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2011年09月11日23:12

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9月11日 池袋演芸場中席昼の部

 中席は初日。場内は満員で立ち見も出る盛況ぶり。しかしこの席の寄席には「満員御礼良かったね」と和やかに済ませられない微妙な緊張感が・・・。白鳥主任のこの中席昼の部、最後はお客さんから募ったお題による三題噺なのである。それを知って来場している客ばかりなので、この満員の客の中の相当数が中席の間に何度も足を運ぶであろう。そう思うと意外に客層の広がり無いよね。仲入り後に丈二が「今日、初めて寄席に来たお客さんいますか」と聞いたら、一人か二人しか挙手が無かった。というわけで濃すぎますよ、いろいろ・・・。

●前座 なな子「転失気」
 習ったとおりに話している、所謂前座さん。こんな濃い客層でなければ笑いも起きたかも知れないが・・・。習ったとおりに話したと書いたが、細かいところでちょこちょこアレンジもあったような。ちょっと記憶が曖昧。いずれにしても笑いにつながるようなアレンジではなかった。

●天どん「毒ガス」
 相変わらず客に挑むというか、ケンカ売るような話し方。欲望が我慢できなくなる作用がある毒ガスが開発されて・・・という新作。途中で『氷雨』をほぼフルコーラスで唄うが、意外に上手い。

●彦いち「ジャッキー・チェンの息子」
 仲入り後の出演がずいぶん早い出番に。

 ここで白鳥と丈二が登場、客から挙手でお題を募る。集まったのは「宝塚」「バームクーヘン」「内閣総理大臣」「どじょう」「部活帰り」などなど。最後は番号を書いたカラーボールを引いて「伊達直人」「50万」「スマートフォン」に決まった。白鳥はこれから2時間弱でこの三題を噺に作り上げなければいけない。「今朝起きたら緊張で吐きそうになった」そう。

●馬石「元犬」
 馬石を見ると体格の良さが所作のひとつひとつに生きていると思う。師匠とももちろん兄弟子の白酒とも違う味で、馬石の落語になっている。役者を目指していただけのことはある。今席は木久蔵との交替。

●松旭斎美智・美登 奇術
 冒頭のフラダンスの方がマジックより長かったような。美智先生、アシストの男性客にどちらからいらしたのと聞くと「静岡から」の応えに客席がおおっとどよめいた。

●扇治「芸住所」
 この人が新作をやるのを初めて聞いた。本人作なのか、協会の台本募集の作品なのかはわからない。黒門町とか、矢来町とかかけ声をかけられたい売れない落語家のもとに文化庁から担当者が来て・・・。軽くてちょうど加減の良い噺ではあった。

●喬太郎「任侠流山動物園」
 中トリででるはずが少し早まった。この人、この後鈴本で昼主任なのだ。だからと云って軽い噺でさがったわけではない。なんと白鳥の新作をたっぷりやったのである。自分の主任を控えてこの客へのサービスっぷり。人気者なのも当然だろう。

●あした順子 漫才
 ひろし先生が骨折をこじらせたので一人で出演。「男はアナタひろし〜」を前座の緑太と一緒にやる。緑太は地なのか演出なのかわからない天然ぶり。師匠の花緑から「大好きだ」と云われているそう。

●白酒「転宅」
 本来喬太郎が出るはずの中トリがこの人。一応文左衛門の代演だが、なんとこの人も鈴本の夜主任。もう馬鹿な泥棒が展開するめくるめく妄想世界が可笑しすぎるのも素晴らしいのだが、この噺、まずは高橋伝の子孫を騙る妾さんが、目の前の泥棒に逆プロポーズするという無理矢理な状況を納得させるだけの話術が必要。文字通り騙りが肝要な噺なんですね。

<仲入り>

●丈二「公家でおじゃる」
 どこかで聞いた噺だと思ったら喬太郎の「粋ダネ」でやった噺だった。あの時は面白いと思わなかったが、寄席の流れの中で聞くと、結構可笑しい。しかし『おじゃる丸』の星野くんをどうしても連想してしまうよなぁ。

●二楽
 後の白鳥のために桃太郎とチョッパーを切ってお終い。地方の学校寄席で
「チョッパーを切って」と云われて「ハンドルが長いバイクを切ってしまった」のを反省?して練習したらしい。またアメリカの日本語学校で学生からリクエストを募ったら「るろうに剣心」やら「鋼の錬金術師」だのばっかりだったとか。

●白鳥「三題噺 五十万・伊達直人・スマートフォン」
 今回の三題噺、面白かったら客に震災への募金をお願いしている。十日間の目標金額、なんと50万円。達しなかったら白鳥が自腹を切るそうだ。それでお題に五十万が入ったのだろう。元総理・菅直人がヤクルトレディの母を助けるために賽銭泥棒をしようとした少年を諫め、後に神楽坂に中華饅頭五十番を開くという・・・もう内容はどうでもいいですよ。スマートフォンを薄くてスマートな本(『東京かわら版』)で処理したのには呆然。

 毎年概ね天候が良いとされる日を「晴れの特異日」と云うそうだが、今日は誰もハズレがない「特異日」の寄席。去年の12月27日の鈴本がそんなかんじだった。これから十日間、全日程がこの入りではないかもしれないが、おそらく若手落語家たちが和気藹々と火花を散らす、楽しくもハードな寄席になるのではないだろうか。

 余談も余談だが、会場前早々と並んだ列の中に高校生カップルがいた。派手さもオタク臭さもなく、適度に仲良さげな今風の高校生。制服なので部活帰り(このお題を出したのは別の男子高校生さん)かなと思ったら、テケツで「制服割引で」と云っていた(学生二千円が千五百円になる)。高校生でこんなデートなんてちょっとびっくり。昔のたい平の新作で、寄席マニアの男性が勇気を出して彼女を末廣亭に誘うと、最初は「え〜寄席?」なんて反応だった彼女が、実はコアな演芸マニアだった(ペペ桜井や昭和のいるこいるが即分かる)というのを思い出してしまった。



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