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2010年11月04日04:14

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八大龍王伝説 【103 休戦へ向けて(中)】


いつもお読みいただいている皆さま、ありがとうございます

今回はタイトルに新しい形を試みてみました^^

前回のタイトル【102 朱雀騎士団(十) 〜休戦へ向けて(前)〜】のメインタイトルの『朱雀騎士団』を外して、サブタイトルの『休戦に向けて』の中編をメインタイトルにしました まあ、ただそれだけなのですけど… あまり他では見られないパターンかなと思いまして…^^

それでは八大龍王伝説をはじめます


【103 休戦へ向けて(中)】


〔本編〕
「以上のような経緯で、バルナート帝國と六ヶ月間の期限付きの休戦協定を結ぶべきという、人和将軍からの提案でございます」

龍王暦一〇五〇年一一月一五日、ソルトルムンク聖王国の王城マルシャース・グールの玉座の間でシェーレがジュルリフォン聖王に申し上げたところであった

「そうか!ハクビ将軍をもってしてもナンダは難敵といったところか」

シェーレからの仔細を聞いた聖王はそう言った

「ですが、我が将軍におかれましては、何らかの勝算があっての休戦協定と私(わたくし)は考えます」

「むろん そうであろう!いや、そうでなくてはこの休戦協定、何の意味ももたぬ」

シェーレの言葉に、聖王のそばにつき従っていた宰相のザッドが言った

今、玉座の間にはジュルリフォン聖王、ザッド宰相、外交担当の大臣とハクビの副官シェーレの四人がいた

「それで、バルナート帝國側はこの協定締結に賛同すると考えているのか?」

外交担当の大臣がシェーレに聞いた

「この協定、正直いいまして帝國側には何のメリットもございません!しかし、ナンダという軍団長の性格からして、我が将軍との再戦を強く望みましょう

これは我が人和将軍ハクビの見立てでありますが…九割方協定は締結されるものと思われます」

「しかし、いくら一介の将軍が望んでいても、王(バルナート帝國帝王)が了承しなければ、条約など締結されないぞ」

「分かっております しかし、ナンダ軍団長には、帝王も承諾せざる得ない程の力と、揺るぎない信頼関係を持っているようです」

外交担当の大臣の質問に、シェーレは答えた

「ふむ!朕(ちん)も、先程のそち(シェーレ)の話しを聞いていて、そのように思える」

ジュルリフォン聖王は早くも協定締結に前向きの様子であった

「小生(しょうせい)も帝國(バルナート帝國)がこの話に乗ってくるのであれば、こちらが拒む理由はないと考えます」

ザッドが聖王の意見に同意した形になった

「聖王と宰相が乗り気であれば、私が反対する余地はありませんな」

最後に外交担当の大臣が言った

「よし、シェーレ!すぐに人和将軍に休戦協定の締結受諾の件を伝えよ」

「はっ!それでは早速にも…」

ザッドの言葉に、シェーレが答え、そのまま玉座の間を辞した

シェーレが出て行った後、外交担当の大臣がザッドに話しかけた

「宰相!とりあえずの休戦は是として、ハクビ将軍の力で朱雀のナンダに勝つことはできるのでしょうか?勝てなければ、この休戦、敵方の戦力回復の機会にもなりかねませんぞ」

「それはそうですが、あの知将のハクビ将軍が、むざむざ負けるとは思いません それにこの休戦協定の時を有効に使える手があります」

ザッドは大臣(外交担当)の質問に対し、聖王に向かうような形で答えた

「宰相、それはなんだ?」

「はっ!休戦協定は我がソルトルムンク聖王国とバルナート帝國との間に結ばれた約定です つまりはその他の國(くに)への進軍まで規制するものではありません」

「おお!もしや?」

「ご推察の通り、今次大戦でバルナート帝國と同盟を結んだ憎むべき國であるミケルクスド國とカルガス國への進軍のことでございます」

ザッドは一旦、間を置き続けた

「実際問題として、半年間にミケルクスド國とカルガス國の両国を攻めるのは不可能です しかし、一國であれば十分攻略できる可能性があります

先ずは、国力からいってカルガス國より劣っているミケルクスド國を攻めるのが常道でしょう」

「うむ!さすがは宰相殿」

外交担当の大臣が感心したようにつぶやいた

「さらに言えば、ミケルクスド國を攻めても、同盟のバルナート帝國が援軍を出すことが出来ないよう休戦協定に盛り込めば、さらに万全かと…」

ザッドの言葉にジュルリフォン聖王はうなずいた

「よし!ザッド そちをこの協定締結の責任者とする 万事うまく運ぶよう取り計らえ」

「承知しました」

ザッドと外交担当の大臣は玉座の間から退出した



〔参考一 用語集〕
ハクビ(眉と髪が真っ白な記憶喪失の青年 ソルトルムンク聖王国の人和将軍)

シェーレ(ハクビ将軍の副官)

ジュルリフォン聖王(ソルトルムンク聖王国の第四十九代聖王)

ザッド(ソルトルムンク聖王国の宰相)

ナンダ(バルナート帝國四神兵団の一つ朱雀騎士団の軍団長)

ロードハルト帝王(バルナート帝國の帝王 四賢帝の一人)

ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国 第八龍王優鉢羅(ウバツラ)の建国した國)

バルナート帝國(北の強国 第七龍王摩那斯(マナシ)の建国した國 金の産地)

カルガス國(北東の中堅国 第六龍王阿那婆達多(アナバタツタ)の建国した國)

ミケルクスド國(西の小国 第五龍王徳叉迦(トクシャカ)の建国した國 飛竜の産地)

マルシャース・グール(ソルトルムンク聖王国の首都であり王城)


〔参考二 大陸全図〕
フォト



〔参考三 あらすじ〕
龍王暦〇〇〇一年 八大龍王によって八つの國(くに)が建国される

龍王暦一〇四九年八月 ソルトルムンク聖王国にあるクルス山でハクビが発見される ハクビは記憶喪失

龍王暦一〇五〇年二月一五日 ソルトルムンク聖王国のコリムーニ老聖王とバルナート帝國のロードハルト帝王がバクラにて会談 その席上コリムーニ老聖王が急死する

同年三月一〜三日 ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國が国境の町バクラで交戦、ソルトルムンク聖王国側大敗(バクラの戦い)

同年同月一〇日 ソルトルムンク聖王国の王城陥落 聖王国滅亡 ジュルリフォン聖王子は大陸最南端のツイン城に逃げ込む

同年五月三日 コムクリ村にバルナート帝國軍が襲撃、ハクビが白虎騎士団のバルゴー隊長を倒す 以後、グラフ将軍に助けられ、残党軍の拠点であるアユルヌ渓谷に到着する 

同年八月初頭 バルナート帝國とミケルクスド國連合軍がジュリス王国を滅ぼす

同年九月四〜五日 聖王国軍と帝國軍がツイン盆地で激突(ツイン城の戦い) 帝國軍ツイン盆地より撤退

同年一〇月一〇日 マルシャース・グール奪回の戦いにおいて、聖王国軍が勝利する

同年同月一五日 バルナート帝國とカルガス國連合軍がクルックス共和国を滅ぼす

同年同月二六日 バルナート帝國がゴンク帝國を滅ぼす

同年同月三〇日 ジュルリフォン第四十九代聖王誕生 ソルトルムンク聖王国の復活

同年一一月一一日 ハクビとバルナート帝國朱雀騎士団の軍団長ナンダが戦い、ハクビが敗北する
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