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2015年02月01日00:00

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「美しく青きドナウ」と某国営放送の震災復興支援ソング

 今日から2月ですが、2月に初演されたとみられているウィンナ・ワルツは、結構あります。例えば;
ウィーン気質(かたぎ)
https://www.youtube.com/watch?v=V1vk3LcOsc4

春の声
https://www.youtube.com/watch?v=FcmAim-S5SI

芸術家の生活
https://www.youtube.com/watch?v=MY8gDLz1sjc

 なんだか、一ヶ月遅れのニューイヤーコンサートみたいになってきましたが、ここに紹介した曲は、すべてワルツ王と云われたヨハン・シュトラウス2世が作曲したものです。
 でも、ヨハン・シュトラウス2世といえば、なんといっても映画「2001年宇宙の旅」(1968)にも使われていた「美しく青きドナウ」でしょう(148年前の2月15日に初演されてます)。
 この映像にこの曲を組み合わせたS.キューブリックのセンスには脱帽です。
(途中までですが→)https://www.youtube.com/watch?v=05-Spvs7wPo

(全曲はこちら→)https://www.youtube.com/watch?v=4k1RjZ-SOLU

 でも、この曲の初演時の評判は今一というか、はっきり言って不評だったようです。
 もともとこの曲は、1859年にはソルデリーノの戦いでイタリアに敗れ、その7年後にもプロイセンに戦争で負けて意気消沈していたオーストリア国民を元気づけるために、作曲されたものでした。当時のウィーン男声合唱協会の指揮者だったJ. ヘルベックという人がヨハン・シュトラウス2世に景気付けの合唱曲の作曲を依頼したのです。だから、今で言えば、この曲は、某国営放送(←厳密には国営ではないのですが、それを知った上であえてこう言います)がしきりに宣伝しているあの震災復興支援ソングみたいなものだったわけですね。
 でも、それまで合唱曲なんて作ったことがなかったヨハン・シュトラウス2世は乗り気になれず、一度は断ったそうです。それなのに、なぜ作曲したかといえば、しつこく催促されて、しょうがなく作ったというのが本当のところのようです(愛国心に燃えて作曲した等と紹介している本もあるようですが)。
 それはともかく、このように、この曲は国民を元気づけるための合唱曲として作曲されたわけですから、当初は、下記のような素っ頓狂な歌詞が付いてました。

1.ウイーン子よ、陽気にやろうぜ くよくよ嘆くは、愚の骨頂
  ふところ具合が悪くとも 舞踏会で 踊らにゃソンソン!

2.お百姓さん、頭ガリガリ 大変な時代になったもんだ
  税金納めて 懐スカスカ お金なくても 踊らにゃソンソン!

3.家主さんも、頭カリカリ  どの部屋見ても空っぽだもの
  なあにかまわんとばかりに 出かける先は仮面舞踏会

4.芸術家は うれしくも、また悲し 理想の姿は長年の夢
  若くてハツラツ  ご婦人たちのお気に入り

5.政治家、批評家の先生たちも  分別くさげに踊っているが
  調子はずれで ワルツも台無し

6.今日の幸せ 二度とは来ない  喜びのバラも 褪せるもの
  されば 踊ろう 休まず 踊れ!

 なんかもうヤケクソですね。それに、あんまり、面白くないような気もします。
 これじゃたいして元気も出なかったことでしょう。
 もっとも、どんな原文を訳したら、♪踊らにゃソンソンといった阿波踊りみたいな歌詞になるんだかよくわかりませんが。
 ところがこの曲、強引に国民を元気付けようなんていう邪念を捨ててオーケストラ用にアレンジしたら、いきなり大人気作品に化けて今日に至っているということです。

 さて、何が言いたいかと言いますと、某国営放送が宣伝しているあの震災復興支援ソング、実は、私はあれが苦手なのです。
 もちろん、あの曲が好きという人もいるのでしょうし、もともとは、善意の賜物とも言い得る逸品なのでしょうから、こんなことを言うと、多くの反発をかうことになるのだろうとは思います。 
 私も、純粋に曲そのものについて言うなら、そんなに嫌いではないのですが、一番伝えるべきことを伝えず、伝えないよりは伝えたほうが良い程度のものしか伝えない親方日の丸の放送局(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1820996507&owner_id=22841595)が支援しているという段階で、どうにもダメなんです。欺瞞的なものを感じてしまって。
 考えすぎと言われそうですが。
 羽生くんには何の恨みもないし、彼の真摯な姿勢は大いにかっているつもりですが、彼があの曲に合わせて舞っているのを見ると、痛々しく感じてしまいます。本人は微塵も感じてないでしょうが、彼の純粋な真摯さは利用されている、文字通り踊らされているな、と悲しくなってしまうのです。
 だから、せめてあの曲が、早くあの某国営放送の手から離れてほしい。で、震災復興を支援しようなどという邪念を捨ててアレンジし直せば、化けるんじゃないかなどと淡い期待を持ったりするわけです。
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