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2024年02月15日00:07

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モノの名前 その1

昨日の日記で「ものの名前」について
書き溜めたものがあると述べたところであるが、
そういったものを書き始めようとしたきっかけは、
これまでの日記でも何回も触れてきた事に関係している。

例えば、日本の国名を英語で「JAPAN」とする理由について
諸兄はどう考えているだろうか。
個人的見解もあるが、そういった事も交えて一度文章をまとめたいと
考えたのである。

●はじめに
日本とは実に柔軟な、しかしいい加減な言語感覚で言葉を使っている。
方言で同じ物の呼び名が違うのはご愛嬌で、
他国でも同様に散見できる事象だが、
由来や意味を全く考慮せずに、派生語を次々と生み出し、
もはや原型を留めないなんてことはザラである。
一方で、「正しい」由来を持ちながら変形していったことで
どうしてそう呼ぶのか、を全く考えない
思考停止状態にしてしまっている「ものの名前」もあるのである。

<日本の名前>
 先にも触れたが、日本はどうして「JAPAN」なのか。
多くの人がマルコポーロの東方見聞記にある「黄金の国ジパング」に
何か理由があるように考えてしまいがちであるが、それも強ち間違いではない。
 但し、どうしてイタリアの商人のマルコ・ポーロが我が国を「ジパング」と呼ぶことになったのかという理由はどうだ?つまり、その理由次第ではそれが由来とは言えなくなると考えた事はなかったか。
 中国語を習った人なら気付くかもしれないが、「日本」は北京語で「ジーベン」と読む。「リーベン」に聞こえる人もあるかも知れないが、マルコ・ポーロも先に訪れた中国で、或いは極東への水先案内人の中国人にそう教わったに違いない。
その結果、彼は「日本」を「ZIPANG」と故郷に伝える事になったのである。
 我々は中国の首都を「ペキン」と憶えているかも知れないが、彼の地は現地の人は「ベイジン」と発音する。やはりこれも英語でPekingと表記した名残なのだが、この発音は呉音・漢音と並び、唐の時代に日本に伝わった「唐音」での発音が「ペキン」「ピーキン」である事に由来している。
話は逸れたが、「JAPAN」は「日本」を発音した言葉だと知ったら、お仕着せの国名とは感じず、そんなに嫌ではないだろう。少なくともマルコ・ポーロが名付けたわけでは無い事は記憶してもらいたい(笑)

<クリスマスイブ>
 これもここでは何度も言及したが、「イブ」を「前夜」或いは「前夜祭」、酷い時は「前日」だなどと言い出す人が多いものだから触れる機会が多い。
正しくは「当夜」であり、「イブ」とは「evening」すなわち、単に「夕べ」を指しているのである。キリスト教下において「イエス=キリスト」の生誕の日を祝う風習が定着する頃というのは、古い暦が採用されており、一日の始まりが「陽が沈んでから」だった事に由来している。その後、陽が昇りまた「沈むまで」が一日だったので、今の暦の夜になるタイミングが生誕祭の日の始まりとなったのである。
 それを「クリスマスイブニング」と呼ぶ一方で、生誕祭の日は「クリスマスの日」としたものだから、同じ日の事を指しているにも拘らず、「クリスマスイブニング」を「前夜祭」としてしまったのである。
 無論、「前夜祭」そのものがクリスマス以外でも同様の由来になっているケースもあるかも知れないが、もはや「イブ」だけが独り歩きしてしまい、日本人の一部の人には「イブ」は「クリスマス前日」を指す言葉として扱われるようになってしまったのである。しかしながら、毎日「evening」は等しく訪れているので、できればそこは「クリスマス」つを付けてもらいたいと思う。

◆ビーフカレー
 自称「カレーマニア」の僕としては「ビーフカレー」の扱い方にはいつも悩んでしまう。これを伝統的な日本料理だと主張したいのだが、やはり「インド料理」などと信じている人が一定数居るからである。この辺りのツッコミは有名な漫画の「美味しんぼ」24巻に詳しいところだが、僕自身がひと月あまりインドを旅したことがあって、インド料理のカレーと日本のカレーは全く異なる事は勿論の事、彼らの信教であるヒンドゥー教では「神様の乗り物」として丁重に扱われる「牛」を食材として扱うインド料理は絶対に「あり得ない」わけで、「ビーフカレー」はインド→フランス→イギリス→日本という経路を経て、日本で発明された新しい食べ物である事を知って貰いたいのだ。
 中国では犬肉料理や猫肉料理がつい近年まで料理屋で食べられたのであるが、日本人には抵抗があるだろう。牛肉料理は平気なのに。もし、犬の腿スープが「日本料理」だと言われたら気持ち悪いだろう。声を大にして否定したいだろう?それと同様、「ビーフカレー」をインド料理だと呼ぶことだけはやめて欲しいのである。

◆モンブラン
 「モンブラン」というお菓子は世界的に有名であるが、その名前の由来は欧州屈指の名峰「モンブラン」である。フランス語で「白の山」である。茶色い山肌の頂に雪のような粉砂糖が塗されている。その山肌にはマロンクリームが使われているのが特徴である。
 ただ、我々が良く口にしているモンブランが「イタリア式」であると知っている人がどれだけあるかは実に怪しい。山であるから見る方角によって形が違うのである。「イタリア式」というのは「イタリアから見たモンブラン」を象ったという意味で、山頂に向かって富士山のように尖った形をしている。
 一方で「フランス式」というのも存在していて、こちらは山を背中から見ている風情があり、山頂付近がなだらかなシルエットをしており、フランスで作るモンブランはドーム型の山を象っているのである。どちらもマロンクリームに粉砂糖である。
 従って、マロンクリームに粉砂糖が掛かっているケーキが「モンブラン」なのであって、粉砂糖が掛かっていないケーキはそもそも「モンブラン」の要件を満たしていない。
逆に言えば、山肌を何で表現していても粉砂糖が掛かっていて山を象っていれば「モンブラン」風と言えるだろう。
 ところが、我が国でマロンクリーム(主成分は芋だろうか)を使ったお菓子を、他になじみが無かったからだろうか、どういうわけか「モンブラン」と呼んでしまっている事実がある。
 サツマイモのクリームをうず高く山型にして、山頂部に栗、とかである。確かに本物のモンブランが冠雪して居なければ、そういう造形もあるかも知れないが、言葉の由来は「白の山」である。粉砂糖は必須ではないだろうか。名前の由来を考えずに、元のお菓子に近いからと言って濫用するのも我が国の得意技である。僕は実に許しがたいのであるが。

以下、

「ライスバーガー」編
「カッターとワイシャツ」編
は改めて。


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