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2016年10月06日00:53

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カイリーとレイチェル1

何日も、誰とも会話しない生活をした事があるだろうか
人は誰かと関わりあうことでしか生きていけないと
痛感することはあっても、現実的に
たった一人で誰とも会話しないでどれだけ長く過ごすかと言えば
僕は学生時代に
それも大学2年から3年にかけての間に
全く心の準備もしないまま体験することになった。

もっとも、日本人と日本語で会話しない日々が
何日も続いただけ
もちろん、どこの外国語も喋ることができない訳だから
出鱈目な言葉で他人とどうにか触れ合って
生活していた期間もあった。

それが僕が西安に行って
天津から北京に居る間に知り合った日本人たちと
徐々に別れていって最後に僕一人が西安に残った時である。
そしてお金さえ持っていればどうにか生きていけると分かったのであるが

いずれにしても日本には帰らないといけない事と
帰るためには飛行機で帰国するか
中国に渡った時にある程度培ったノウハウで帰ることができる
船便できこくするか
どちらかであることも明白だった。

そして、多くの日本人からの情報から
上海か天津からかしか
帰りの船便がないことも知っていた。
西安駅前の筵の上に売られていた
何年も前に日本人が置いて帰ったと思しき
「地球の歩き方」に書いてあった船会社の電話番号に電話したら
民家に繋がってしまった。

仕方がないので僕は
とりあえず当てもなく上海に向かうことにした。
一泊二日でも着かない距離である。
寝台特急には何種類かクラスがあって
冷暖房完備の「紫錦車」みたいな最新型の超特急が走っていたが
それだと片道で7万円くらいするみたいで
さすがにそれは払えない。

次いで「軟臥」と呼ばれる
いわゆる二等寝台車がある特急をどうにか予約して乗るのが
一番コストパフォーマンスが良いのである。

さらにその下のクラスは「硬臥」という硬いベッドが一つの並びに
三層立てになるものであるが
これは長距離の寝台には不向きである。
何しろ固いので座り心地が悪いところに横たわるのである。
加えて席も二人掛けではなく三人掛けであるから
極めて狭いし最悪なのである。
座り心地が良くて二層で二人がけの「軟臥」が良いに決まっている!

値段は記憶が曖昧だけれども
硬臥の1.5倍くらいだから計算の上では合っているけれども
何より移動する距離は一緒なのだから
「運び賃」が同額ならもう少し値段が安くてもいいのに、と
僕は思ったが。
因みに軟臥でも200元(当時の日本円で2000〜2500円)はしない。
硬臥で115〜140元だったか。一番上のベッドは安かった。。。

ともかく、軟臥の座席に座って窓の外を眺めると
殺風景でだだっ広い西安駅の構内しか見えない。
何時出発するのかは分からないが、出発予定時刻は既に過ぎていて
先頭に連結されている蒸気機関車は今にも出発しそうなのだが
動き出さない。
以前にも述べたが、それだけでも良かったなぁと
思えたのが、現実に現役の
黒光りする蒸気機関車がけん引する列車で
その寝台車両で旅行することが出来たのである。
平成も何年も回ってから。
リアル銀河鉄道999の世界なのだが
その言葉もまた古臭いか(笑)

ともかく、列車がいよいよ走り出そうという段になって
クロスシート式の向かい側の席に若い白人女性が
二人乗り込んできた。
目が合うと
「ハーイ!」
と快活に挨拶してきたので、こちらもハーイ!と返してやった。
そして、かなり拙い英語で
自分が日本人であることと
学生であることと
英語は駄目だが、漢字は読めることを
伝えた。

彼女たちはカイリーとレイチェルと言うらしい。
「We are シーシーレン」
と言うのでどこの国か分からなかったのであるが
それはNew Zealandの中国語読みだ
何しろ僕は英語はさっぱりだ。
イングリッシュジョークはさらに駄目である。

雰囲気は二人とも可愛らしいのだが
少しだけ彼女たちの方が年齢は上で
学生だという。
フレンドリーでどうにかコミュニケーションを取ろうとする。
彼女たちは鞄の中から大量のカードを取り出した。
英語で
「トイレはどこですか?」
と書いたカードの裏側に
漢字でその意味が書いてある。

僕の場合は、それは
ナールツァイチューツォー
と音で覚えてしまい、漢字で書けなかったのであるが
「厠所」と書いてあれば、それがトイレであることと
英語は聞き取れないが読めば意味が分かる。
僕の語学力ではそれが限界だ。

しかし、彼女たちが不便している中国人とのコミュニケーションにおいては
僕は通訳には至らなくとも
筆談者としては役に立つのである。

まあ車中で狭い空間で
若い男女が同じ空気を吸って一晩過ごすわけだから
イッヒッヒ
色々あったわけであるが詳細はまた別の機会に。
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