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2011年07月09日08:39

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その顔が見てみたい。

夜、茶の間のTVでたまたま観たのが、『 その顔が見てみたい 』の藤岡弘のパートだった。この番組は初めて観たが、どうやら人や動物が「 その瞬間 」にいかに面白い表情をするか、を全世界から映像を集めて楽しむのがテーマのようだ。藤岡弘が登場するのは、「 三日間かけて並べたドミノをADのミスで倒してしまった時、人はどんな顔をするのか 」というドッキリコーナーだった。藤岡弘といえば、初代仮面ライダー。真面目で、どこまでも熱いことで有名なタレントである。番組スタッフから、20人のボランティアスタッフと共に三日間で6万個のドミノを並べる企画だと説明された時から、彼は非常に真摯に取り組んでいた。中でも、藤岡弘自身のオリジナルデザインに従ってドミノを並べるという部分に、彼は強い関心を示した。彼は、自分が最も好きな言葉「 武士道 」と、最も好きな景色「 富士山 」を中心としたデザインを完成させた。三日間作業に集中したいから、と自前のキャンピングカーで会場に乗り付けた彼は、初めて顔を合わせた20名の仲間達と輪になって手をつなぎ、ミッションの成功を誓い合った。

 ドミノを並べ始め、藤岡弘はその難しさをすぐに悟った。大胆で男らしい彼は、ドミノ並べのように繊細な作業をするには適していなかったのだ。彼は何度も何度も失敗してはせっかく並べたドミノを倒してしまった。その度に、彼は天を見上げ反省し、気合を入れ直して、さらに真剣に作業に取り組んで行った。昼食は自らスタッフにカレーをとりわけ、「 皆の気持ちをひとつにするには、カレーというのは本当に良いもんだね 」と嬉しそうだった。そして、苦労に苦労を重ねた末、三日目に6万個のドミノが完成した。

 ADが藤岡弘と、スタートの撮影リハーサルのため、会場に向かった。スタート時点の藤岡の表情を抜く担当のカメラマン2人と計4人だけで会場に入り、20名のボランティアと撮影クルーは全て休憩中で、「 カメラはまだ回っていない 」という説明が藤岡にされた。しかし、実際は黒い幕の裏側に10台ほどの隠しカメラとクルーが潜み、倒されたドミノの様子を全て収録することになっていた。中継映像は、別室に集合した20名のボランティアにモニターされるのだが、藤岡弘は無論それを知らない。スタート位置での打ち合わせの最後、ADが手を引っ掛けてドミノを「 わざと 」倒した。藤岡はその瞬間、大声をあげて飛び出し、倒れるドミノの前に身を投げ出して崩壊を防ごうとした。しかし、倒れ始めたドミノを止めることはできない。呆然とする彼の前で、ドミノの崩壊は速度を上げて行く。すぐに起き上がった彼は再び駆け出すが、スタッフ達は彼を制止しようとする。彼の動きが早過ぎて、表情を撮影できないからだった。スタッフを振り切って、さらに前進しようとしたその時、正に天運。コーナーを曲がりきれなかったドミノが完全に倒れず、停止したのだ。藤岡は、ただちに倒れた部分の修復をすべく、休憩中のボランティアを呼びに自ら走る。しかし、ADは「 修復するふりをして 」再度、ドミノを崩壊させた。今度はぐんぐん速度を上げ、大崩壊に繋がった。驚いて、会場に戻った藤岡は天を仰ぎ、「 うぉーーーーー 」と野獣のように咆哮した。

 ドミノは全て、見事に倒れた。しかし、20名のスタッフに倒れる様を見せることができなかったことを、藤岡は心から哀しんだ。ボランティア達が会場に集まって来た。彼は皆の前に静かに進み出ると、涙を流しながら謝罪した。「 すまん! 皆に倒れるところを見せることができなかった・・・ 」 彼は、ADが倒してしまったことを一言も口にしなかった。企画の内容を知っており、休憩室のモニターでドミノが倒れる様を見たボランティア達も、「 君達に見せたかったのに、すまん! 」と涙を流しながら謝り続ける藤岡の姿に打たれた。皆、ポロポロと涙を流した。

 いかに番組とはいえ、こういう「 ドッキリ 」は悪趣味だと言わざるをえない。全身全霊をもって真剣に打ち込んできた藤岡弘という芸能界きっての好漢を騙し、「 その瞬間 」の驚愕と失意の表情を映して笑うなど許されざる暴挙であろう。しかし、藤岡弘の真摯で、他人を責めず、仲間の気持ちを大切にする姿に多くの人々が感動したのも事実だ。MCの宮迫が「 私はこの業界に20年いますが、こんな感動を覚えたのは初めてです 」とコメントしたほどである。私も家族も、彼の潔く男らしい言動に感動した。藤岡弘こそ、本物の「 漢 」だ。
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