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2023年04月07日01:43

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NEOGEO

本日もまた、教授=坂本龍一の喪に服したような気分である。
偶然なのか、空も一日どんよりと曇っており晴れない。
脳内には当然のように教授の楽曲が流れている。

高校に入って電車通学を始めたころ、
せっせとレンタルレコード屋に足を運び
少ない小遣いの大半をその頃出始めたばかりの
「コンパクトディスク」のレンタルコーナーに行って
まじまじとライナーノーツを読み込んで、
選び抜いた結果のCDを借りてテープにダビングする日々を送っていた。
つい先日、家内が「強制断捨離」を敢行したため、
音源がデータで保有されていないカセットテープを除いて
殆どの思い出のテープを廃棄した。
愚行だとは思ったが
家の中のスペースは限られており、
現在はテープを再生するデッキすら持っていないので
家内の主張に抗いきれなかった自分を悔やんでいる。

屋根裏部屋から自室に移した
教授の音楽を録音したテープは埃を被りながら
うず高く積み上げられた。
アルバムのタイトルが書かれていないものも含めたら
30巻や40巻では済まないだろう。
全部で400巻以上廃棄したが、YMOだけで20巻はあったから
教授が絡んでいるカセットテープは倍以上の数はあった筈である。

その高校時代に最も聞き込んだアルバムは間違いなく
「グルッポムジカーレ」というベスト盤である。
一曲目が映画「ラストエンペラー」のテーマソングで
最後が彼の代表曲「千のナイフ」である。
最初に聴いたYMOのアルバムは「BGM」だったので、
この2巻のテープが最も聞いたアルバムと言っても過言ではない。

その頃、FMで教授がラジオ番組を持っていて
彼が「聴いてみて下さい」とかけた音楽に
すぐ飛びついて聴いたりしたのだけれども
音楽について一つの考え方、を述べた事があって
「悲しいときはすごく悲しく、楽しいときはもっと楽しくなる。
そんな音楽の楽しみ方が出来たら」という趣旨の発言があった。
サカモト音楽以外でそう感じた事はなかったが、
初めて僕が彼の音楽に傾倒してしまった理由が分かったような気がしたのである。
彼の楽曲だけが
感情からそれにあった音楽をというルートで思い出され、
それ以外の音楽は、そこから感情へと向かっているという
事実に気づいたのである。

別にどちらが正解というものでもないし、
前者も後者も共存しているものではあったが
教授の音楽に対して不思議な気持ちになった理由は
間違いなくそれだったのである。
勿論、映画音楽やテレビとのタイアップ作品などは
特定のテーマに向けて制作されたものであるから
同じサカモト作品でも後者の味わいが強いのであるが
彼のリリースしたオリジナルアルバムの楽曲の大半は
前者だったと思うのである。

初期の作品は極めてアンビエントを重視した
シンセサイザーへの継投が強い近未来系楽曲が多かったが
明らかに「Coda」というアルバムからは
生音や世界の楽器などから来る独特の「音」に重きを移し、
「NeoGeo」でついにエスニック音楽の比重が勝るようになっていた。

自宅で音楽を聴く時というのは
机に向かって勉強する時や、何か字や絵を描く時と決まっていたので
エスニック音楽のサウンドはちょうど
そとらに意識が引きずられない感じが良かった。
それでいて耳に残るのであるから最高である。

幼い頃はしかし、教授のおふざけした尖がった下品なスタイルが
どうも好きになれず、どちらかというと品のあるユキヒロの方が
好きだったのであるが、彼のラジオを聞き始めてからは
ほぼ教授一辺倒で、他の音楽とは一線を画した存在として愛聴してきたのである。
このアカウントを作る前の現在凍結中の表アカウントのプロフィールには
はっきりと好きな音楽は「クイーン、YMO、ELO」と書いてあり、
そればっかり聴いている事を隠しもしなかったのである。

今でこそクイーンは映画のお陰で再評価され、
追悼の流れでYMOも脚光を浴びているかもしれないが
2005年頃にそんなことを言っていたら
「ダサい」でばっさり切り捨てられていたのではないかと
思うのである。自分では「好きなんだからしょうがない」と
露出させていたのであるけれども。

今から10年位前に知人のオリジナルラジオ番組に
友情出演した時もずっとYMOの魅力、坂本音楽の魅力について語って
出番の時間の殆どを消化してしまったが、兎に角
一から順番に聴いてみて貰いたいのだが
とてもお勧めするには地味というか趣味性が高いので
言い出すチャンスがなくて、兎に角看板のように扱ってしまった事を
今更ながら後悔している。

映画「ラストエンペラー」が封切られてから
随分と経過してから彼はアカデミー賞を受賞したので
最初に「ラストエンペラーのテーマ」を聴いたのは
教授の受賞記念にテレビで放映された時だったと思う。
その後、何度もレンタルビデオ屋で借りて観たのであるが
居ても立ってもいられなくなって
学生時代に僕は船で中国に渡るとすぐに北京に入り
紫禁城に行って同じ空気を吸いに行った。
観光施設として多くの来場者に混じってではあったが
映画だから大げさな表現をしているのではなく
「この施設のこの雰囲気のこれ」を
坂本が音楽にしたのか!と逆に感銘を受けたのを覚えている。

何と言えばいいのだろうか
彼の音楽は抒情的でありながら、
写実的でジャーナルとも言える
そういう世界観で作られているのである。

これを今現在求めていない人にこちらから進めるのは
実に難しいと言うのだけは分かって貰えるだろうか。

今から東南アジアか沖縄旅行に向かおうという人には
因みにアルバム「NEOGEO」をお勧めする。

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