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2012年02月10日21:43

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2月10日 池袋演芸場上席昼の部

 上席最終日は開場程なく満席。中入り前には立ち見がびっしり。ペー先生が「席亭が過去最高の入りと云ってた」と云ったのは、さすがに言い過ぎだと思うけれど相当な入場者数には違いない。出てくる演者がみな「今席は全日程立ち見が出る満員続きで・・・」と云うんだから凄かったんだろう。

●前座 いっぽん「十徳」
 また花緑のところの若い衆が増えたのかと思っていたら、なんと獅堂のお弟子さんなのか。師匠の方は「何か変わった落語家さん?」という印象で、あんまり寄席では出会わないような・・・声が大きくて体育会系な前座さん。

●志ん公「真田小僧」
 故志ん五のお弟子さんだったはず。今は古今亭門下のどなたかの弟子になったのだろう。金坊がかなり悪賢く(親を騙しに)「取り掛かろうか〜」と腕まくりには笑った。珍しくも六連銭のくだりまで全編披露。二つ目伸び盛りのアピールには充分だった。がんばれと応援したくなる。馬吉と交替。

●アサダ二世 奇術
 野良猫に不妊手術をうけさせようとしてひっかかれ、指をケガしたそう。

●龍玉「駒長」
 かなり前に誰かで聞いたがうろ覚え。あんまり出会わない話ですが、雲助一門ではポピュラーな噺なんでしょうか? 自分勝手な旦那・長兵衛の云うことばかり聞かされている従順な女房・お駒さんに、損料ものでしのぎを得ている上方者が岡惚れ。騙すつもりのお駒さんもほだされて、なんと二人で出奔・・・という、ウソから出た真のお話。「掛け取り」や「尻餅」、「青菜」の奥さんなら馬鹿な旦那につきあうけれど、振りとは云えおかみさんを殴る長兵衛は許せないよな〜。

●文雀「探偵うどん」
 なぜか「泥棒うどん」という題だと思い込んでいた。元は上方の「警察うどん」だそうですね。探偵より警察の方が正しいと思うけれど、「警察うどん」ではあまりにネタバレな気も。文雀は「新古典」落語を重点的にレパートリーに入れているのだろうか? 志ん生の録音でしか聞いたことがない噺だったが、勢いよく演じていた。自己紹介のとき、「名前だけでも覚えていって、よかったらどっかで『悪くないよ』程度に誉めてくだされば・・・」と云っていたが、ここまで若手三人、どれも競うような出来の良さ。満員効果恐るべし。

●ペー ギター漫談 
 ピンクのTシャツには肩パットが入っていた・・・。

●白酒「ざるや」
 師匠の方では聞くけれど、白酒では初めて。

●伯楽「粗忽の釘」
 若手の中に混じって古くささゼロ。「くっつきあい」で結婚したくだりをみっちり語り、仏壇の弁天様の掛け物の股間から釘が突き出る。この噺、艶笑噺だったんですね! たまたま帰り際にお姿を見たら、真っ赤なニットブルゾンでゴルフ帰りみたいだったけどお似合いで。

●鏡味仙三郎社中 太神楽
 満員で息苦しくなり退出。外のモニターで見ていたが、親子と仙花だったろうか?

●喬太郎「次郎長伝 小政の生い立ち」
 浪曲からの噺。浜松のエピソードから、伊勢参りの帰路の次郎長と後に小政となる少年との浜松での出会いのくだり。

<中入り>

●三三「しの字嫌い」
 今席連日満員で「主任の馬石さんがぶつぶつ噺をさらっているのを、楽屋のみんなで邪魔している」そうな。「馬石さんにはここ(鼻のヨコ)に自爆ボタンがありますから」「呑める」なんかと同系列の「言ったらダメよ」噺。

●雲助「辰巳の辻占」
 辻占の煎餅というのは、東北フェアとかでよく見かける丸まった味噌煎餅みたいなやつのことだろうか? いわゆるフォーチューンクッキーみたいな?

●小円歌
 踊りはリクエストで奴さん。

●馬石「柳田格之進」
 昨年出演した林家しん平監督の「落語物語」の中で一部を演じた演目。しん平から「やってみろ」とせっつかれて師匠雲助に稽古をつけてもらおうとするが、「オレはこの話嫌いだから」と断られる。「もうお前も真打ちなんだから自分で組み立てながらやってみたらどうだ」と言われて演じたのが一年前の独演会。この一年間で、落語家の中でも好き嫌いが分かれるというこの話を馬石なりにどう作り上げてきたのか。その成果、しかと見届けることが出来た幸福感が、この日演芸場を埋めた観客を包んだことであろう。柳田の娘・おきぬが吉原へ身を売り五十両をつくるという話は無く、ただ娘は「金子が出てきた折は徳兵衛と万屋の主人の首を切ってご無念をお晴らしください」と言う。サロメみたいに柳田を煽るのである。柳田は士官適った後に徳兵衛に会うが、徳兵衛が主人を、主人が徳兵衛を庇う心の前にすべてを赦し、首の代わりに碁盤を斬る。娘のくだりが無いにも関わらず、武士としての柳田の誤解をかけられた苦しみがしっかり見る者の心を打つ。そして最後の赦しが更に重く心に伝わるのである。語り終えた馬石の姿に十日間の長丁場を終えた安堵と、落語家としての成長を見た思いがした。

 夜席も見たかったが・・・たい平、ホンキートンク、扇遊・・・きりがないのでやっぱり昼席で帰る。中入り後に演芸場の人が「団体の引率の先生いらっしゃいますか」と場内で呼び出していた。えっ、この入りで団体いれるか演芸場! 周りを見ると確かに高校生っぽい若者が数人立ち見していた。別に団体がいたから満員だったわけではなく、本当に仲入り後かなにかに数少なめの団体を受けちゃったっぽい。今日は一時は扉も閉められないほど入っていたみたいなのに・・・。
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