mixiユーザー(id:9223835)

2012年02月12日00:29

6 view

2月11日 お江戸日本橋亭 鈴々舎馬るこ 三遊亭歌太郎二人会

 歌太郎が歌ぶとだったとき、自分にとっては結構”当たりの前座さん”だった。開口一番で出てくるのが歌ぶとや正太郎だったりすると、今日は前座さんの噺も安心して楽しんで聞けるな、と思えたのである。しかも結構女性受けしそうな甘い顔だちなのに落語会の武闘派・歌武蔵門下というギャップ。だからNHKの新人演芸大賞の最終候補に残ったときもマア当然かな、と思っていた。しかし落語家というのは、二つ目に昇進すると一気に目にする機会が減る。前座の頃は楽屋での働きも兼ねて寄席に出たり、師匠にくっついてホールで演じたりするが、二つ目になると自分で仕事を開拓していかなければならないから、よほど前座の頃から見込んだ人が追いかけて見るなら別だが、開口一番当たればラッキー程度の聞き手の目には、あんまり触れなくなってしまうのである。まあ「らくごカフェ」に年中かよっていればいいんだろうけど、田舎の落語好きには終電が危うい神保町の夜は無理です・・・。

 というわけで共にNHKコンクール最終候補に残った新作?改作?派・の馬ることの二人会に足を運んでみた。この日、開演直前まで開場では馬桜の会があり、聞けば一日まとめて借りると会場費が安いので、馬桜師匠の後に滑り込ませた企画らしい。開場に用意された席は50ほど。埋まったのはその半分ほど。客の年齢層は意外高かったです。

●馬るこ「あくび指南」(改作)
 ジャパニーズカルチャーにかぶれたアメリカ人の若者が、日系人が指南する欠伸教室に行き、「理系でコミュニケーション能力に欠けブラック企業に勤務している日本人のシステムエンジニアのあくび」を指南される。字で書くと面白そうなんだけど、今ひとつ笑えない。

●歌太郎「死神」
 ろうそくの火を長めの燃えさしに接ぐが、最後に死神が吹き消して終わり。

<中入り>

●歌太郎「しの字嫌い」
 昨日三三で聞いた噺をここでも聞くとは。「死神」にしても歌太郎は、まだいっぱいいっぱいな感じ。

●馬るこ「垂乳根」(改作)
 八五郎を呼び寄せる大家さんの態度が、完全に「熊の皮」のご隠居と同じ感じ。嫁のことについて説明しながら他の落語家のエピソードを差し挟んで来るのだが、夢吉が上野から二十分、バス付きで家賃二万、広さ十二畳の部屋を紹介されて、契約してから見に行ったらその部屋は社員寮の風呂場で、風呂が十畳で元脱衣所だった部屋が二畳というエピが笑えた。

 今の馬るこや歌太郎は、白鳥や喬太郎が文芸座の地下で実験落語をやっていた頃とキャリア的に同じくらいだろうか。個人的には白鳥の面白さはあの当時がピークだと思っているくらいだが、喬太郎の新作はまだまだサラリーマンネタが多くて、聞いている内に眠ってしまったことがよくあった。そう考えれば、本当に二人ともまだこれからの人である。NHKのコンクールでは二人とも自分が勝つ気充分だったそうである(受賞は下馬評通りに上方のまん我)。その意気や良し。二つ目って本当の意味で修行時期なんだろうと思う。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2012年02月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
26272829