展示も後半。
何度観てもグッとくる狩野芳崖の『悲母観音』がやっぱりよくって、きょうもこの作品の前でいちばん長い時間を過ごすことになりしましたm(__)m
その隣りには、ボストン美術館が所蔵する岡倉秋水(岡倉天心の甥)が模写した『悲母観音』も並べて展示してあったんですが(コチラは本邦初公開)、秋水には悪いけど、こうして並べて見てみることで、オリジナルの凄さが改めてよくわかったように思います。次元が違います。
ギャラリースコープで覗いてみると、瓔珞や衣(薄絹)の浮き出るように見える描写なんかがよりよくわかり、もう感激!!
わしとしては、そろそろ近代絵画が国宝になるんじゃないか? て、密かに期待してるんですが、そうなるとすれば、先ず最有力候補はこの『悲母観音』でしょう。だってスゲエんだもん。
いや、芳崖の作品はほかにも素晴らしいモノが揃ってました。そうして橋本雅邦、雅邦門下の大観・春草・観山あたりが続いてましたが、この辺の作品は流石のハイクオリティー! しかし中でも今回特に響いてきたのは観山の作品でしたね。

それから本展での新たな発見!
チラシにも使われてる『菅原道真天拝山祈祷の図』を描いた小林永濯。
彼の作品はこの『菅原道真〜』以外もよかったです!
いや、何しろこの『菅原道真〜』がよかったんです。
意外に大きな作品で、縦は2.5mほど、横は1mほどもあったでしょうか?(そのサイズの外側に軸装)。大画面の掛け軸に、まるで漫画のようなポップなタッチの迫力ある図柄。太宰府に流された道真公が、無罪を訴え天神と化す、まさにその瞬間を描いた図だそうで。
さらに、もうひとつチラシに使われてる木彫作品、竹内久一の『神武天皇立像』も、意外なほどのそのデカさに圧倒されました。台座を入れたら4mは軽く超す像高。迫力がありました。


と、こちらの展覧会だけでも十分満足だったんですが、きょうは同じく藝大構内の展示室で開催されてた、以下の展示にもお邪魔して来ました。
てか、4月15日〜19日(本日)のわずか5日間限定で開催されるこちらの展示会を観たいがために、わざわざこのタイミングを選んで本日藝大にお邪魔したんすから。


東京藝術大学大学美術館・陳列館「保存修復彫刻研究室研究報告発表展」
【展覧会HP】http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2015/hocho2015/hocho2015_ja.htm
フォト
藝大には、「大学院美術研究科・文化財保存学専攻・保存修復彫刻研究室」つう部署(?)があります。その名のとおり、彫刻文化財(日本の彫刻文化財の大半は仏像です)の保存修復を行う機関です。
わしがこの研究室の存在を知ったのは、先年、横浜のそごう美術館で開催された、この研究室の教授・籔内佐斗司(※奈良遷都1300年祭のマスコットキャラ「せんとくん」をデザインした御仁としても有名です)の個展を拝見したのがきっかけでした。この展示内で、彫刻文化財の修復活動も紹介されており、強く関心を持ったんです。

本展では、平成26年度に保存修復彫刻研究室が受託し、当研究室教員・大学院生らによって修復された実物の彫刻文化財を展示するほか、国指定重要文化財の模刻作品の展示、さらに映像や写真パネルを使って、修復や模刻の模様が段階を追って詳しく解説されてました。
修復作品の中には、奈良・円成寺の重文・四天王立像のうち、広目天と持国天の御姿も。鎌倉期のカッコイイ慶派仏です。
修復の様子を解説するパネルでは、寄木造の像を一旦バラバラに分解し、欠損した部分を新たに補うなどしてました。こんな風に修理するんだぁ。と、ある種の感動を覚えましたね。
また、模刻作品では、奈良・東大寺中性院の弥勒菩薩立像(オリジナル=重文)と、山形・慈恩寺の普賢菩薩騎象像(オリジナル=重文)がカッコよかったです。
慈恩寺の普賢菩薩のオリジナルは、象座の牙や爪などが欠損してるらしいんですが、その部分を復元しての模刻だってことでした。
この二つの作品は、いずれも「お仏壇のはせがわ賞」て賞を受賞してました。
「そんな賞があるんだあ!」てのが、いちばん面白かった点かも知れません(;´∀`)

とまあ、とにかく、こうして日本の彫刻文化財は保護され、補修されてるんだね。ということがよくわかり、とても興味深かったですm(__)m
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