再三、女子スポーツの在り方について言及してきた僕としては、
その問題と並行して、当人の生き方についても理解を深め、
その上で言及していきたいと思う。
まず大前提として、山崎選手の生き方については
実に清々しいというかさっぱりと分かりやすく、
女子スポーツをする選手として、素晴らしいと思う。
夢を叶えるために引退した、という選択も全面的に支持したいと思う。
女性と結婚という法的手続きを行うために治療まで受け入れるなど
前向きに自身の抱える問題に取り組んでいる事から
「気持ちの上で男性」或いは「性的思考が男性」の女性であると
してはケチのつけようがない。
一方で、過去に言及した陸上のキャスター・セメンヤー選手(南アフリカ、現在は女子サッカー選手)は、男性ホルモンが男性同等に分泌され、骨格、筋肉、髭などが男性並みの体であり、精子は分泌できないが卵巣が無く、限りなく男性に近い体躯のまま、女性として育ち、女性として生きて来た選手である。その結果、同性の選手との競技では敵無し状態が続いていた。そして彼女も「性的思考が男性」ではあるが、気持ちの上では「女性」という極めて微妙な存在となるのである。
部外漢が彼是言うものでは無い事は理解しているが、毎回この議論に対しては
「だったら、性別関係なしの競技にしてしまえばいい」
と僕は乱暴に言ってしまう。
しかし、女子スポーツは男性を除いて行う事に意義があるのである。
単純に骨格や筋力の指向が異なる男女を別にしてスポーツをカテゴライズする事で
女子競技者が同じ水平で楽しむスポーツが成立し、その中で競技を行うという構図が必要なのである。
お分かりあろうか。
女子競技には男性と言う要素を排除するという大前提があるのである。
この時、性自認がどう競技に影響するのかは分析も研究も難しく言及のしようがない。ただ、身体的要素に男性的要素が入る事は女子競技の定義にも関わる問題であると考えるべきであり、先の「セメンヤー問題」の時に物議を醸したのはそれが理由なのである。
であるとしたら、性の不一致を感じる人が女性スポーツに臨むのは非常に困難があるという事なのである。とはいえ、如何なる女性でも女性スポーツに臨む権利はある筈だという極めて矛盾性のある思想というか理念が存在するのも事実である。
以前にも触れたがオーストラリアのハンドボール女子代表チームには、元男性の代表経験がある選手が居た事がある。当然、試合では彼女が無双したのだが、試合はそこまで支配できず、物議は醸したものの何か不公平性の問題にまでは言及されなかった。そうまでして「如何なる女性も女性スポーツに参加できる」という権利を守る事で、マジョリティにある女性に示されている女性スポーツの定義を脅かされているという問題について議論しないのであるから、この話は堂々巡りになるのである。
それゆえに、競技生活を終えてからカミングアウトし、法的手続きを進めて自らの夢や希望を実現させていったという山崎選手は、立派だと思うのである。やはり、女性スポーツの定義を揺るがさないためには、現在の世の中ではこの手続きが正解だと思うのだ。競技中に宣言してしまうと起きる問題や、治療を受けると影響が出る競技生活であったり、様々な「あるがまま」に対する問題に投石行為をしなかった事は称賛に価すると思うのだ。
であるが故に、このような他の選手にはない苦労や面倒を課してしまった彼女たちにあるがままにスポーツを楽しんでもらうにはどういうレギュレーションが必要なのかという議論は継続し、一定の結論により多くの蓋然性ある納得を得る必要があると僕は考えるのである。
セメンヤーだって、選手を続けるためには男性ホルモンを一定数値以下に抑制する薬を飲めと言われたり、要らぬ検査を強要されたり、記録を抹消されるとか脅かされたりしたものの、彼女には罪は何にもない。実に酷い話だと思うのである。
セメンヤーは今では女性と結婚して、自分の精子ではない子供をもうけているとの話である。彼女の求めるものが何であるかは知らないけれども、権利として行使できることはじゃんじゃん行使してもらいたいが、そこで巻き起こされる議論の回収は本人とその周辺だけでなく、我々も参加して継続したいと思うのである。
山崎選手は競技を離れた場所から、(目論見とは違うかね知れないが)良い距離感で一石を投じるわけだから、僕も諸手を挙げて応援したいと言っているのである。
と、この点について
当事者である女性アスリートたちが公に盛んに議論されるのであればよい事だと思う。
僕はそうなれば
「男女区別なく、同じ舞台で競技すれば良いと思う」
と身も蓋もない一言を投げかけてしまうかも知れないが、それが望みではない。
性的少数者が法的手続きを取ればそれでおしまいだとは思っていないという事だ。
さて、どうなるだろうか。
元なでしこジャパン山崎円美「戸籍上の性別を変更し、男性となり」結婚発表
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=137&from=diary&id=8617010
【モデルプレス=2026/01/01】元サッカー日本女子代表の山崎円美(35)が12月31日、自身のInstagramにて結婚を発表した。
◆山崎円美、結婚発表
山崎は「この度、勇気を振り絞り皆様にご報告させていただきます」とし、「(少し前の話にはなりますが)戸籍上の性別を変更し、男性となり、とっっっても素敵な女性の方と結婚致しました!」と報告。「実はサッカー選手を引退できた1番の理由はこの夢を叶える為でした。サッカー引退後、やっぱりすぐにはボールから離れられなく約1年間フットサルをさせていただきましたが、年齢的なタイムリミットもあり、、フットサルもすごく楽しかったのでもっと早くから出会いたかったなと思いながらも引退決断し、第2の夢へと向かいました」と結婚までの経緯を説明した。
◆山崎円美、性別変更公表の理由
また「性別を変更する為には、もちろん治療が必で、時間がかかるし、自身の年齢、お相手の年齢を考慮すると今しかないタイミングだったのかなと思っております!(人生タイミングってやつですね)」(原文ママ)とコメント。「この事は公表にするつもりはなく、しれっと生きようと思っていたのですが、なんだか微妙に生きづらく、、久しぶりに会った方々にもびっくりさせちゃったりして困らせちゃったりするのもありますし、、そしてなにより、こんな生き方もあるんだ!って事をお伝えしたく勇気を振り絞って公表する決断をしました。(1年かかった笑)」と伝えている。
◆山崎円美、なでしこジャパンとして活躍
山崎は1990年6月9日生まれ、埼玉県出身。現役時代は浦和レッズレディース、AC長野パルセイロ・レディースなどで活躍し、なでしこジャパン(日本女子代表)への選出経験も持つ。2023年に現役引退し、日本女子フットサルリーグ所属のさいたまSAICOLOに加入。解説者や指導者としても活動している。(modelpress編集部)
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