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2010年12月14日23:34

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八大龍王伝説 【111 沙伽羅の像】


いつもお読みいただいている皆さま、ありがとうございます

何とか今日中にアップ出来そうですww

それでは早速、八大龍王伝説をはじめます


【111 沙伽羅の像】


〔本編〕
レナの伯父であるギルマンに会って三日後の今日(龍王暦一〇五一年二月一日)、ハクビは竜の山脈(ドラッヘゲビルゲ)の第一の山(エーアストベルク)の麓に一人立っていた

一緒に来たレナとドンクはここにはいなかった

ドンクは今後のバルナート帝國との戦いに備え、ゴンク帝國の地下組織との接触をはかった

レナは体調不良であった

しかし、医師に診てもらったところ懐妊していることが分かった

ハクビの子を身籠もっていたのでいたのである

レナとしては、ハクビに同行することを強く希望したが、ハクビを始め皆がそれを押しとどめ、レナもしぶしぶそれに承諾した

さて、ハクビは第一の山(エーアストベルク)を登り、二日がかりで第四の山(フィーアトベルク)まで踏破し、第五の山(フィンフトベルク)にさしかかった

第五の山からは、現在、人の立ち入れない場所である

その第四の山から第五の山にかかる場所に、高さにして十メートル程度の銅像が建っていた

その銅像はちょうど二メートルぐらいの台座の上に乗っていた

その台座に消えかかってはいたが、文字が彫られていた

「沙伽羅(シャカラ)龍王」と…

沙伽羅(シャカラ)龍王は、八大龍王のうち第三番目の龍王にあたり、ゴンク帝國の建国神であり守護神であった

この竜の山脈(ドラッヘゲビルゲ)に住んでいた八つの山の竜の王は、ことごとく成敗され、ゴンク帝國の住民は、竜の脅威から解放されたのである

そのようなことが台座には書かれていた

ハクビはそれを読んだ後、銅像を見上げる

何百年も前のものなのであろう

銅像全体がくすんだ色で、もともとの色は何色だったかは、今は分からない

小型龍(ドラゴネット)にまたがる女性の像であった

沙伽羅龍王は女神だったのであろうか?

まあ、神に男女の性別があるかも定かではないが…

それよりもハクビが気になったのは、沙伽羅龍王の武器である

武器そのものではなく、装備の仕様である

右手に槍を持ち、左手に剣を握っている

二刀流である

片方が槍なので二刀流という言葉が的確なのかはおいておき、まるで長斧(ちょうふ)と短斧(たんふ)の二斧で戦う自分(ハクビ)のようでもある

自分と龍王(沙伽羅龍王)の間にどのような関係があるのだろうか?

この時、初めて自分が、沙伽羅龍王本人であるのかも…とも考えた

しかし、ハクビはすぐ自嘲して打ち消した

《馬鹿な!自分のような者が神だと!神であれば、もっと簡単に敵を倒せるはず…それにこれから相見(あいまみ)える白い仮面の騎士こそ沙伽羅龍王か或いはその関係の者なのであろう》

と…

さて、第五の山(フィンフトベルク)にさしかかるハクビは、大きな商人用の袋を担いでいる

商人に扮しての旅であるため、ソルトルムンク聖王国のスキンムル城から持ち歩いている

中身は衣類や食料の他、長斧(ちょうふ)と短斧(たんふ)を隠している

レナによる目くらましの術により、袋の中を覗いても斧は見えないようになっていた

そして、この竜の山脈(ドラッヘゲビルゲ)に到着するまでは何物にも乗らず歩行(かち)であったが、第一の山(エーアストベルク)の中腹で野生の小型竜(ドラゴネット)を生け捕りにしたため、その後はそのドラゴネットを乗用していた

特に優れているドラゴネットではないが、そこはハクビの付帯能力(アドバンテージスキル)の騎乗と勇猛により、他のドラゴネットに襲われることなく、ここ(第四の山)まで踏破できた

しかし、ここ(第五の山)から先は、そうはいかないであろう

ここからは白い仮面の騎士の支配地域である

そう易々とは自分のいる場所(第八の山)までは辿り着かせないだろう

ハクビは沙伽羅龍王の銅像から視線を外し、これから登る山脈の方に目を移した

いよいよその騎士と相見(あいまみ)える

運命はハクビに何を期待しているのであろうか?

龍王暦一〇五一年二月三日の冬の澄み渡った空に太陽が眩しい午前十一時であった



〔参考一 用語集〕
(龍王名)
沙伽羅(シャカラ)龍王(ゴンク帝國を建国した第三龍王)

(人名)
ギルマン(マークとレナの伯父)

ドンク(元ハクビ小隊の諜報兵 現在はハクビ将軍の配下)

ハクビ(眉と髪が真っ白な記憶喪失の青年 ソルトルムンク聖王国の人和将軍)

レナ(マークの妹 ハクビ将軍の副官)

(国名)
ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国 第八龍王優鉢羅(ウバツラ)の建国した國)

バルナート帝國(北の強国 第七龍王摩那斯(マナシ)の建国した國 金の産地)

ゴンク帝國(南東の小国 第三龍王沙伽羅(シャカラ)の建国した國 ドラゴンの産地 『城塞帝國』の異名を持つ 今は滅亡している)

(地名)
アハトベルク(竜の山脈の一つ 「第八の山」とも呼ばれる)

エーアストベルク(竜の山脈の一つ 「第一の山」とも呼ばれる)

スキンムル城(ソルトルムンク聖王国の東部地域の城)

ドラッヘゲビルゲ(ゴンク帝國の東に位置する山脈 八つの山から成り立っており、大陸で一番ドラゴンが生息している場所 「竜の山脈」とも言う)

フィーアトベルク(竜の山脈の一つ 「第四の山」とも呼ばれる)

フィンフトベルク(竜の山脈の一つ 「第五の山」とも呼ばれる)

ヘルテン・シュロス(ゴンク帝國の帝都であり王城 別名「堅き城」)

(付帯能力名)
付帯能力(その人物個人の特有の能力 アドバンテージスキルという 十六種類に体系化されている)

騎乗スキル(十六の付帯能力の一つ 竜や動物に乗る能力 また乗用している竜などと心を通わす能力も含まれる)

勇猛スキル(十六の付帯能力の一つ 自らを高揚させ、味方の士気をあげる能力 また敵の士気を挫く能力でもある)

(竜名)
ドラゴネット(十六竜の一種 人が神から乗用を許された竜 「小型竜」とも言う)


〔参考二 大陸全図〕
フォト



〔参考三 あらすじ〕
龍王暦〇〇〇一年 八大龍王によって八つの國(くに)が建国される

龍王暦一〇四九年八月 ソルトルムンク聖王国にあるクルス山でハクビが発見される ハクビは記憶喪失

龍王暦一〇五〇年二月一五日 ソルトルムンク聖王国のコリムーニ老聖王とバルナート帝國のロードハルト帝王がバクラにて会談 その席上コリムーニ老聖王が急死する

同年三月一〜三日 ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國が国境の町バクラで交戦、ソルトルムンク聖王国側大敗(バクラの戦い)

同年同月一〇日 ソルトルムンク聖王国の王城陥落 聖王国滅亡 ジュルリフォン聖王子は大陸最南端のツイン城に逃げ込む

同年五月三日 コムクリ村にバルナート帝國軍が襲撃、ハクビが白虎騎士団のバルゴー隊長を倒す 以後、グラフ将軍に助けられ、残党軍の拠点であるアユルヌ渓谷に到着する 

同年八月初頭 バルナート帝國とミケルクスド國連合軍がジュリス王国を滅ぼす

同年九月四〜五日 聖王国軍と帝國軍がツイン盆地で激突(ツイン城の戦い) 帝國軍ツイン盆地より撤退

同年一〇月一〇日 マルシャース・グール奪回の戦いにおいて、聖王国軍が勝利する

同年同月一五日 バルナート帝國とカルガス國連合軍がクルックス共和国を滅ぼす

同年同月二六日 バルナート帝國がゴンク帝國を滅ぼす

同年同月三〇日 ジュルリフォン第四十九代聖王誕生 ソルトルムンク聖王国の復活

同年一一月一一日 ハクビとバルナート帝國朱雀騎士団の軍団長ナンダが戦い、ハクビが敗北する

同年一二月一〇日 ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國の間で半年間の休戦条約が締結される

龍王暦一〇五一年一月一日 聖王国と帝國が休戦期間に入る(同年六月三〇日まで)

同年同月一〇日 ハクビがゴンク帝國に密かに向かう
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