時々夢にみるんだ。
中学時代に入れられた児童相談所。
とある寒い夜に
「・・おかあちゃん」
といいながら自分の布団にはいってきた男の子。
体中、生傷だらけで親にはさんざんひどいことをされているのに
「・・家に帰りたい」
と言って夜泣いていた男の子。
児童相談所の部屋は当時窓が檻のようになっていて、外を眺めるだけで刑務所にいれたれたような気持ちになった。
風がゴトゴトなる夜などはどんなに心寂しかったか。
幼い5−6才のこらが寂しがるのは無理もない。
自分はその子らに何ができるだろうと当時必死に考えて
お風呂に入るときに身体の洗い方を教えることから始めた。
最初は頭に水をかけられるのさえいやがっていたけれど、
児相の生活が長いとできるようになる。
自分は当時から子どもが好きでその幼い子ら2人を同じ部屋にあてがわれて
川の字になって寝たのはいい思い出。
自分が児相を出所するときに彼らは泣いて
「・・母ちゃんまで俺を捨てたのに銀ちゃんまで俺をすてるんか」
と泣いて腕にすがってきたのは今でも忘れない。
パジャマの畳み方、ふとんのあげ方を覚えさせるとき、いつもいっしょだった。
ぎこちなくても一生懸命しようとする彼らはどんなに健気だったか
自分はことあるごとに彼らに言った。
「・・・そのうち母ちゃん迎えにくるけんな、がんばらんとの」
彼らは嬉しそうに「・・うん」とは言ったものの、それが嘘だと実はわかっていた。
彼らと離れるときそれを知って自分は児相に残りたいとも思った。
でもそれはできなくて、あれから30年
違う国で彼らのお父さんになりたいと思っている。
道のりは長いけれど、がんばろう。
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