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2014年12月04日23:38

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あなたが神か―― 『GODZILLA ゴジラ』

人間の罪と自然の怒りを背負う怪獣王は、
60年の時を経(へ)て、世界の“神”となった。
監督ギャレス・エドワーズが描くゴジラは、
一切の区別なく自然のバランスを取る調停者で断罪者。
なおかつ破壊をふりまく怪物だ。

放射能と原子力を求め、地球のバランスを崩す、もう一匹の怪獣ムートーの破壊。
そのためゴジラは目覚めやってくる。
かつてのゴジラの役割であった人類では制御不能な力の象徴がムートー。
そのムートーを破壊(浄化)する自然の象徴がゴジラ。
その対比は海外に輸出されたゴジラの象徴性ゆえだ。*1

同時に今回のゴジラは、人間の罪科ゆえ誕生した悲劇の怪獣ではない。*2
娯楽作品時代の人間(子供)の味方になった「ゴジラ 対 ○○」のDNAを引き継ぐ。
もちろん、出現と同時に発生させた津波や倒壊した建物で、
何千人や何万人(トータルで何十万)もの人々を犠牲にするわけだが――。*3

その善でも悪でもない存在を、監督は非常に意識している。
ムートーは充分な恐怖をふりまく怪物だ。出現に人々は悲鳴を上げ逃げ回る。
だがゴジラは違う。
そのあまりの巨大さと圧倒的な力の出現に人々はピタりと押し黙り、
身動きすらできなくなる。

それはおそらく恐怖と同時に畏敬や象徴で、
東西関係なく、本来、祟り、施す *4 “神”の表現が最も近い。
そして、まず、復活した怪物を抱く本作が、
正真正銘、直球の“怪獣映画”であったのがなによりうれしい。


※1 戦後、アメリカに輸出されたゴジラは放射能と核に関る部分が削除された。だが、レイモンド・バーが記者にふんする場面を追加してアメリカで公開されたときも「ゴジラは自然の怒りの体現者かつ調停者」の部分は非常に尊重されて重視された。以後、NBCテレビで放送されたアニメでは人類(子供)の味方。マーベルコミックでは、ふたたび人類の敵と、いったりきたりを繰り返す。だが、超越存在の本質は変化してない。なにしろ、あのS.H.I.E.L.D.さえコジラには非常に手を焼くのだ。

※2 日本の設定では最大200万年前の存在だが、今回の設定では、それ以上に古代の存在で、あらゆる生物の根幹に移置する生物とされる。

※3 それゆえ今回のゴジラは単純な味方でもない。

※4 本来、人々が神(自然の脅威)を奉る最大の理由は、その力を我々(人間)に向けないでください。なにとぞ、お願いしますである。ご利益は人間が後々追加した事象にすぎない。つまるところ神格の最大象徴とは恐れと畏れなのだ。今回のゴジラのごとく。
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