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2015年04月02日23:02

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ロケ映像そこそこ。でも、物語と女優の芝居は学芸会レべル 『ジョーカー・ゲーム』

海外ロケで撮影した映像はそこそこすごい。
でも、物語と女優の芝居については学芸会レベルだ。

大戦渦中、日本に存在した架空の諜報組織“D機関”。
機関に所属する嘉藤は、
新型爆弾の秘密を記すブラックノート回収のためにシンガポールへ向う。

原作すべてを読んでいる自分からするなら、原作は“動”より“静”の印象が強い作品だ。
中心は騙し合いや化かし合い。個人や国家の陰謀が絡み合う。
アクションはほとんどない。*1
ただ、わかりやすさの選択に、アクション方向へ舵を取るのは、
まちがっていないだろう。*2

原作では記号 *3 のようなD機関構成員(嘉藤)に亀梨和也。
魔王の名を持つ結城中佐に伊勢谷友介。大戦渦中の南国の風景。
イメージは十分。だが、どうにも2人と風景を活用しきれていない。

『SRサイタマノラッパー』の撮影で、入江悠は長回しの演出(映像)が評価をされた。
本作でもテイストは方々に感覚できるが、
この場合、その導入が冗長でスピードを犠牲にしている。
アクション主体の作品なら安直でも、もっともっとカットを割り、
場面の速度を調整(編集)すべきだ。

原作には影も形もない女スパイの深田恭子は、
峰不二子のようなステロタイプで失笑する。*4
立ち回り、台詞、喘ぎや叫び、すべてがつたない。まさしく学芸会レベルだ。

でも、その原因は脚本の選択だ。制作の事情はわかるのだが、
彼女と、彼女の存在を導入した物語が作品全体をひどく陳腐にさせている。


※1 結城中佐の言う様にスパイが戦う状況は、あくまで緊急事態であって、そもそもあってはならない。

※2 諜報戦や諜報戦の場面だけでは地味がすぎる。では、『裏切りのサーカス』や『誰よりも狙われた男』はどうか。諜報戦や諜報戦、登場人物の疑心暗鬼のみによって、充分、物語を描き切った。結局のところ、本作はそれができなかっただけだ。

※3 「〜東洋人特有の切れ長の目。改めて見れば思いのほか端整な顔立ちをしている(原文ママ)」原作のD機関のスパイは文中で、大抵、こんなふうに描写されるだけだ。

※4 峰不二子なら峰不二子でもいい。でも、峰不二子に必要な要素は、時折見え隠れする知的さと同時に惨酷さだ。すくなとくも、この脚本と深田恭子にそれはない。
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