公開直後、メル・ギブソン監督最新作『 ハクソー・リッジ 』を観た。
さすが、メル・ギブソンらしく、見事な信仰映画になっていて、感動した。この作品の白眉は、良心的兵役忌避者である主人公デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)が「 兵士の命を救うため 」に自ら志願して陸軍に入隊し、様々な困難を乗り越えて、その信念を全うするところだ。歩兵中隊に配属されながら、小銃を持つこと( すなわち、人を殺すこと )を頑固に拒否し続けるのは、尋常な人間には到底できないだろう。実際、劇中では教育担当下士官から大隊長に至るまで、彼の認識をあらためようと執拗に圧力をかけてくる。さすがに士官たちは物理的な暴力を駆使することはないが、連帯責任でツラい目に遭わされる兵士達にとっては我慢ならない。彼らはデズモンドを部隊から追い出すために、ついに強硬手段に出る。怒鳴られ、私物をまき散らされ、仲間達から殴られ、嫌がらせをされても、愚痴をこぼさず、泣き言も言わず、デズモンドはただただ耐える。その真摯で一途な姿に、周囲は根負けして徐々に彼を理解しはじめ、ついにはその「信念(信仰)」を認めるに至る過程が素晴らしい。
戦争映画としては、少々難がある。激しい戦闘描写が続くが、戦闘の経緯がまるでわからない。日米両軍とも、指揮官が命令を与えて、部隊を動かすシーンはほぼ皆無で、双方の兵士達がひたすら戦い続けるシーンの連続だ。これが非常に惜しい。結局、激しい戦闘は主人公デズモンドが負傷した味方の兵士たちを助けるための背景としか映らない。せめて、一進一退する戦闘の推移を描いてくれれば、ずっと深みのある作品になっただろう。
ただ、脚本は「 日本と日本人に対する敬意 」を感じさせるもので、これは作品全体に好感を与えている。好き嫌いはあるだろうが、良い映画だと思う。
ハクソーリッジ
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