公開初日に、思いがけず『 レヴェナント 蘇えりし者 』を観る好機を得た。好きか嫌いか、共感できるか否かは人それぞれでも、すごい映画であることは認めざるを得ないだろう。私はディカプリオが好きなので、この映画がアカデミー作品賞を獲らなくても絶対に劇場で観るつもりだったが、監督がアレハンドロ・イニャリトウであることは唯一の不安材料だった。それは昨年のアカデミー作品賞受賞作品『 バードマン(あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の面白さを全く理解できなかった点にある。実験的な映像の面白さは認めるが、私にとっては「 思わせぶりで、退屈な映画 」でしかなかった。だから、イニャリトウ監督の最新作がどんな映像で、それが私にも理解できるのかどうか、そこだけが気がかりだった。
結論からいえば、不安は半分外れ、半分的中していた。これまでにない見事な移動撮影によって、臨場感あふれる映像をふんだんに観せてくれた。ネイティブアメリカンの襲撃シーンや主人公とグリズリー(灰色熊)の死闘シーンは正に「 驚愕の映像 」である。どんな映画でもそうだろうが、この映画は劇場の暗い閉塞空間に身をおいて大きなスクリーンで観ない限り、制作者の意図が伝わらないだろう。絶対に劇場で観るべき映画である。これが外れた方だ。
的中したのは、ドラマ部分にのめり込めなかったということである。題材としてはとても面白く、苛酷な大自然の描写や主人公の見せる高いサバイバビリティには驚かされたが、感情を揺り動かされるには至らなかった。「 感情を刺激される(泣ける、笑える、興奮できる)のが良い映画 」、これが私の映画評価基準である。きっと、監督の映像文法と私の相性が良くないのだろう。残念である。もう一度、冷静な目で劇場で観てみたいと思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する