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2015年04月12日21:46

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『没後100年小林清親展―文明開化の光と影をみつめて』&『特別展・広重と清親―清親没後100年記念』に行って来た〜前篇

基本的に、美術館のハシゴはしないことにしてます。
何しろ、集中力&(集中力の)持続力に乏しい人間なので。本来、1日1つ展覧会を観るのがやっとなんです。
いえ、遠征先では気張って連荘もしますけど。まあ、それは特別態勢ってことで。
近所でやってるモノは、そんな無理しなくても、、、て思いのが強いので、ハシゴはしないんですが。。。
しかし今回は、同じ「没後100年記念の小林清親展」てことでもあり、丸一日のお休みで時間にも体力にも余裕がありましたし、展示規模としてもそれほど大きくはない2館ってことで、特別にハシゴで巡拝してみたんすよね!
きょうの日記は、その前篇として、先に訪れたコチラの展覧会について、書いておきます(後篇はあすUPする予定です)。


練馬区立美術館「開館30周年記念・没後100年小林清親展―文明開化の光と影をみつめて」
【展覧会HP】https://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/kiyochika2015.html
フォト
美術館の前庭に、いつの間にか緑地公園が出来てました。動物たちを象ったオブジェがたくさんあって、家族連れが大勢遊んでました。
楽しそうでいいね。て思いながら、こんな公園が知らん間に完成するくらい久しく当館には来てなかったっけ? とも思いました。
で、帰宅後調べてみたら、去年のゴールデンウィーク中にお邪魔して以来の訪問でした。つまり約1年ぶり。
練馬区美さん。独自の着眼点で、なかなかエッジの効いた異色の企画を組んでくれる好きな美術館さんなんですが、、、随分とご無沙汰してしまいましたm(__)m


今回の企画は、「光線画」て独特な画風を編み出し、「最後の浮世絵師」なんて呼ばれることも多い小林清親(1847〜1915)、その没後100年を記念した回顧展です。

まず目を引いたのは、その来歴。
御家人の子息で、将軍直属の配下だったらしい清親は、幕末の動乱期、鳥羽伏見の戦いにも参戦したようで、江戸へ敗走した後は無血開城も経験し、将軍の駿府(静岡)遷座にも随行して、一時は江戸を離れたみたい。しかし帰京後に、絵師として活躍を始めるという、なかなか波乱万丈の前半生を送ってます。

で、展示作品の内容ですが。。。
横浜美術館の常設展やなんかで、30点ばかりの作品が特集展示されてたのとかは観たことあるんですが、さすがにこれだけの数まとめて拝見したのは初めてでした。
やっぱり、光と影を巧みに描き分けた「光線画」、夜の場面を描いた「夜景図」などに、素晴らしいモノが多かったと思います。
花火やお月様など、画面奥に描かれた発光体による逆光で、近景の人物がシルエットになってるような図柄が、得意中の得意ですよね。人物は影になって表情が全く読めないんですが、それがかえって観る者の想像力を掻き立てて、イイんじゃないかと思ったりもしました。そう、表情はわかんないんですが、それぞれの人物の囁きや歓声や息遣いが聞こえてきそうな、臨場感ある作品が多いんですよね。
そのほか、素晴らしいな! と思った点。
一つには、画中に描かれた市井の人々の「生活感」が感じ取れること。これは、先にも述べた「臨場感」てことともリンクしてくると思います。リアリティがあると申しますか。
そして、江戸から明治に移り変わっていく時代の流れ、風俗の変化が、ほんとによく捉えられてるという点が、スゴイな! と。
浮世絵って、本来「風俗画」だと思うんです。町人文化に端を発した、町人の風俗を活写した絵画ジャンル。そういった意味で、時代の激変「御一新」と共に、どんどん変わってく町の様子や人々の様子(建物・ファッション・ツールなど)が、とてもしっかり描けてるってのは、「浮世絵(=風俗画)」としての本義を見事に果たしてるな! なんて感心したりもしたのでした。
ただ、何作品も観ていくうちに、風景画や動物画などの巧みさに比して、人物画があまり得意じゃなかったんじゃないかなあ? て疑念も生まれてきまして(;´∀`)
『清親ポンチ』シリーズのような、面白おかしい戯画作品になってくると、いい感じに力が抜けて、また人物画でも違った魅力が感じれたんですが、、、風景画の中に描き込まれてる人物の様子などからは、あまり、人物を巧く描こうって感じが伝わってこなくって。。。
そんな風に考え始めると、ひょっとして、人物を描くのがあまり好きじゃなかったから、あえて人物が逆光でシルエットになるような図柄を多用したんじゃ? て邪推まで生じて来まして。。。これって、考え過ぎですかね?!
いや、確かに展示後半の肉筆画やスケッチのコーナーでは、人物画もかなり巧みに描いてたので、「苦手」とか「下手っぴ」てことは、ないのかも知れません。が、少なくとも、風景をメインに描いてる作品では、人物の容姿には(容姿を巧く描くことには)、あまり関心がなかったように思うんですよ。。。
まあそれはともかく、肉筆画やスケッチは今回はじめて拝見しましたが、やっぱさすがに上手かったです。
龍の親子を描いた掛け軸とか、ライオンの姿を描いた屏風、平家物語の著名な一場面を描いた銀屏風など、浮世絵作品とはまた違った味わいのカッコイイ作品が多数あって感心しました♪


てな感じで、1館目で既にかなりの満足感を得ながらも、続いて、同じ小林清親の没後100年を記念する別な展覧会に足を向けたのでした。お次は原宿へ。

後篇につづく。
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