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2011年04月15日00:41

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4月14日 新文芸座落語会 

 初めて行った新文芸座は、池袋のマルハンパチンコタワーの中、場所的には正に昔の文芸座があった場所だった。
 文芸座と言えば、サンカ小説で有名な三角寛がオーナーだったこともある名画座だが、新聞一面のサンヤツ広告などにざっと目を通していると、未だにこのサンカ関係の書籍が出版されていることに驚く。漂白の民・サンカというのは、はっきりした学問的な研究はなされておらず、多くは三角の本しか拠るところがない・・・とはウィキペディアにも書かれているが、ここまで後々の人々の興味をそそる題材を提供したのだから、ある意味大したものである。三角自身も新聞記者ではあったが、経歴等に不詳な点もあり、よくわからな〜いひとだったりする。いかにもジャーナリストや出版人に、こういうヤマ師的な人が多くいた時代の人物だったのだろう。

 と、やっと読み始めた黒岩比佐子の遺作となる堺利彦の評伝「パンとペン」を読んでいると、そこには明治〜大正〜昭和初期にかけての出版・新聞界の事情が生き生きと描かれている。堺利彦は以前から気になっていた人物で、大逆事件関係の資料をあたると、必ずといって良いほど登場してくる幸徳秋水の盟友である。
 昨年は大逆事件から100年ということで、関連した出版物が数多く刊行された。辻原登の小説「許されざる者」は大逆事件で死刑になった岡山の医師・大石誠之助(がモデル)を主人公としたもので、この大石も社会主義者・堺の活動のシンパとして資金提供をしている。また一時期堺は幸徳と共に黒岩涙香の萬朝報で働いており、その辺の人間関係図が作家の想像力を刺激しないはずはなく、山田風太郎は「明治バベルの塔」で愛憎半ばする幸徳と涙香の関係をスリリングに描いている。
 「パンとペン」を読む限りでは、涙香だの秋水だの良くも悪くもエゴの固まりのような出版人、思想家の間をすいすいと泳ぎ渡りながら、今の時点の自分に出来る最良の仕事を為していく堺は、柔らかな社会主義者(しかし心は熱い)として描かれている。また漱石にまつわるちょっと良い話や、後年の作家たちに影響を与えていく堺の文章スキルの高さに、もちろん端緒に過ぎないが、触れられるということでも読む意味がある。

 ・・・何の話をしているのか・・・。で、三角の経歴をあらためて振り返ってみると、堺とは30余りの年の差があり、時期的には一致しないが、三角が新聞記者として身を立てた頃に堺は高名で、それまでの堺の活動に影響の一つも受けなかったということはないはずなのだ。堺を巡る人間関係図は本当に広範囲で彼の人望の厚さを物語るのだが、そこの隅っこに三角がいたりすると、またささやかなドラマが生まれたりするのかなと思ってしまう。まあ思うだけなら勝手ですから。

●三遊亭白鳥「ギンギラボーイ」(?)
  始まる前に出演者ふたりの対談が。白鳥・遊雀といえば10人昇進の同期 真打だったと記憶。遊雀の方が年も少し若いし入門も遅いらしい。
 私は白鳥兄さんがいなけりゃ落語になれなかった」という遊雀の話。
 その頃小三治師匠が一門の前座をバッサリ破門にしてしまい、前座の数が 足りなかった。そこへ国立演芸場で権太楼の出待ちをしていた入門希望の 遊雀(三太楼になるわけだが)が現れ、「前座が必要ですから弟子を取っ てくださいよ」と進言したらしい・・・。人に歴史有りですね。ということ は、権太楼師匠、真打ちになってから5年くらい弟子を取って無かったの か。その頃の私は落語空白期だったから、権太楼の若い頃はあまり知らな い。遊雀が弟子になろうと惚れ込んだ権太楼の落語、聞いてみたい気がし た。ほかに白鳥が入門したら、中卒の花緑が兄弟子で「ポッキー買ってこ い!」って命令されたって話が笑った。きく姫との別離話に踏み込もうと する白鳥を必死に押しとどめる遊雀。
 
●三遊亭遊雀「船徳」
  若旦那泣きすぎだ! 途中で初天神の子供とかぶってしまいました!

<仲入り>

●三遊亭遊雀「スーパー寿限無」
  人間国宝となる近未来の大看板・三遊亭白鳥師匠に名付け親になっても らったら・・・という話。これは誰がやってもいい話ですね。演じる本人は 照れていたが、とても受けていた。

●三遊亭白鳥「幸せの黄色い干し芋」
  歌る多師匠のところのお弟子さん(歌る美orたぼう?)が「ナースコー ル」をやってうけたのに、師匠が「あんな噺やっちゃだめよ!」って激怒 したってのが・・・。

 向き不向きはあるとしても、誰が演じてもいいというのが古典落語。新作落語の課題は、正に他者が演じて尚活きる噺であれということだったのだと考えている。またそのためのSWAだったのだと思うのだが・・・。
 私は山陽がいた時代のSWAは見ていたが、チケットが取りにくくなってからの活動には飛び飛びでしか触れていない。だから全貌は知らないのだが、なんとなくSWAの活動は、3年くらい前、喬太郎が少し情緒不安定に見えた頃あたりから、ちょっと不安な感じはした。別にSWAはグループ芸人じゃないし、解散はまったく問題ないと思う。白鳥は取りあえず流山動物園とみどりちゃんから離れて、もっと誰が演じても面白い新作を作ってくれよ!
 
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