だいぶ前に三三の独演会で来た覚えがある会場。いかにもホテルの宴会場みたいな造りなのだが、狭いけど天井が高いからいい。
久しぶりの遊雀独演会だが、年々スケールダウンしていっているような･･･。少なくとも前は内幸町とか日本橋亭とかが会場で前売りしていたが、いまは100人の会場に当日券のみ。集客読めないじゃん！と思うが、たぶん毎回おなじみの人が来るって感じなんでしょうね。今回は満員だったそうで、前もってネタ出ししていた「『芝浜』のおかげでしょうか」と遊雀が云っていた。
●前座 遊かり「狸札」
サテンのような光沢ある生地の着物で登場。遊雀からもらった着物だそう。色は風水に良さそうな黄色。寄席に着ていったら先輩前座から「銀座線みたい」と云われたそうな。入門して一年半と云っていたから、以前国立で見たときがほぼ前座デビューだったんだろう。
●夢吉「附子」
「附子」といえば狂言が有名。狂言から落語に移植した噺だろう。旦那から婚礼祝いへの同行を禁じられたウエディングクラッシャー・定吉＝太��冠者のフリーダムぶりが実に凶悪。敵に回したくないキャラ。夢吉は変化球を投げてくるので、受け止める側も楽しみになる。
●遊雀「初天神」
学校寄席では鉄板のネタだそうで同じ学校から三度来てくれと頼まれたこともあるそうな。何度も聞いている遊雀の十八番なのだが、聞く度に微妙に深化している。何しろ金坊が子どもらしくない（仕草や声を子どもらしく作らない）のだが、おねだりを拒絶されアクションを起こす件からは、もう歯止めが効かなくなった子どもそのもので笑わされる。
もう一つは「旦那の雑煮」という「権助提灯」と同じ系統の話
＜中入り＞
●遊雀「芝浜」
導入部はさっぱりして駆け足。出かける前の包丁や用意をめぐる女房とのやりとりもなし。魚河岸に早く着きすぎた時も「自分のミス」を認めている。女房に「あんた夢を見ていたんだよ」と云われたときもわりとひっぱらずに納得。それではどこに時間をかけていたのかなと思うと、やはり女房の告白部分だろう。でもそれも数あるあざといまでの演出の過剰な「芝浜」に比較するとすっきりしている方では。笑いが全くなく噺を聞かせることに徹した。ラストは「また夢になるといけねぇ」とさくっと終わらせるのではなく、夫婦の会話のやりとりの中の一場面みたいな感じで終わった。昨今の落語会、ちょっと拍手の入りが早い。個人的にはもう一呼吸置いて欲しい気がする。
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