スーザン・ソンタグの写真と戦争の関係について論じた「他者の苦痛へのまなざし」を読んだ。
本文中に写真の複製は載っていないのだが
過去にどこかで見た写真についても論じられていた。
次の写真は見たことがなかったのだけれど
ソンタグの文章にインスパイアされ絵を描きたくなったので描きました。
■絵:土地分配の集会(1936年エストゥレマドゥーラ);
◎スーザン・ソンタグ「他者の苦痛へのまなざし」より該当箇所抜粋
「土地分配の集会、1936年スペイン、エストゥラマドゥーラ」は
ディヴィッド・シーモア「シム」の、多くの複製が作成されている写真で
それは胸に赤ん坊を抱いて目を上げて
(激しさを込めて?不安をたたえて?)
立つ女性を写したものであるが、
この写真はしばしば攻撃の飛行機が気はせぬかと
恐れながら空を見やる姿であるといわれている。
彼女と周りの人びとは、不安に駆られた表情をしている。
記憶が、記憶の必要に応じて、写真を変化させ、
写真に付された主題ではなく
(つまり、戦争が始まる4か月前に開かれた野外の政治集会ではなく)
巨大な残響を伴ってやがてスペインで起ころうとしていること
すなわち徹底的な破壊を唯一の目的として
ヨーロッパで最初に戦争の手段として行使された
町や村への空爆を主題にしたものだといわれるようになった。
やがて、空には、写真の中にいるような農民の上に
爆弾落とす飛行機が現れたのだ。
(もう一度、
乳呑児を抱いた母親を、
彼女の額のしわを、
上目づかいを、
半開きにしている口を、
見てほしい。
彼女はいまでも不安に満ちた様子に見えるだろうか。
今ではまるで太陽が目に入るので
目を細めているように見えるのではないだろうか)
■おまけ
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